(37)虹色★病棟

 

気持ちが盛り上がってきた僕らだ、さっきの確認の質問はあってもおかしくなかった。

 

いざベッドインした時、二人とも『受け』だったり、二人とも『攻め』だったりしたら、ちょっと困るから。

 

「ユノは?」

 

なんとなく...なんとなくだけど、ユノは組み敷かれる方かなぁ、って(僕の経験はお粗末なものだけど、予想してみた)

 

ユノは僕よりもずっと男らしいタイプで、そのイメージ通りにいくと挿入する側だ。

 

でも、人というのは見た目通りなことよりも、「見た目と違って...」と言うことの方が多いと思う。

 

ユノの場合、マッチョな男らしさというより、男装の麗人的な雰囲気を同居させている。

 

「男らしいのに実は...」な部分と、「女性的な見た目も有している」の2つから導き出せれた答え...ユノは『受け』ではないか、と。

 

男の下で喘ぐユノの姿を想像して興奮してしまった僕は、ひとりこっそりと自室で前を刺激せずにはいられなかったんだ(ユノには内緒)

 

(ちなみに、僕はゲイだとカミングアウトすると『あ~、分かる気がする』とよく言われる。なぜだろう?)

 

「俺?

どっちだと思う?」

 

ユノはいたずらっ子な笑顔になった。

 

普段はマスクで覆われている口元も笑っていて、僕の嬉しさは倍増だ。

 

「え~?

どっちだろう?」

 

僕は分からないふりをして、僕らの唾液で濡れたユノの下唇を人差し指でなぞった。

 

ふざけたユノに指を齧られそうになる前に、指を引っ込める、引っ込めたけど、わざとユノに捕まった。

 

(ユノ...凄いよ、僕の指を咥えているんだよ?

反動で寝込んだりしないでね)

 

「イメージ通りだよ」

 

ユノは下唇をもてあそぶ僕の手を包み込み、動きを封じた。

 

「...ということは?」

 

ことがシンプルに運んでほっとしたところ、

(僕のイメージからゆくと...ユノはあっちで、でも、イメージ通りにはいかないだろうから、そっちじゃないかと予想してて...。

結局、どちらなんだろう?

分からなくなってきたぞ)

 

ユノは僕のうなじを引き落とし、僕の耳まるごと咥えた。

 

(ユノ...すごい!

いいのかな、いいのかな?

お風呂で綺麗にしてあるから大丈夫だよね?

僕の耳を舐めちゃって、いいのかな?)

 

「あ...あは...」

 

ユノの口内に僕の耳は包み込まれ、ゴウゴウいう音がうるさい。

 

ダイレクトに耳の穴に息を吹きかけられ、その度に全身の力が抜ける。

 

耳の窪みをひとつ残らず舐め終えたユノは、僕を再び驚かせた。

 

「!!」

 

お尻の割れ目をユノの指先が上下になぞり出したのだ。

 

「くすぐったい...!

駄目だよ、ユノ!」

 

ユノの太ももの上から逃れようと身動ぎしても、ユノにお尻をがっちりと抱え込まれていて無理だった。

 

「チャンミンはこちらの方が似合う」

 

「え!?」

 

「相手が俺ならば、チャンミンはこっちだ」

 

「......」

 

「こっちの方が気持ちいい思いができるぞ」

 

「え~っと...それは、どういう...意味なのかな...?」

 

「チャンミンは心のどこかで、俺に抱かれたいと望んでいたはずだ。

そうじゃなくても、気付いていないだけの話だよ。

チャンミン。

お前は俺に抱かれる側だ」

 

「えええぇぇ!?」

 

ユノの堂々とした言い方といったら!

 

「そうなんだよ。

チャンミンをこうやって...」

 

ユノは僕を抱き直した。

 

「抱っこしてみて、確信したよ。

俺はチャンミンを抱きたい。

チャンミンも...俺に挿れられたいと思っているはずだ」

 

「どうしてそんなこと分かるんだよ?」

 

「なんとなく、そう思ったんだ。

チャンミンは相手が持つ雰囲気に敏感で、一緒にいる奴と共感しやすい人間だ。

俺も相性を大事にするタイプだ。

相性が合わない奴の身体なんぞ、触りたくもない」

 

ユノは眉間にしわを寄せ、唇を歪めた。

 

「ユノは...根っからの...そっち?」

 

「ああ。

俺は好きな奴を抱きたい男だ。

好きな奴の中で果てたい。

好きな奴を気持ちよくさせたい」

 

(どきどき)

 

「そうは言っても、俺の侵入を許してくれる人なんて...。

裸で抱きあえる奴なんて滅多にいないよ。

生涯では一人だけかな...今のところ」

 

「うそ!?

ユノみたいなら...」と言いかけて、ハッとする。

 

ユノの見た目なら男に不自由しない。

 

でも、ユノと裸で抱きあう資格を持つ者はそうそういない。

 

だってユノは潔癖症。

 

ユノはそのたった一人を失ったのか...そうなのか。

 

ユノの指は僕の溝をなぞっているだけだ。

 

その溝の奥は熱を帯び、もっと奥はうねりながら、触れてもらいたがっている。

 

「こっちの経験は?」

 

ユノは僕のお尻をぺんぺん、と叩いた。

 

「...ない...けど...。

ないけど...ある」

 

「どういう意味だ?」

 

「婚約者とする時は、彼が受けだったから僕はそれに合わせてただけなんだ。

どっちがいいなんて、僕の経験人数じゃ分からない。

ヤッたことがあるのは、一人っきりなんだ」

 

「へえ~」

 

「『ある』と答えたのは、ワンピースを着てみるようになった頃から、自分でするようになった」

 

このカミングアウトも、もの凄く恥ずかしい。

 

「男の人に、そういう風にされたいって、思うようになったんだ。

見よう見まねで...彼にやってたことを、自分のお尻でやってみただけで...」

 

「じゃあ、自分で開発してたんだ?」

 

「...そういうことに、なるね。

『開発』かぁ...言い方がエッチだね」

 

「意見は一致したな」

 

「でも、本番はしたことないんだよ?」

 

「俺に任せていればいい」

 

「...わかった」

 

思いもよらない流れになってしまったけれど、ワンピースを脱がされる夢が叶うのだ。

 

...それも、ユノの手で。

 

 

(つづく)

 

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