義弟(59)

 

 

~チャンミン17歳~

 

 

「...チャンミン」

 

義兄さんの言葉に僕ははっとして、隣を振り向いたけど、彼は天井を見上げたままだった。

 

さっきまで絡み合っていたせいで、義兄さんの前髪は立ち上がっていて、形のよい眉が露わになっていた。

 

疲れの滲んだ横顔だった。

 

「...正直に答えて欲しい」

 

「え...何を、ですか?」

 

「その唇の傷は、Xさんに付けられたものじゃないよな?」

 

X氏に痛い目に遭ったのではないか、と心配しているんだ。

 

「違うます。

Xさんは手をあげることはありませんでした」

 

これは本当だった。

 

僕にも気になることがあった。

 

「義兄さんはどうして...分かったんです?

僕がXさんと...」

 

義兄さんは身体をひねって横向きになり、肘枕をするとじっと僕を見下ろした。

 

義兄さんがどういうルートでX氏とのことを知ったのか、とても気になっていた。

 

1年以上内緒にしていたくらいだから、僕の口からでは当然ない。

 

態度にも口調にも気をつけていたし、X氏に会った直後に義兄さんに抱かれるなんて日はなかった(その逆はあったけれど)

 

X氏によって快楽ポイントを見つけ出されていて、そこをたまたま義兄さんに愛撫されて、異常に反応してしまったことは、確かにあった。

 

X氏がアトリエを突然訪問した日は、思わせぶりに煽ってくる彼を無視していた。

 

義兄さんも、僕がX氏を苦手なことは、前から知っていたし。

 

僕とX氏に身体の関係があることを、義兄さんはなぜ知っているんだろう?

 

おかしいな...僕に何か落ち度があったんだろうか。

 

「Xさんがチャンミンを下心ある目で見ていることは、前から気付いていた。

チャンミンが狙われていなければいいんだが、って心配だった。

それ以前に、チャンミンを抱いていて『変だな』と思っていたんだ」

 

ドキリとした。

 

「チャンミンは16だっただろう?

俺と関係する前に、チャンミンに経験があるかないかは別として。

それにしても、16にしては、『慣れ過ぎている』と思ったんだ」

 

「慣れ...過ぎている?」

 

「俺は男と経験はない。

女性相手でも、そこを使ったことはない。

だとしても、知識くらいはある。

チャンミンはね、あまりにもスムーズだったんだ。

変だな、と思ったよ」

 

抵抗なく受け入れられることに不信を抱かれるなんて、全く頭が回らなかった。

 

「そこを使った行為の経験がある、なんて風じゃなかった。

...慣れていた」

 

「......」

 

義兄さんと最後までいく前に、慣らしておこうと目論んだことが見当違いだったことを、今知った。

 

義兄さんに恥をかかせたらいけない、彼が僕の初めてで、痛がったり躊躇したりみっともない姿を見せたくないプライド。

 

浅はかで甘い思考しかできなかった僕は、つくづくお子様だ。

 

17歳も上の大人と対等に付き合えるんだと、余裕をかましていた自分が馬鹿だった。

 

「俺たちの時代と比べて、今どきの高校生が盛んなのかどうかは知らないけど。

俺が勝手に抱いているチャンミンのイメージとはかけ離れていて、びっくりしたよ。

でもね、チャンミンのプライベートに口を出すべきじゃない、って、遠慮したんだ。

普通、恋人同士の時間こそがプライベートなのにね。

変だろ?」

 

僕と接する義兄さんはいつも余裕があって、僕のやること成すこと全部、お見通しなんだと思っていた。

 

僕に遠慮していたことがあっただなんて...知らなかった。

 

「コンベンションセンターのエレベータの前で、チャンミンがXさんと一緒にいるのを見た時、変だと思った。

嫌な予感がしたんだ。

この2人は普通じゃない、ってね。

昨日、チャンミンと連絡がとれなかっただろう?

加えて、Xさんもどこかにいってしまっている。

俺は...パニックだった。

カッコ悪いくらいに取り乱してしまった」

 

義兄さんは僕を心配してくれた。

 

僕を探し出そうと、あちこち走り回っている姿が思い浮かんだ。

嬉しかった。

 

「こっぱずかしいことに、Xさんの部屋に殴り込みにいったんだ」

 

「ええっ!?」

 

「殴り込みってのは大げさだったな。

『チャンミンはいますか?』って、Xさんに詰め寄ったんだ。

Xさんもびっくりしただろうね。

でも、その時の俺は、頭がおかしくなっていたから。

煮えくり返っていたんだ。

後にも先にも、あんなに怒って、パニクったのは初めてだったなぁ...」

 

肘枕を崩し、義兄さんは頭の後ろで腕を組んで宙を睨んだ。

 

それまで浮かべていた微笑を消したその横顔は固く、しんと冷めた目をしていた。

 

