(3)禁断の行為

 

「ヒリヒリする?

ズキズキする?」

 

チャンミンは、兄弟どころか双子のように育ってきたユノのことが心配でならなかったのだ。

 

「痛くはないけれど...じんじんする。

ウズウズする感じかな」

 

件の箇所だけじゃなく、両脚の付け根のあたり一帯がなんとも形容しがたい感覚なのだ。

 

(なんだろこの感覚。

悲しいでもない、寂しいでもない)

 

この感覚をふさわしい言葉で言い表すと...身体が切なくうずく...。

 

性的に興奮する経験無しに生きてきたユノが、これをうまく言い表せなくて当然だ。

 

膨張したそこは、一向におさまる気配がない。

 

(俺は村一番、あそこがデカい男の人生を送るのだろうか?

牛追いの仕事に支障がありそうだ。

揺れて走りにくい)

 

ユノはその場で跳躍してみた。

 

ビョンビョンとそこは揺れた。

 

「腸詰のソーセージみたいだね」

 

この村では年に一度、丸々と肥えた豚を1頭しめる。

 

村民総出で解体し、血肉の全てを保存食にと加工する。

 

冷静なユノは、巨大になったこれと共存する生活を想像していた。

 

(それから、木の伐採や薪割りの邪魔になりそうだ)

 

ユノはここで、もっと重大なことに思いいたった。

 

(用を足すときだ!

手で押さえつけていないと...もろにかぶってしまうじゃないか)

 

用足しの場面を想像し、ユノの手はそろそろと怒張したそこへと下ろされた...。

 

そこはより敏感になっていた。

 

「はうっ!」

 

ユノの悲鳴にチャンミンはとび上がる。

 

「葉っぱで包もうか?

すり潰したものを塗ろうか?

僕が採りに行ってくるから、ユノは休んでいて」

 

チャンミンは落ち着かなげに、ユノの周りをウロウロしていたのだ。

 

森の奥には鎮静効果のある薬草が生えており、村人たちはそれを煎じたり練ったりして、万能薬として頼りにしていた。

 

「安静にしていてね」

 

チャンミンはユノの肩を押して強引に座らせると、森の奥に駆けていった...けれど、戻ってきた。

 

「僕が行っている間、泉の中に浸かっていたら?

冷やした方がいいよ。

火傷した時や蜂に刺された時はよく冷やせ、と言われたでしょ?」

 

「俺のこいつは蜂に刺されてもいないし、火傷もしていない」

 

「パンパンじゃないか。

見ていて痛々しいんだよ」

 

チャンミンはユノの足元にしゃがむと、腫れたそれにふうふう息を吹きかけた。

 

「ぅんん...ん♥」

 

「!!!」

 

生まれて初めて聞くユノの声に、チャンミンは驚いた。

 

(ユノが変な声を出している!)

 

ユノの敏感な箇所に顔を近づけた時、チャンミンはユノのそこが漂わせる匂いと弾力をたたえた形状に、説明がつかない欲求に襲われていた。

 

無意識にごくり、と唾を飲みこんでいた。

 

頬ずりしたくなったのだ。

 

(ユノの腫れたそこが愛おしくなってきた。

可愛がってあげたくなった。

ヨシヨシなぜなぜして...チューしたくなってきた)

 

ユノの先を舐めたくて、チャンミンはちろりと舌を出した。

 

(ちょっとだけ、ペロッとひと舐めしたら...だめかなぁ?)

 

「う、うん」

 

(ユノのおしっこが出るところをぺろぺろしたくなるなんて!

僕はユノが大好きだから、お尻の穴でも全~然平気なんだけどね。

お尻から汁が出るだけじゃなく、頭も変になったのかな?

これまで、ふざけてユノの首筋や肩をがぶがぶしたことあるし、怪我したユノの指を舐めたことはあるけれど...。

あ、そっか!)

 

「ねえ、ユノ。

ユノの腫れてるそこ...ぺろぺろしてあげようか?」

 

「ここを?」

 

「うん。

怪我した時とかさ、舐めてあげたでしょ?

でさ、次の日には治ってたじゃない?

少しはマシになるかもよ?」

 

熱っぽいウズウズ感のやり場に困っていたユノは、「頼む」と言って、バネのように弾むそれをチャンミンに差し出した。

 

チャンミンはユノの前で膝をつき、両手を合わせた。

 

「では...いただきます」

 

「い、いただきます?」

 

「あ~~!

