(...俺の...勃ってるかもしれない!!)
BL小説のワンシーンを聞かせれて、ムラっときてしまったことは、チャンミンには絶対に知られたくないと思った。
驚いてもいた。
チャンミンとの密着や深いキスで、アソコを固くしてしまったことは何度かある。
でもそれは、肉体的な接触を伴っていたからだ。
入浴中のコレは、空想の世界のアレシーンを聞いただけ。
話の中の二人が繰り広げている行為は、性別を無視すれば男女のものと変わらず、正直者の俺のムスコは反応してしまった。
チャンミンといざコトに及ぼうとした時、勃つかどうかを不安視していたけれど、心配はいらなさそうだ。
(よし!
俺はチャンミンとヤれる)
ここでいよいよ、ウメコによって仕込まれた物を、チャンミンから回収しなければならないミッションの重要性も増した。
チャンミンを前にした俺は、彼を組み敷く側に立つだろうと、感覚的に直感していた。
ウメコの耳打ちで、俺を押し倒す気になってしまったチャンミン。
さらに、その気を増強させるらしいもの...よりによって際どい所にアレは仕込まれた。
まさか、湯の中に沈み、ぶくぶく息を止めて探るわけにはいかない(変態だ)
...そうか。
時と場所が、俺の理想とは大きくかけ離れている。
そんなことお構いなく、チャンミンを押し倒してしまえばいいことだ...!
だがしかし、チャンミンこそ俺以上にムードとシチュエーションに拘る男だ。
チャンミンだって、社員旅行中に人目を気にして慌ただしく...だなんて望んでいないだろう。
...いや...誰かに見られるんじゃないかとハラハラしながらの行為に、興奮してしまうタチかもしれないぞ?
『ユンホしゃん、早くっ、誰かが来ちゃう』
『そうだね、誰かが来ちゃうかもね?
どうする、チャンミン?
下はすっぽんぽんだぞ?
あれ?
大きくなったぞ?
暴れん棒になってるぞ?
やっぱりね、チャンミンは誰かに見られながらのプレイが好きなんだなぁ?
このぉ、エロ男子ism』
『ユンホしゃんのいぢわる』
...とか?
話が反れてるぞ!
魔術が込められたものを仕込んだまま、社員旅行に参加していることから推測してみる。
やはり二泊三日のうちにコトにいたろうと、心に決めている可能性が高い。
6人部屋だぞ?
二人きりになれるチャンスは、メシの時間だけ。
それとも、皆がいるのに布団にもぐって声を殺してやるのか?
俺たちは初めて同士なんだぞ?
テクニックが必要そうだ。
...と、ぐだぐだ考えている間、チャンミンのお気に入りBL的えっちシーンの語りはまだまだ続いていた。
話の中の逞しっ子と華奢っ子は、脱衣所に場所を移して第2ラウンドを開始したようだ。
・
俺たちがもたれている岩は、滝を模したものになっている。
高い位置にある岩の隙間から湯がどうどうと流れ落ちており、その音は声を張り上げるか耳を寄せないと会話ができないくらいだった。
湯しぶきで、すぐそばにいるチャンミンの顔も霞んで見える...。
・
「ユンホさん!」
肩を揺すられ、ハッとした。
「ユンホさん...茹でダコみたいです」
「...あ...あぁ」
意識が遠のいていた。
のぼせてぶっ倒れて、チャンミンに救護されるところだった。
チャンミンのことだから、ここぞとばかりに俺の股間を子細に観察するだろうなぁ...。
危ない危ない。
(つづく)
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