義兄さんの視線が天井で助かった...もし、まとも注がれていたら、僕は泣き出してしまっただろう。

 

「...Xさんは認めたよ。

チャンミンとのことを」

 

「...そう、でしたか...」

 

X氏はなぜ黙っていられなかったんだろう。

 

義兄さんに知らせて、どうしたかったんだろう。

 

僕と義兄さんとの仲を見抜いていたX氏...ショックを受けた義兄さんを見たかったんだ、きっと。

 

「...あっ」

 

義兄さんの腕の中におさまっていた。

 

「チャンミン...ごめんな」

 

「義兄さんはっ...謝らないで下さい。

僕が悪いんです」

 

「注意を怠っていた俺が悪い。

チャンミンは未成年だ。

お前を守ってやらないといけないのにな...。

さっきは乱暴に抱いてしまって...悪かった」

 

義兄さん、お願いです。

 

僕の保護者ぶらないで下さい。

 

僕らはいわゆる、『不倫』の仲ですけど、恋人同士でもあるんです。

 

義兄さんは体温が高くて、包み込まれていると身体の緊張が解けて、ほかほかと温かく心地よい。

 

僕は義兄さんが大好きだ。

 

「俺とチャンミンとは、親子ほどじゃないけど、年が離れている。

チャンミンとXさんは親子以上に年が離れている。

俺とチャンミンの付き合いを、冷静に第三者の目で見てみたんだ」

 

「......」

 

これから義兄さんは、何を言おうとしているんだろう。

 

「...そして、考えてみたんだ」

 

僕にはこの人を泣かせるだけの力がある。

 

それはなんて怖いことなんだろう。

 

僕の言うこと成すことの内容次第で、この人の心はかき乱されるのだ。

 

その逆も然り。

 

僕は睡魔に勝てなくて、義兄さんの声を子守唄に眠り込んでしまった。

 

 

(つづく)

 

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義弟(58)R18

 

~ユノ34歳~

 

 

「昨夜のこと...覚えてるか?」

 

「ゆうべのこと...」

 

「チャンミンが大事だって。

安心して欲しい、って。

そう言っただろう?」

 

太ももに乗ったチャンミンの頭を見下ろした。

 

子供らしいラインを描いた頬はしっとりと吸い付く若い肌、耳朶の産毛、かいた汗で濡れた襟足の髪。

 

「俺はチャンミンを大事に思っている。

怒っているように見えるのは、チャンミンを怒っているんじゃないんだ。

当たり前だけど、チャンミンを酷い目に遭わせたX氏に怒っている。

それから...気付いてやれなかった自分に怒っている」

 

「義兄さんは悪くありません。

僕が馬鹿だっただけなんです」

 

「チャンミン、お願いがあるんだ」

 

「!」

 

俺の言葉に、チャンミンは勢いよく俺の膝から頭を起こした。

 

「お願いって...怖いことじゃないでしょうね?」

 

「チャンミン...お前のことだから、十分自分を責めてきたんだろう?

俺からのお願いはね、グズグズと自分を責めないこと」

 

「そんなっ...出来ませんよ」

 

膝を抱えて座ったチャンミンは、シーツにこびりついた自身の精液のシミを爪先でこすっている。

 

小さな子供が、いじけて地面にいたずら書きをするみたいな姿だった。

 

「Xさんとのことを気に病んだり、俺に嫌われるんじゃないかって怖がる必要はない。

俺は変わらず、チャンミンのことが大事だ。

チャンミンのために俺は何をしてやれるか、考えるからな」

 

「義兄さん...」

 

「それから!」

 

人差し指の背でチャンミンの顎に触れた。

 

「チャンミンは二度とX氏さんに会ったらいけない。

後のことは俺に任せるんだ」

 

膝頭に顎を乗せたチャンミンは、拗ねたように上目遣いで俺を見る。

 

「写真のことをXさんに問い詰めたり、親に言ったり警察に行ったり...そういうのはよしてください」

 

「しないよ。

コトは荒立てない」

 

チャンミンに言われずとも、そのいずれもが藪蛇になりかねない。

 

「おいで」

 

両腕を広げると、チャンミンは俺の胸に突進してきた。

 

「...義兄さん、ごめんなさい」

 

「もう謝るな。

チャンミンが今まで黙っていたのは、俺に嫌われるんじゃないか、って怖かったんだろう?」

 

俺の腕の中で、チャンミンは何度もうなずいた。

 

「怖かった...。

黙っていればいいんだ、ってずっと思ってました。

...でも、Xさんと別れられなくて...苦しくなってきて...っ...うっ...。

義兄さんは優しいし、っ...」

 

「俺は優しくなんかないよ。

チャンミンが大事なだけだ。

内容がどんなものであれ、何でも俺に打ち明けられない遠慮があったんだろう?