ごめんごめん。

さっきのソーセージが頭に残ってて。

不謹慎だったね」

 

(心配なのは当然として、舐めたい欲求の方が強かったことは、ユノに内緒だ)

 

「ソーセージみたいに、ガブっと齧られるかと思ったよ」

 

「ユノに痛い思いはさせたくないからさ。

笑わせようと思ったんだ」

 

「チャンミンといると俺は万年愉快だ。

よし、やってくれ」

 

ユノはぐいと腰を突き出した。

 

(最初はちょっとだけ...)

 

チャンミンは舌先で、暴れているユノの先をつん、とした。

 

ユノの股間に稲妻が落ち、自然に逆らって頭頂部へと電流が流れた。

 

「はうっ!!」

 

チャンミンはユノを見上げて「大丈夫?」と訊く。

 

「いや...驚いただけだ」

 

ユノの鼓動は狂ったように早い。

 

チャンミンが身動きすると、ぷんとバターの実の匂いも動く。

 

(それから、動物的な匂いも。

発酵の進んだチーズのような、数日水浴びをしていない項のような...。

祈祷小屋のお香のような、盛りの過ぎた花のような。

癖は強いが頭の芯がくらりと揺れてしまう匂い。

チャンミンから匂ってくる!)

 

「...んっ」

 

ユノのそこは、1.1倍拡大していた。

 

(まずい...。

刺激を与えるとより腫れるんだ!?

これ以上、膨張してもらったら困る!

3本目の脚は要らない!)

 

「じゃあ、しゃぶるね?」

 

「いや...いい」

 

ユノは、股間に近づくチャンミンの口を塞いだ。

 

正直な気持ちは、「もっと舐めて欲しい、しゃぶって欲しい」だ。

 

目もくらむほどの快感を、ユノは生まれて初めて経験した。

 

(引き換えにここが膨張してもらったら困る。

限界まで膨れた結果、破裂してしまったら...!

ぶるぶるぶるぶる)

 

チャンミンは立ち上がり、身を震わせるユノを覗き込んだ。

 

(あ~あ。

舐めたかったのになぁ)

 

チャンミンは、ユノの先端から浮いた粘液を舐めとっていた。

 

(不思議な味。

ユノの味。

もっと味わいたかったなぁ...)

 

 

「無駄かもしれんが、証拠隠滅だけはしておこう」

 

バターの実の種を拾い集めるチャンミン。

 

身をかがめたチャンミンの引き締まった尻が、手を伸ばせば届く位置にある。

 

ユノのそこがますます腫れてきた。

 

(この感じ...一体何なんだ!

チャンミンの尻を見ていると、胃のあたりがきゅうっとなる。

股ぐらにきゅうっと力が入る)

 

ユノの視線を自身の尻にびんびん感じていたチャンミン。

 

(ユノが...僕を見ている。

 

僕のお尻を見ている。

 

お尻...お尻...お尻。

 

お尻はとろとろでぬるぬるなんだ。

 

穴の中が痺れてる痒い、熱を持ってる。

 

何かで栓をして欲しい!

 

栓をして、痺れて痒いところをゴシゴシして欲しい!)

 

チャンミンは後ろのユノを振り向いた。

 

(栓をするのにぴったりな棒があそこにあるではないか!)

 

 

 

(つづく)

(2)禁断の行為

 

ユノに尋ねなくても生温かいものが自身の内股を濡らしていることに、チャンミンはようやく気付いた。

 

「何!?

何これ!?

ぬるぬるがいっぱい出てきてるよ」

 

(おもらし!?

僕が最後にお漏らしをしたのは確か...え~っと...7歳の時だ。

家族にバレないよう日の出前に、ユノが濡れた敷布を洗ってくれたんだ。

18歳にもなってお漏らしなんて...恥ずかしい!

でも、このぬるぬるはおちんちんからじゃなくて、お尻から出ている...!)

 

自身の肉体から得体のしれないものが湧き出てきている...恐怖だった。

 

「ムズムズする」と大騒ぎしていたチャンミンが、ぴたりと黙り込んでしまったため、心配したユノはこう言ってチャンミンを慰めた。

 

「バターの実はきっと、食べたらすぐに尻から出てくるんだよ。

これはバターの実の汁だ。

チャンミンは山ほど食べたから、いっぱい汁が出るんだよ」

 

「...なるほど」

 

慰めるユノだったが、今度は彼の身体にも変化が現れてきていた。

 

下腹の辺りが重ったるいものが渦巻いている。

 

チャンミンのいう「ムズムズ」とは、尻の奥がうずく違和感だ。

 

こりこりと固く引き締まり、内臓はうねり、ジンジンと火照っていた。

 

さらに尻の穴はパクパクと痙攣し、その口が開く度、とろとろと粘液が溢れ出た。

 

(不快感...というより、栓をして欲しい!

