(14)ぴっかぴか

 

 

~ユノ~

 

 

男の裸を見てドキッとしてしまう経験は、これまでなかった。

 

体育の授業前後、教室で着替える時、部活動でのロッカールーム。

 

ガリガリに痩せた貧相な奴(背を向けてこそこそと着替えている)、ぽっちゃり体型で女子より胸がある奴(ふざけた級友たちに揉まれる)、筋トレに励みだしていい身体に仕上がったのを見せびらかす奴(胸筋触ってみる?)...体形はさまざまだ。

 

ブラジャーとそこにおさめられたものにしか興味がなかったから、男どもの身体なんて目に入っていなかった。

 

修学旅行や部活動の合宿では、複数人で風呂に入る機会もある。

 

一番乗りで毛が生えた奴がいたりすると、もう大変だ。

 

「見せろ見せろ」と、恥ずかしがって股間を隠す手を強引に除けて、「うっわ~」とからかってみたり、大人に近づいた彼を羨ましく思ったり...。

 

サイズや形は違っても、同じモノをくっつけている同性同士。

 

「だから、何?」なのだ。

 

湯の温度がおかしいと騒ぐから、浴室に様子を見に行ったんだ。

 

一応、礼儀としてチャンミンの身体をじろじろ見ないようにしていた。

 

床にぺたりと座り込んでいたチャンミンは、乳首と股間を隠している。

 

そして、その手が除けられた時。

 

俺の視線はソコに釘付けになってしまったのだ。

 

 

「!!!!!」

 

 

つ。

 

 

つ。

 

 

つ、つるっつる...。

 

 

そう。

 

チャンミンのアソコはつるっつるだったのだ。

(AV男優でも剃毛してる奴いるよな...)

 

つるっつるだから、当然チャンミンのアレはもろ出しなわけで...赤ちゃんの...とまでは言い過ぎか...ぴっかぴかの一年生のものみたいだった。

 

サイズは俺とそれほど変わらないのに、ピュア感があるのは...色素が薄いせいか。

 

つるっつる...。

 

「ゆの?」

 

スウェットパンツの裾を、つんつんと引っ張られてはじめて、チャンミンのアソコを凝視していた自分にハッとする。

 

「あんた...。

ソコ...。

剃ってるの?」

 

俺は疑問に思ったことを、ストレートに尋ねてしまうところがある(友人たちに無邪気な無神経者だと言われている)

 

チャンミンは自身の股間に視線を落とし、つるっつるのソコを撫ぜた。

 

「これ?

びっくりした?」

 

「うん。

初めて見たよ。

すげぇな...」

 

胸や腰からソコに向けて滑り落ちた泡で、濡れて光る無毛地帯。

 

斜めに崩した座り姿勢のせいで、妙に艶めかしかった。

 

「エロい...」と思ってしまい、だからこそ俺は、学生時代の更衣や入浴時間を思い出していたのだ。

 

チャンミンが俺の「毛」に興味を持ったように、今度は俺の方が興味津々だった。

 

「剃刀?」

 

「ううん。

剃ったら3日もしないうちにチクチクするじゃないの」

 

(...ということは、剃った経験があるんだな)

 

「これね、永久脱毛してるの。

レーザーだよ」

 

レーザーと聞いて、「痛そうだな」と俺は顔をしかめた。

 

「なんでぇ?

パンツがちっさくてはみ出るから?」

 

チャンミンがドアの隙間から俺に手渡した下着が、女もののパンツみたいに小さなものだったから。

 

「んー、それもあるけど...」

 

(銀髪が許される職業!

つるっつるのアソコ。

ちらっと浮かんだ考え...AV男優なのか!?

それなら納得だ。

うん、大いに納得だ)

 

心の中で頷いていると、チャンミンはくすくす笑い出した。

 

「ユノが何を考えているか分かるよ。

僕はそんなんじゃない」

 

前髪は後ろに撫でつけ、額ときりっと真っ直ぐな眉が露わになっていた。

 

水滴をのせたまつ毛は艶やかに長い。

 

「タマの方はどうなってるの?」

 

「デリケートなところだからね。

施術の時、痛かったよぉ」

 

チャンミンは横座りから両膝を立てて座り直した。

 

そして、アレとタマをすくい上げて、俺に無毛地帯を見せてくれる。

 

「ほら」

 

「うわっ~。

つるっつるだ...すご」

 

これぞまさしく、生まれたての姿!

 

「お尻もつるつるだよ」

 

四つん這いになったチャンミンは、件の箇所を見せてくれる。

 

「どれどれ?」

 

俺もよく見てやろうと、しゃがみ込んだ。

 

男のケツなんて怖気づいてしまうシロモノなのに、好奇心の方が勝ってしまったのだ。

 

俺の目前にさらされたソコは、チャンミンが言う通りつるっつるだった。

 

「シモの毛、全部ないんじゃん」

 

「そうなの」

 

待て...。

 

待て待て。

 

俺は今、何をやってるんだ?

 

知り合って15時間も経っていない男の、股間事情を知ることになるなんて..!

 

でも、いかがわしい雰囲気がほぼなかったのはやっぱり、チャンミンが綺麗な男で、ごつさのない身体がつるんと中性的だったからなんだろうな。

 

「シモの毛をつるっつるにしたワケは?」

 

「前付き合ってた人がね、つるつるにしろ、って」

 

「はあぁ?」

 

(恋人に剃毛...じゃなくて脱毛を命ずるなんて...一体どんな関係なんだよ!)

 

「つるつるだと興奮するんだって」

 

「うわぁぁ...。

俺には理解できん」

 

童貞のくせに、アレの経験がないくせに、俺はそう言った。

 

つるっつるになったそこに頬ずりする男の姿が浮かんだ...淫猥だ。

 

ドン引きするどころか、エロいと思ってしまった俺。

 

チャンミンはシャワーで泡を洗い流し始め、俺は脱衣所に戻った。

 

数センチ開けたドアの隙間から会話を続ける。

 

「それって...ピアスをくれた人?」

 

「ううん。

また別の人」

 

「...あんた、いっぱい恋人がいたんだなぁ。

これまで何人と付き合ったことあるんだ?」

 

俺はこれまで4人の女の子と、肉体関係抜きで交際してきた。

 

「カウントしたことないけど...。

『付き合った』と言えるのは。

20人...くらいかなぁ」

 

「はあぁぁぁぁ!?」

 

 

(つづく)

 

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