そういう空気を作ってしまっていた俺が悪いんだ」

 

俺はそう言って、チャンミンの背を撫ぜた。

 

10代らしい濃い体臭がふわっと香ってきて、その若さに切なくなった。

 

 

 


 

 

~チャンミン17歳~

 

 

身体を動かすと、僕が放ったものがふわりと青臭く香った。

 

義兄さんに荒々しく、かつ念入りに愛されて、僕は3度も達してしまった。

 

僕の身体を自在に操る、義兄さんの逞しい腕や腰に感じた。

 

ぱんぱんに膨らんだ義兄さんのもので、僕の奥が埋められ突かれたことに感じた。

 

僕の身体で、義兄さんには気持ちよくなってもらいたい。

 

悪いことをしでかした僕は、義兄さんに全身を差し出したんだ。

 

滅茶苦茶に抱かれることで、僕はとても悪いことをして、義兄さんを怒らせたという実感を得たかった。

 

気だるい身体で義兄さんの太ももに頭を乗せて、彼の熱い肌を片頬に感じていた。

 

義兄さんは...イッてくれなかった。

 

僕の身体に感じてくれなかった。

 

悔しくて悲しいけれど、義兄さんは怒りが強すぎて、それでイケなかったんだ、きっとそうだ、と思うことで自分を納得させた。

 

義兄さんの肌を間近に見ながら、彼の体毛を指先で撫ぜながら、彼の話を聞いた。

 

「...っつ」

 

義兄さんの親指がすっと伸びてきて、僕の下唇に触れたのだ。

 

「唇...切ってる」

 

かさぶたができたそこは、どうりで下唇が熱をもってひりひりしていたはずだ。

 

「転んだときにぶつけたんだな...。

ちょっと腫れてるな。

何か薬を、フロントで貰ってこよう」

 

「やっ!」

 

身を起こした義兄さんの脚にしがみついた。

 

「ここにいて下さい。

痛くありません」

 

「でも...」

 

「わかった。

ここにいるよ」

 

義兄さんは僕の頭を下ろすと、僕の隣に横たわった。

 

すかさず僕は義兄さんにすり寄って、肩と鎖骨の間のくぼみに頭を乗せた。

 

仰向けで寝ても、義兄さんの両胸は盛り上がっていてとても逞しい。

 

ついさっきまで、抱き合っていたのに、身体を離すととても遠い存在に見えてくる。

 

憧れの人が触れ合えるすぐそばにいて、胸が高ぶるし、腰の奥がうずうずするのだ。

 

初めて見た時から、義兄さんは憧れだったんだ。

 

理想の姿そのままの義兄さんに嫉妬心を覚えるほどで、出逢ったばかりの頃の僕は生意気な態度で接していた。

 

キスしても、素肌で抱き合っても、義兄さんと深いところで繋がっても、何回経っても僕の心は、初めてみたいにときめいている。

 

僕にとって義兄さんは、永遠の憧れの人なんだ、きっと。

 

つい1年前までは女の人の裸に欲情していた自分が信じられない。

 

Mとヤッていた自分も信じられない。

 

学校の同級生たちも教諭たちも、まさか僕が男の人と...それも姉さんの夫と不倫をしているなんて、想像できないだろう。

 

僕と義兄さんの関係は、普通じゃないのだ。

 

特別なんだ。

 

 

(つづく)

 

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義弟(57)R18

 

~ユノ34歳~

 

どれだけ腰をスライドさせようと、一向に絶頂は訪れない。

がむしゃらにチャンミンの中を、抜き刺しするだけの行為に成り下がっていた。

しんと静まり返った室内に、繋がる卑猥な音だけがうるさい。

途中から快感も逃げてしまった。

チャンミンの腸壁を出入りするぬめり感と、俺のものを締め付ける圧迫感だけ。

それなのに興奮は高まるばかりで、自身のものは猛々しいまま。

繋がり直す俺にされるまま、チャンミンは前に後ろに横にとひっくり返されている。

汗をしたたらせた全身を紅潮させて、「もっともっと」と俺を煽る。

欲を示す身体に反して、感情はしんと冷えてゆき、そのギャップが広がるごとに、射精のタイミングは遠のくのだ。

チャンミンを責められない、なんて威勢のいいことを思っていたのに...。

揺さぶりを受け止めて、あんあんと喘ぐチャンミンに、むらむらと嫉妬心が湧いてきた。

X氏相手にも、組み敷かれて身を反らせ、よだれを垂らして感じ入っていたんだろうと想像すると、その嫉妬の強さに喉がつまる。

男の身体は嘘をつけない。

子供のくせに前を刺激しなくても何度も達せる身体になったのは...X氏によって作られたのか?