何かで塞いで欲しい!)

 

「今度は穴の中を探ってみるよ。

穴の中にデキモノができているかもしれないから」

 

朝になれば、禁じられた実を食べたことのお咎めを受けることは確実だ。

 

どうせ叱責をくらうことになるのだ、症状だけは把握しておきたかった。

 

「うん...ぐずっ...ぐすっ...」

 

(僕の身体が変になっちゃった!)

 

身をかがめたチャンミンの尻に対面するよう、ユノは膝まずいた。

 

(なんだ...この匂いは。

20年物のバター酒のような匂いだ...。

酔っ払いそうだ)

 

頭の芯が痺れそうになるのを堪えた。

 

(このぬるぬるが放つ空気や、チャンミンの吐く息が原因だ。

食べてもいない俺まで中毒になりそうだ。

おそるべしバターの実。

禁断の実とは1齧りか多くて1個だろうに。

馬鹿食いしたチャンミンが悪い)

 

尻の谷間は濃い影ですっかり隠されている。

 

穴の箇所が不明で、ユノの指はチャンミンの口に周囲をくるくる探ることになる。

 

「ひゃ、ひゃ...くすぐったい」

 

「ここ...かな?」

 

探り当てた窪みに、ユノは指を立てる...。

 

(なんだ!?)

 

「あ...あ、あ...あ...」

 

生まれて初めて聞く、苦痛の声とは違うチャンミンの掠れ声に、ユノは驚く。

 

(チャンミンが変な声を出している)

 

「もうちょっと入れるね?」

 

力を込めなくてもユノの指は、つるりと中へ飲み込まれていった。

 

大量に湧き出た粘液が潤滑油の代わりを果たしたのだ。

 

(すご...)

 

加えてチャンミンの腸壁が内へ内へとうねったからでもある。

 

ユノの指は腸壁に捉えられ、きゅうきゅうと締め付けられている。

 

中の感触は温かくて柔らかく、やわらかい。

 

(永遠に指を埋めていたくなる...)

 

痺れは先ほどより強くなり、ユノの頭から下腹の方へとじわじわと浸食していった。

 

(バター酒を樽いっぱい飲んだかのように、酔っぱらってきた。

ふわふわする...)

 

はっとする。

 

(チャンミンの中の具合を確かめるのが、目的だったろうが!)

 

「動かしてみるね?」

 

ユノは指を引き、入り口の辺りをまさぐり始めた。

 

「ひゃあん!」

 

わずかな指の動きでも、チャンミンは敏感に反応した。

 

「えっ!?

痛かった?」

 

「ううん、平気っ...」

 

ユノの指は一向に、吹き出物らしき突起を探り当てることはなかった。

 

「デキモノもブツブツも何も出来ていないぞ。

もうちょっと、触っているからな?」

 

ユノは指先をぐるりと回転させた。

 

「あっはぁん!」

 

「しー!」

 

チャンミンが発してしまった声は、静寂の村によく響いた。

 

(お尻の中がもっとウズウズした。

気持ちがいい!

ぞくぞくする!)

 

そして、チャンミンは心の底で懇願する。

 

(もっと擦って欲しい!

指を動かして欲しい!!)

 

「俺の予想だと、ぬるぬるはバターの実の汁だ」

 

指を引き抜く時もチャンミンは雄叫びをあげてしまい、ユノに尻を叩かれてしまう。

 

ユノは人差し指にまとわりついた粘液をしゃぶった。

 

「...やっぱり、バターの実みたいな味がする」

 

「食べてないじゃん」

 

「匂いから連想される味だよ。

...うむ...美味いな、これ?」

 

「でしょ?

