会社員-愛欲の旅25-

 

 

1人分の布団の中に、2人の男がぴったりと身体を密着させている。

 

俺の浴衣ははだけてしまっているし、布団の外では密会カップルがコトの真っ最中だ。

 

これだけ条件が重なると、興奮するなと言う方が無理な話。

 

「ユンホさん...もしかして...おっきくなってます?(ヒソヒソ声)」

 

俺の耳元で囁くチャンミンの熱い吐息。

 

「馬鹿!(ひそひそ声)」

 

おかしな気分に突入しかけていた俺は、寄せてくるチャンミンの唇を手で塞いだ。

 

今さらながらチャンミンがどっち側なのか、問題にしてこなかったことに気づく。

 

それとは、『チャンミンはストレートなんだろうか?』だ。

 

俺は、男とどうこうなった経験はないけれど、チャンミンを好きになったことに何の抵抗もなかった。

 

だって、美しいものは美しいし、面白かったら尚ヨシ。

 

俺だったら喘ぎ声の主の性別は問わない。

 

俺たちはうつ伏せになっていて、肝心なところは敷布団と腹でサンドされている。

 

かなりの声量の喘ぎ声を聞きながら、チャンミンはどっちなんだろう?と、確かめてみたくなった。

 

狭い空間に密閉された高温多湿な空気。

 

身じろぎするたび、互いの体臭が混じり合い、むせかえりそうになった。

 

頭がくらくらしてきた。

 

押し付けたアソコが苦しくなってきた。

 

密会Hを盗み聞きしているせいなのか、可愛いボーイフレンドとくっついてドキドキしているだけに過ぎないのか、それとも...?

 

ウメコに仕込まれたモノを、チャンミンはいよいよ発動させたのか!?

 

それにしては、今俺に押し倒されるのは、タイミング的にまずいのでは?

 

「ユンホさん、もっとこっちに(ヒソヒソ声)」

 

「!」

 

「布団から出ちゃいますよ(ヒソヒソ声)」

 

俺の腰にチャンミンの腕がまわり引き寄せられ、互いの身体がめり込み気味になる。

 

さらに、「ユンホさんの腕が邪魔です」と俺の腕をつかむと、チャンミン自身の腰の上へと誘導された。

 

...押し倒すんじゃなくて、押し倒されるのは俺かもしれないじゃないか!

 

一刻も早く回収だ。

 

アレが仕込まれていると目星をつけた箇所へ、俺はそろそろと手を伸ばす。

 

「お前の方はどうなってるんだよ?(ひそひそ声」」

 

「僕の?(ヒソヒソ声)」

 

チャンミンの腰の下へ手を突っ込んだ瞬間、俺の手は払いのけられた。

 

「やん!」

 

「しーーーー!

声がデカい!

減るものじゃなし、ちょっとくらいいいだろ?(ひそひそ声)」

(エロ親父が言いそうな台詞だなぁ)

 

「やん」

 

「デカくなってて恥ずかしいんだろ?(ひそひそ声)」

 

「そういうユンホさんはどうなんですか?

触らせてください(ヒソヒソ声)」

 

股間を狙う俺の手と股間をガードするチャンミンの手がぶつかり合う。

 

布団の外では、いよいよフィニッシュを迎えようとしているようだ。

 

「声...おっきいですね(ヒソヒソ声)」

 

「ああ」

 

肌と肌が当たる音と、男の荒い息。

 

勘弁してくれ、と思った。

 

「暗くて見えないのが残念です。声すごいですね...どこからあんな声が出るんでしょう?部屋の外にまで聞こえちゃうでしょうよ。この声、誰なんでしょうね。う~ん、分かりません。

 

ところでユンホさん、人はなぜ性交をするんでしょうか?快楽を得るためでしょうか?気持ちいいっていいますしね。でも世の中には、性交以外にもっと気持ちがいいことがありそうです。それじゃあ、性欲の処理の為?人間の三大欲求のひとつですからね...い~え、それだけのものじゃないはずです!繁殖行為のため?い~え、それだけのものじゃないはずです!ストレス発散のため?2人の肉体がくんずほぐれつ、呼吸を乱し汗をかく。一種のスポーツです。目と目を合わせ、愛の言葉を交わし合う。2人の身体が重なり合う。凸と凹がぴたりと重なり合う。抱き合い、肌同士で温め合いたい。うん、それですね!

ねえユンホさん。どうして性交とは、こそこそするものなんでしょう?(ヒソヒソ声)」」

 

「人前でやったら、捕まるだろう?(ひそひそ声)」

 

「大正解!

もうすぐ終わりそうですね...違ったか。

体位を変えるみたいです...あれは...バックですかね?

...まだかな...なかなか終わらないですね。

お、お...お~!

やった...終わりました、終わりましたよ!」

 

意中の人物と狭いところに閉じ込められるシーンとは、大抵の場合、ドキドキときめきタイムらしい。

 

イチャイチャしたいのにそれが出来ない、反応しているのがバレたら恥ずかしい、相手の身体つきにときめいたりして...確かにその通りだった。

 

俺なんて、心も身体も穏やかならぬ状況だったのに、チャンミンはケロッとしている。

 

なんだよ俺ばかり。

 

ずるいよなぁ、と思った。

 

(つづく)

 

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