例えば...。

四つん這いになったチャンミンのウエストを押しつけながら、真下に向けて浅突きしてやると...。

 

「ああああああ...っく...あああ」

 

半眼になって、パクパクと口を開ける。

腰掛けた俺の上でチャンミンには腰を振らせ、俺は睾丸の裏を親指でぐりっと押す。

すると、チャンミンの入り口はきゅっと締まるのだ。

抜き刺しする度に充血した縁が、俺のものに引きずられて顔を出す。

感じ入るチャンミンを目にして、俺の心はしんしんと冷えていく。

太いものを余裕で食らい込む、チャンミンのそこから目を反らす。

俺は堪えてる。

実は相当な大きなショックを受けているんだと、気付かされた。

X氏にいいように扱われて、1年以上耐え忍んで、傷ついているのはチャンミンの方なのに。

抱くより前に、チャンミンを労わって、「好きだ」を繰り返して安心させてやるべきなのに

年上の寛大さに欠けた、器の小ささに反吐が出るほど情けなかった。

所詮、俺はこの程度の男なんだ。

そんな負の感情が、自分自身を絶頂に導くことを邪魔していた。

チャンミンにしてみたら、俺に身を任せることで、彼なりの愛情を示そうとしていたんだろうに。

ごめん、チャンミン。

今の俺は、イケそうにない。

こんなセックスはすべきではない。

しまいには、もたれかかったチャンミンの背に涙を落としていた。

 

「なんてことをしてくれたんだ」と。

 

何度もこの言葉を、絞り出すようにつぶやいていた。

そう。

俺はチャンミンを責めていた。

ショックを受けて傷ついた自分を、17も年下のチャンミンにぶつけてしまったのだ。

情けない...。

まぶたの裏が熱い。

屈辱と怒り、焦りと悲しみ、嫉妬と恥...すべてが混ざり合った濃い涙だった。

 

 

「義兄さん...」

 

「......」

 

チャンミンの中で、俺のものが萎えていくのが分かる。

チャンミンの中から引き抜いた俺は、情けない顔を彼に見られたくなくて、背を向けた。

ベッドにチャンミンを残してシャワーを浴びにいくことはできない。

チャンミンは取り残されたと、不安がるだろうから。

横たわったまま、俺を見上げている。

潤んだ目をしている。

チャンミンが今、何を考えているのか分かり過ぎるほど、分かっていた。

愛想をつかされ、俺が離れていってしまうことを恐れている。

深呼吸をひとつついて、上半身を起こしかけたチャンミンを横たわらせた。

大人になれ。

渦巻いていた感情を閉じ込めようと、もう一度深呼吸をして気持ちを切り替えた。

チャンミンを膝枕してやり、彼の頭を撫ぜながら謝った。

 

「悪かった

乱暴にして、悪かった」

 

「...乱暴なんか、じゃない...です」

 

俺の膝の上で、チャンミンは首を振った。

 

「義兄さんは、僕が嫌にならないんですか?

僕のことを...汚いと思わないんですか?」

 

俺がチャンミンの立場だったら、出てきて当然の質問だった。

 

「思わないよ、全然」

 

X氏と関係をもっていたチャンミンの身体を、嫌悪する気持ちは全くなかった、不思議なことに。

軽蔑もない。

俺がチャンミンの立場だったら、どうだろうか...父親くらいに年上で、大きな身体の男...無理だ、拒めない。

軽い気持ちで始めたことだったんだろう。

自身の容姿でもって迫れば、迫られた者たちはその誘いを拒めないことを、チャンミンは知っている。

チャンミンにしてみたら、イヤになったら誘いを断れば済むんだと高をくくっていた。

ところがX氏にしてみたら、余程相性がよかったのか、容姿のよさも相まって手放せなくなったんだろう。

後先考えない子供らしい行動といえるし、自業自得の結果だ。

男同士の行為に興味を持って、手始めとして 経験とテクに長けた者としてX氏を選んだところまでは、理解できる。

ところが、1年前といったら俺たちが惹かれ合っていると意識しだした頃じゃないか。

なぜそんな時期に、チャンミンがX氏に近づいたんだろう。

寝乱れたシーツはシワだらけで、チャンミンが放ったものが乾きかけている。

 

「義兄さんは僕のことを、あまり好きじゃないんです。

僕がXさんとヤッていたって知ったのに、怒らないから。

あまり好きじゃないから、平気なんですよね?」

 

「平気なものか...。

第一、こんな程度じゃ俺は揺るがないよ」

 

「...そんなの嘘です」

 

「嘘じゃない」

 

一般的に、自分以外の者と関係を持つことは浮気にほかならない。

ところが今回のことは、「浮気」のひと言で済ませられないのだ。

X氏がやってきたことは犯罪行為だ。

既婚者の俺が、チャンミンを縛る資格はないし、高校生のチャンミンにはもっと自由な恋愛をすべきなのだ。

チャンミンへの愛情が薄れたわけじゃない。

これからも、同じくらいの熱量を持って大事にしてやりたい。

それなのになんだろう...このやりきれない気持ちと焦燥感は。

チャンミンと関係を持ち始めたばかりの頃に、俺に巣食っていた思い...彼との関係が深まるにつれて一度は薄れかけた思い...。

「このままじゃいけない」の自問自答が再燃してきた。

 

(つづく)

 

義弟(56)R18

 

 

~ユノ34歳~

 

 

これは怒りと喪失感をぶつけるためのものだった。

それから、X氏との行為を経て、刻みつけられた身体の記憶を消し去りたくて。

...そんなこと、出来るはずがないのに。

言葉で責められない代わりに、チャンミンの身体を攻めようとしているのだろうか?