ユノも食べてみなよ」

 

「嫌だ。

尻の穴から汁が出るなんて...御免だ」

 

ユノは両腕で自身を抱きしめ、身を震わせた。

 

排泄器官である穴の中をいじられると、強烈な快感を得られることを、チャンミンはユノに告白できずにいた。

 

ユノはチャンミンの異常事態に集中していた。

 

バターの実の食べ過ぎで、その果汁が尻から漏れ出てしまったと結論づけられ、安心したユノは、二の次にしていた自身の身体の変化を認識するようになった。

 

チャンミンから漂う香りに酔って、頭から下腹に向けて痺れを感じていたこと。

 

そして...。

 

今宵は文字が読める程の月光が注いでおり、2人の足元の影も濃い。

 

チャンミンの目はユノのある1点に釘付けになっていた。

 

「ユノ...大変だ!」

 

「何が?」

 

「ユノのそこ...」

 

「そこ?」

 

「ユノのおちんちんが腫れてる!」

 

「なんだって!?」

 

チャンミンが指さす先...自身のへその下あたりを見下ろした。

 

「!!!!」

 

両太ももの付け根にくったり下がっていたものが、今や斜め上を向いていた。

 

大きさも3倍とまでは言わないが、明らかに質量を増していた。

 

「ホントだ!」

 

慌てたユノは、膨張した箇所に触れてみる。

 

「はうっ...!」

 

今度は地から天へと逆向きに痺れが駆け抜けた。

 

(なんだ...この感じ)

 

「ユノ...痛いの?

痛いよね?

こんなに腫れちゃってる」

 

張りつめたそれが痛々しく思えて、チャンミンは触れて確かめることができない。

 

「くそっ...じんじんする」

 

「虫に刺されたの?

それとも、僕のお尻の汁が付いたからかな?」

 

「分からない」

 

皮が張り裂けそうに腫れあがったそれは、身動きするとバネのように揺れ、重力に逆らって45度の角度を保っている。

 

「尻から汁が出て、前が腫れあがり...こんなこと村の誰にも相談できない。

朝になる前になんとかおさめないと!」

 

「うん!」

 

二人は顔を見合わせ頷き合った。

 

 

(つづく)

 

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(1)禁断の行為

 

 

村の水汲み場の傍らに、バターの木が生えていた。

 

春になるとたわわに実がなる。

 

黄みの強いクリーム色に卵型をしており、バナナと葡萄が混じり合った濃い芳香、食べるとねっとりとした歯触りで口の中でとろりと溶ける。

 

バターの木とは、幹を傷つけるとバターのような樹液が染み出てくることに由来する。

 

樹液ならいくらでも採取してもよいが、実だけは食べてはならぬ...特に女が食べることは厳禁だ。

 

これが村の掟だった。

 

なぜ禁じられていたのか...その理由を知らない者も多かった。

 

口にすると3日3晩苦しみ続けるそうで、大人たちに聞いても言葉を濁して具体的なことは教えてくれなかった。

 

駄目と言われるほどに興味が湧き、食べてみたくなるのが人の常。

 

いつものように水汲み場は賑やかだった。

 

チャンミン青年は、携えていた水瓶に腰掛け、その様子を眺めていた。

 

彼の視線は、赤ん坊を抱いた母親たちを素通りして、バターの木に注がれていた。

 

(どんな味なんだろう...食べてみたい!)

 

チャンミン青年は痩せの大食いだったのだ。

 

(ユノを誘ってみよう!)

 

彼は勢いよく立ち上がり、水瓶いっぱいに水を満たすと、その場を立ち去った。

 

 

チャンミンにはユノという友人がいた。

 

彼らは生まれてから18歳になる今まで、兄弟のように育ってきた。

 

「バターの実を食べたいから付き合ってくれ」というチャンミンの誘いに、ユノは「嫌だ」と即答した。

 

「食べたら死ぬかもしれない。

俺はご免だ」

 

ユノは中断していた薪割りに戻った。

 

「僕らは男だから食べても平気だよ」

 

「特に女は食べるな、というだけで、男は食べてもいいとは言っていないんじゃないかな?」と渋るユノ。

 

斧を振り下ろすたび、ユノの前がふるふると揺れた。

 

そよ風に、チャンミンの前の毛がふわふわと揺れた。

 

その通り、二人は一糸まとわぬ姿だった。

 

この村では老若男女問わず、衣服というものを知らず、皆全裸だった。

 

ただし、成人した男性のみイチヂクの葉で局所を隠していた。

 

ユノもチャンミンも恥じらうことなく全裸でのびのびと、18年間生きてきたのである。

 

弟分のチャンミンから可愛らしく甘えられて、兄分のユノは渋々頷いた。

 

「ただし、食べるのはチャンミンだけだ。

俺はついていくだけだよ?」

 

チャンミンは大喜びだ。

 

(どんな味なのかなぁ。

1個じゃ足りないから、10個は食べよう)

 

想像するだけで、チャンミンの口の中に唾がたまった。

 

決行は今宵の深夜だ。

 

 

早寝の村は寝静まっている。

 

月明かりで夜目がきいた。

 

バターの実が月光に照らされぼうっと白く浮かび上がり、泉の水面もきらきら光っていた。

 

ユノが先導して、寝ぼけまなこのチャンミンの手を引いていた。

 

チャンミンはワクワク感で消耗してしまい、夕飯前に眠り込んでしまったのだ。

 

(食べたいと言ったのはチャンミンなんだぞ?