チャンミンにもそれは分かっていたんだろう。

過去の痕跡を消し去って欲しい、気持ちが離れていかないよう繋ぎとめたい。

...そんな意気込みが感じられた...俺の思い込みじゃなければ。

心は哀しみで押しつぶされそうに苦しいのに、俺のそこは皮膚が張り裂けそうなほど膨れ上がっていた。

その猛々しくなったものを、チャンミンのそこにねじり込む。

潤い不足で、互いの粘膜が引きつれて痛みを伴った。

深く挿入できず唾液を足して、じわりじわりと埋めていく。

 

「くそっ...」

 

諦めて腰を引こうとしたら、「いいから、挿れてっ」と、チャンミンは自ら尻を左右に割った。

チャンミンは唾液をからませた指で自身のそこを濡らすと、俺のものを握って誘導する。

紅く鬱血した縁を目にして、一瞬萎えかけたが、俺の中で膨れ上がった欲と怒りと悲しみに突き動かされて、それは固さを取り戻す。

チャンミンを滅茶苦茶にしたかった。

時間をかけて抜き刺ししながら入り口を緩めた。

チャンミンの中に腰を全て沈めた時には、俺の全身から汗が噴き出ていた。

できるだけ負担をかけないよう根元まで埋めたまま、チャンミンの腰に振動を与える。

 

「あ、あぁ、あぁ、あああ、あ、あっ...」

 

たぐりよせた枕に顔面を押しつけたチャンミンは、間断なく喘ぐ。

 

「どうだ...痛いか?」

 

チャンミンを滅茶苦茶にしたがる暴力的な嵐の合間に、人間らしいいたわりの感情も顔を出す。

 

「ううん...いいっ...そのまま...もっと、もっと」

 

チャンミンがそう答えることを知っていて、俺はそう尋ねたのだった。

今度は、抜けるぎりぎりまで腰を引いては、力を蓄えた上で突き刺す。

俺の腰骨とチャンミンの尻がぶち当たる音が、ばちんばちんと響く。

不規則なリズムで、チャンミンの尻を打つ。

チャンミンは甲高い悲鳴をあげる。

 

「チャンミン...。

Xさんにも...こうやって抱かれていたのか?」

 

「...いいえっ...違う!」

 

征服するためのセックス。

 

「嘘をつくなっ」

 

チャンミンの中から引き抜いて、今度は親指を突っ込んで彼の弱いところばかりこする。

 

「...そこっ、そこダメっ...だめぇ!」

 

マットレスに両肩を沈ませ、だらしなく開いた口から流れ落ちる唾液で、シーツに染みを作っていた。

両膝がガクガクと痙攣し、支えてやらないと崩れ落ちてしまいそうだった。

 

「ここだろ?

お前のいいとこは...ここだろ?」

 

2本の指をぐるりと回転させた。

 

「っひゃあっ...ダメ...あぁっ、あああぁ」

 

半開きになったチャンミンのまぶたから、涙が流れている。

2本の指で押し広げたそこは紅く熟れている。

あの男の痕跡はないか、探っているかのようだった。

 

 

チャンミンはなぜ、X氏を誘う真似をしたのか。

俺にはなんとなく分かっていた。

出会ったばかりの頃、チャンミンに対して抱いていた印象は、正しかったのだ。

チャンミンはプライドが高い。

プライドは高いが、自分には自信がないから、相手がどんな反応をするのか気になって仕方がない。

敢えて相手を煽るような言動を取り、気のないふりをして、彼らの表情や言動に注意を払っている。

そんな気がした。

だから、チャンミンはX氏に近づいたのは、俺への嫉妬を誘うためじゃない。

チャンミンは自身がどんな見た目で、それがどう周囲に影響するのか、知っているはずだ。

もちろん、男同士の行為に興味があったこともあるだろうが...。

 

 

マットレスが揺れる。

叩きつける俺に合わせてチャンミンの身体が揺れている。

17歳の少年に、俺は欲をぶつけている。

この気持ち。

俺の中で小爆発を起こす不快なもの。

胸が痛い。

涙と鼻水、唾液にとチャンミンの顔面は濡れている。

半眼はうつろで恍惚を浮かべ、17歳の少年とは思えない程の色気を発散している。

X氏のことは、はらわたが煮えかえるなんて生易しい

相応しい言葉がみつからないほど、怒りと絶望、喪失感でもみくちゃにされていた。

だからと言って、チャンミンにそれをぶつけるわけにはいかないのだ。

なぜなら、悪いのは俺の方だから。

そう思っておきながら、俺はチャンミンの中を荒す。

いたわりの気持ちは消えてしまった。

 

「あっあっあっ...ああぁぁぁぁ」

 

チャンミンの腰がぶるっと震えても、俺は容赦しない。

既にチャンミンは2度達している。

 

「これっぽちしか出ないのか?

さっきまであいつとヤッてきたんだろ?」

 

シーツに放たれた小さなシミに、俺の苛立ちがつのる。

 

「ちがっ...ヤッてな...い、ヤッてないっ」

 

そう言い張るチャンミンだったが、それが嘘だと俺は分かっている。

甘い悲鳴をあげるチャンミンを、俺は後ろから攻める。

広げた両膝を抱えさせた上で、攻める。

のけぞった喉に吸い付く。

痕がついてしまっても、構わない。

視界がにじむ。

 


 

~チャンミン17歳~

 

 

義兄さんは怒っている。

乱暴に僕を抱くことで、怒りをぶつけているんだ。

義兄さんに叱られたかった。

僕がしてきたことを...それがとても悪いことであっても、認めて欲しかった。

僕がやってきたことがとても悪いことだって、義兄さんに認めて欲しかった。

僕を叱りつけてくれたら、僕は「ごめんなさい」と謝って、義兄さんに抱きついて許しを乞うことができるのに。

謝って許されることじゃないけれど、「馬鹿野郎」って怒鳴られて、義兄さんの怒りを浴びたかった。

怒ってくれれば、僕は正々堂々と謝れるのに。

義兄さんに知られてしまうのをあれだけ恐れていたのに、知られてしまったら彼に嫌われるんじゃないかって、あんなに恐れていたのに。

いざ知られてしまった今は、義兄さんのいたわりのこもった眼差しが、僕の心を苦しめた。

義兄さんはきっと、湧き上がった怒りを飲み込んでしまったんだ。

僕の気持ちは、行き場を失ってしまった。

義兄さんの方も、怒りが宙ぶらりんになってしまったんだ。

きっとそうだ。

怖くなって僕は、義兄さんの背中に抱きついた。

僕らの間にピンと張り詰めた緊張感に耐えられなかった。

そして、「したいです」とお願いしたんだ。

怒りを飲み込んでしまった義兄さんにどう接したらいいか分からなくなった。

滅茶苦茶に抱かれて、この緊張感を払拭したい。

僕を求めて欲しかった。

 

 

 

義兄さんの荒い呼吸音。

熱い吐息、熱い唇が僕の全身を舐める。

快楽にもたらされた涙と哀しみがもたらした涙で、義兄さんの肌を濡らす。

 

 

僕はこれからどうすればいいのだろう?

X氏が吐いた言葉が心に刺さっている。

 

『君はとんだ尻軽猫だ』

 

義兄さんが好きなのに、心と身体を裏腹に出来た僕。

X氏は、しゃぶる僕の顎を大きな指で捕まえて、自身の方へ振り仰がせた。

そして、こう言った。

 

『君に夢中になってしまった私が、いつまでも手放したがらないんだと、思っていたんだろう?

それは大間違いだよ。

会いに来ていたのは、君の方なんだよ?』

 

苦しい、苦しいよ。

 

 

くるくると体位を変えては、義兄さんは僕と繋がり直す。

弱いところばかりなぶられるのと、興奮している義兄さんに感じてしまう僕。

フットライトだけの光量乏しい中。

義兄さんの黒目がちの眼は、熱に浮かされたように潤んでいて、僕から決して反らさないのだ。

僕らは今、セックスをしている最中で、興奮と快楽に浸っているはずなのに、義兄さんの眼差しは泣き出しそうな、悲しそうなんだ。

僕の中は、義兄さんのものでぎゅうぎゅうに埋められているのに、空虚な感情に襲われる。

切羽詰まったかのような義兄さんの表情に、僕の胸は苦しくなる。

それなのに、抱かれ慣れた僕の身体...罰を受けているんだと意識するたび、僕のあそこはきゅっと締まる。

その度義兄さんは、動きを止めてしまう。

僕は2度3度と達しているのに、義兄さんといえば、一向に絶頂を迎えてくれない。

義兄さんから与えられる愛撫に、僕はこんなにも感じているのに、彼の恍惚の呻きが得られない。

僕の腰をつかむ義兄さんの指が震えていた。

僕の背にのしかかった義兄さんは、繋がったまま後ろから抱きしめた。

 

「...なんてことしてくれたんだよ...」

 

振り絞るような義兄さんの声。

 

「...義兄さん...?」

 

義兄さんはむせび泣いていた。

 

「...チャンミンっ...」

 

僕の背に体重を預け、義兄さんは身体を震わせて泣いていた。

 

「なんて...ことを、してくれたんだよ...!」

 

僕の胸に回されていた義兄さんの腕が緩んだ。

 