仕方のない奴だ)

 

水汲み場に近づくにつれ、バターの実の濃密な匂いがチャンミンの鼻腔を刺激した。

 

チャンミンの意識はしゃきっと目覚めた。

 

「ユノは食べなくていいの?」

 

「いらない」

 

(共犯者として食べてやってもいいけれど、口にしたチャンミンがもがき苦しみだしたら、介抱する者がいなくなる。

三日三晩苦しむらしいが、この村で亡くなった者は誰もいない。

死ぬようなことはないだろう)

 

チャンミンはバターの実を3個、もぎ取った。

 

「1個じゃないのか?」

 

「1個じゃ足りない」

 

躊躇することなく、バターの実にかぶりついた。

 

目をつむって、その味を堪能することに集中した。

 

(甘すぎずわずかに酸味があり、ねっとりしてるのにほとばしる果汁、果肉は舌にまとわりつくのにしつこくない、表皮に近い部分はやや歯ごたえがあり、中心部には果汁を蓄えている、濃密でさわやか、爽快なのにクリーミィ...なんて美味しいのだ!!)

 

「美味い美味い」をつぶやきながら実を2個3個と食べ進めるチャンミンを、ユノは見守った。

 

みずみずしい香りが夜気にのってきて、ユノも誘惑にのりそうになった...けれども我慢した。

 

6個めの種が地面に落ちた時、チャンミンに異変が起きた。

 

(いよいよか!?)

 

ユノに緊張が走った。

 

チャンミンは食べかけのバターの実を放り出し、ユノの方へと近づいてきた。

 

「ユノぉ...」

 

「...チャンミン?」

 

チャンミンの目がまぶたに半分隠れ、とろんと眠たげになっていた。

 

果汁に濡れた唇を、べろりと舌で舐めとった。

 

色気とは何たるものか、ユノは知らなかった。

 

「ユノ...僕、何か変なんだ」

 

「ほら、俺の言った通りにしないから。

食べすぎなんだよ」

 

チャンミンはよたよたと、ユノに近づいてくる。

 

ユノは果物の香りの他に、別の匂いが鼻をくすぐり始めていることに気づいた。

 

(なんだ...この匂い)

 

足をもつれさせたチャンミンをユノは抱きとめた。

 

「ユノ...。

お尻がムズムズするんだ」

 

「腹が痛いのか?」

 

チャンミンは左右に首を振る。

 

「お尻が変なんだよぉ。

むずむずするんだよぉ」

 

「痒いのか?」

 

「違う。

むずむずジンジンするの。

見て、見て?

どんなだか、見て?」

 

ユノは突き出されたチャンミンの尻を覗き込んだ。

 

「暗くて見えないけど...デキモノでも出来たのか?」

 

バターの実とは、食べると全身にデキモノが出来る果物なのかもしれない、とユノは思ったのだ。

 

「触ってみるぞ?

痛かったら言えよ?」

 

「うん...優しくそっとね?」

 

チャンミンの割れ目の奥に、ユノの指が差し込まれる。

 

(この辺かな...?)

 

指先に神経を研ぎ澄ませる。

 

「!?」

 

ぬるり、としたものが指を濡らした。

 

二本の指を擦り合わせ、月光にかざしてみる。

 

指の間でそれは糸をひいた。

 

(なんだ...これ?)

 

「ねえ、どうなってるの?」

 

不安げなチャンミンに、ユノは「よく分からないから、もう一回触らせて」と答えた。

 

ユノは再度、指を差し込んだ。

 

1度目よりももっと、それはユノの指は濡らし、あふれて手の平にこぼれ落ちた。

 

(尻から汁が湧き出る病気になったのかもしれない!?)

 

「お尻が変だよぉ」

 

泣きべそかいたチャンミンにどう教えてやったらいいのだろう。

 

ユノの顔色は真っ青だった。

 

 

(つづく)

 

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