「...なんて...ことをっ...」

 

「ごめんなさい...」

 

「どうして...俺を頼らなかった?」

 

僕は馬鹿野郎だ。

義兄さんを傷つけた。

1年もの間、義兄さんを裏切り続けていた。

黙っていれば済むと高を括っていた。

 

「...そうだろうなぁ...こんな俺に、言えるわけないよなぁ...っ...。

そうか...そうだろうなぁ...」

 

17も年上の人を、僕は泣かせてしまった。

ねえ義兄さん、僕を嫌いにならないで。

赦さなくてもいいから...僕を手放さないで。

 

 

(つづく)

義弟(55)R18

 

 

~ユノ34歳~

 

 

「どうして怒らないんですかっ!

嫌いにならないんですかっ!」

 

ぼろぼろと涙をこぼして俺の胸を叩き、崩れ落ちるように顔を伏せってしまったチャンミン。

 

駄々っ子のようだった。

 

怒鳴って泣いて...こんなチャンミンの姿を初めてみた。

 

これまでのチャンミンは、無茶なお願いをする子ではなかった。

 

本来なら俺とチャンミンは親戚同士で男同士、こそこそと会う必要はないが、恋愛関係に陥ったとなると話は変わる。

 

不倫相手は妻の弟。

 

俺たちは自由に大っぴらに会ってはいけない関係。

 

会うのは週に一度、バイトのある日だけ、と暗黙のルールができあがった。

 

チャンミンは聞き分けよく、そのルールを守り続けた。

 

「週に1度じゃ足りない。もっと会いたい」なんて不満をひと言も漏らさなかった。

 

我慢していたんだろうな...可哀そうなことをした。

 

罪の意識も時が経つうちに麻痺してきて、互いの...特に俺の...立場はそのまま維持して、週に一度会い続ける関係を続けてゆけたら...狡くて都合のいい考えもあった。

 

ところが、そうも言っていられなくなってきた。

 

なぜなら、本気になってしまったから。

 

俺も会いたかった、週に一度なんて...全然、足りなかったのだ。

 

チャンミンに本気になっている俺にとって、この一件は衝撃が大き過ぎた。

 

うすうすとそうではないかと疑っていたことが、事実となってしまった。

 

 

 

 

背中を震わせまるめて泣いている。

 

俺はどうしたらいいんだ。

 

「訳わかんないよ!

義兄さんは...おかしいよ!」

 

怒鳴って叱りつければよかったのだろうか?

 

チャンミンにはこれっぽっちも怒りが湧いてこない自分。

 

腹がたたない俺は、頭がおかしいのだろうか。

 

叱りつけるって...何を叱りつければいいんだ?

 

俺という存在がいながら、他の男と...よりによってX氏と性交渉をもっていたことにか?

 

チャンミンがしてきたことは、社会的にも道徳的にも褒められたことじゃない。

 

随分軽はずみなことをしてくれた、と思う。

 

しかし、責められるべきは大人であるX氏の方であり、子供のチャンミンには無い。

 

俺も同罪なのだ。

 

俺には妻がいる。

 

妻Bを夫として抱いていながら、同時進行でチャンミンも抱いていた。

 

俺はチャンミンを責められない。

 

俺の方こそ...もしかしたらX氏以上に、チャンミンに酷いことをしているのだから。

 

俺もX氏と同じ穴の狢だ。

 

俺は子供に手を出している。

 

俺は妻がいる身でチャンミンと関係を持っている。

 

なんてことを続けてきたんだ、俺という人間は。

 

 

 

 

「義兄さんっ...!

今すぐ僕とヤッてくださいよ」

 

「......」

 

俺はためらっていた。

 

今、チャンミンを抱くべきなのだろう。

 

チャンミンは今、俺の気持ちを確かめたいのだ。

 

でも...。

 

チャンミンは、別の男と寝ていた。

 

1年も前から。

 

俺とチャンミンに、肉体関係を持ち始めた頃じゃないか。

 

...なんてことしてくれたんだよ。

 

チャンミンの身を案じて探し回った俺、X氏の余裕の表情、チャンミンの涙、疑惑が真実に変わってしまった衝撃。

 

自己嫌悪に浸っていたのが、これらの衝撃から冷静さを取り戻すにつれ、俺の心を襲ったのが嫉妬だった。

 

あの細い身体が、X氏の大きな身体に組み敷かれ、あの太い腕で上に下に横にと自在に操られる光景が浮かんだ。

 

例え意に沿わないセックスだったにせよ、刺激されれば反応してしまうのが男の身体。

 

X氏に攻められ、快感の表情を浮かべるチャンミン。

 

1年もの間。

 

俺と抱き合った後に、X氏に抱かれた日もあったに違いない。

 

まるで鋭利な刃物で胸を刺されたかのように、あまりの激痛に息が詰まる。

 

この傷口が塞がる時は訪れない、いつまでもじくじくと痛み続けるだろう。

 

チャンミンはX氏と会っていた...つい数時間前まで、彼はX氏の部屋にいた。

 

「...義兄さんっ...お願いです」

 

泣きわめいて興奮したせいで、チャンミンの頬が紅潮していた。

 

仰向けになった俺の上にまたがるチャンミン。

 

「...うっ...義兄さんっ...ごめんなさい」

 

俺の中に狂暴な何かが湧いた。

 

チャンミンの両頬を挟んで力づくで引き寄せ、唇を重ねた。

 

下唇を食んで吸うと、チャンミンは呻いた。

 

そういえば唇を怪我していたことを思い出した。

 

構わず俺はチャンミンの口をこじ開け、同時に伸ばした舌同士をからませた。

 

「...っ...ふっ...んっ...」

 

まだ多くの宿泊客が眠りについている時間帯、静寂の室内にちゅうちゅうと2つの舌が立てる水音が鮮明だ。

 

「...んんっ」

 

チャンミンの指が俺のそこを撫ぜた。

 

確かめたわけじゃないが、スウェットパンツの生地を押し上げ、くっきりと浮かんだそこを、チャンミンの指がなぞる。

 

「...んんっ」

 

竿をつかまれきつめにしごかれて、その度俺の腰は震える。

 

チャンミンのこの細い指が、X氏のものに触れていたのか。

 

むかぁっと身体が熱くなった。

 

スウェットパンツのウエストが引き落ろされて、俺のものが弾んで飛び出す。

 

チャンミンの愛撫を受ける前、キスの時点で股間が苦しくなっていた。

 

すかさずチャンミンはそれを頬張る。

 

かりの周囲をぐるりと舐め、とろりと唾液を垂らして塗り広げる。

 

根元をしごきながら、亀頭を吸い、舌先で尿道口をくすぐった後、頭を上下に振る。

 

「...ふっ...ううん...」

 

喉の奥から唸りが漏れる。

 

上目遣いのチャンミンと目が合う。

 

その眼は涙に潤んで、充血していた。

 

俺は天井を仰いで目をつむり、食いしばった歯の隙間から低い吐息。

 

破裂音を立てながら、必死に俺のものを奉仕するチャンミン。

 

腰の芯までぞくりと痺れた。

 

まぶたの裏で、閃光が発する。

 

「...習ったのか?」

 

「ぐっ...んぐっ...ちがっ...」

 

チャンミンの発言を封じるがごとく、腰を突き上げた。

 

チャンミンの後頭部を股間に押しつけ、えずくのも構わず腰を振る。

 

一瞬、我に返り、押さえつけていた手を除けた。

 

チャンミンは俺のものを咥えたまま、酸素を求めてあえいでいた。

 

勢いよく起き上がり、チャンミンの身体をひっくり返してうつ伏せに寝かした。

 

「あんなこと...絶対にもうしませんから...っあ...」

 

腰をつかんで、尻を突き出させる。

 

チャンミンの尻を割り、露わになったそこに、「ちう」と吸い付いた。

 

「...あんっ...」

 

チャンミンの甘いかすれ声に、いらっとした。

 

「義兄さっ...ダメっ!」

 

ぷくりと赤く熟れていた。

 

もう日付は変わってしまったが、一昨日の晩は激しく突き立ててしまったから、その名残か?

 

それとも、X氏との...?

 

切れて出血している様子はなく、ほっとした。

 

「痛いのか?」

 

「...ううん、痛くないっ...全然...平気っ...」

 

安心したそばから、チャンミンへの攻めを再開させた。

 

指1本分開いた口に、舌をねじこんだ。

 

ぎゅうぎゅうと締め付けられて、これ以上侵入できない。

 

舌と縁の隙間に指を差し込み、かぎ型に指を曲げた。

 

「...んあっ!!」

 

チャンミンの背中がびくびくっと痙攣した。

 

指の腹と曲げた関節でぐりぐりと刺激する。

 

同時に舌も躍らせる。

 

緩んだり締め付けたり、女のそこのようにうねっている。

 

チャンミンの喘ぎも、女のように甲高い。

 

17歳でこうも感じることができるものなのか。

 

ここはチャンミンの部屋で、そこを潤すものなど用意してきていない。

 

指を2本に増やした。

 

「あ、ああぁぁぁ」

 

チャンミンの腰がぶるっと震え、かすれた悲鳴をあげた。

 

「Xさんにも、こうされていたのか?」

 

「...されてないっ!

あの人...そこは舐めないっ...汚いからって...!」

 

その具体的な内容に、俺の体温はすっと下がり、直後に上昇した。

 

「さっきも抱かれていたのか?」

 

「......」

 

隠すように組んだ両腕の間に、顔面を埋めてしまった。

 

シーツを握りしめている。

 

俺は止められない。

 

優しくなんかできそうにない。

 

 

(つづく)

 

 

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