義弟(19)R18

 

~チャンミン16歳~

 

義兄さんに押されるまま僕は後ずさりした。

アトリエのソファに背中から倒れ落ちると、義兄さんに組み敷かれる。

顔の向きを何度も変えて、義兄さんの舌が僕の口内中をねっとりと舐め上げる。

 

「んっ...んっ」

 

幸せだ、と思った。

義兄さんが僕を欲しがっている。

姉さんへの罪悪感で、僕とのことを思いとどまられたら困る、と恐れていた。

でも、結婚しているかどうかなんて関係ない、と言ってもらえた。

それくらい僕のことが欲しいんだ。

義兄さんの唇は僕の耳へと移り、耳の中をぺろぺろと舐めたりするから、ぞわっとした痺れが下に向かって走っていく。

義兄さんの熱い吐息がかかる度、もっとぞくぞくした。

あっという間にトレーナーを脱がされた。

初春の肌寒い空気にさらされたけれど、火照った僕の肌にはちょうどいいくらい...いや、暑いくらいだ。

僕の耳を咥えていた唇は、次いで首筋へと落とされ、舌先を肌につけたまま下へ下へと移動する。

 

「っあぁ...」

 

乳首を舌全体でねぶられた。

義兄さんの口の中で、僕の乳首がつんと勃ってきたのが分かる。

 

「っあ...あ...あっ...」

 

今度はちろちろと、乳首の先だけが攻められて、かと思うと、強く吸われた。

 

「ああっ...!」

 

のけぞる胸を義兄さんの熱い手で押さえつけられた。

 

「大人しくしてろ」

 

「だって...ああぁっ!」

 

初めて出す声が、高くかすれていて、いやらしい動画の中の女の人みたいな声だった。

僕は今、女の子になっている。

午後8時の静かなアトリエ。

ちゅうちゅうと僕の肌を吸う音。

僕の上になった義兄さんは、僕がびくびくと身体を震わしたってびくともしない。

義兄さんの逞しい固い身体に押さえつけられて、ぞくりとした快感に襲われた。

 

「チャンミンは、感じやすいんだな」

 

「っだって...」

 

女の人みたいに...Mみたいに...なんの膨らみもない僕の胸を、義兄さんは美味しそうに舐めているんだもの。

義兄さんは身体を起こすと、腕をクロスさせて着ていたニットを脱いだ。

想像通り、デッサン用の彫刻みたいに逞しいのに、泣きたくなるほど綺麗で。

こんな素晴らしい身体と肌と肌とを合わせられる僕は、幸せだと思った。

それに引き換え僕の身体ときたら...。

義兄さんにはさんざん裸をさらしてきたのに、急に恥ずかしくなって両手で胸を隠した。

 

「どうした?」

 

僕の反応を見ようと覗き込んだ義兄さんと目を合わせられなくて、彼の下の方に視線を移した。

義兄さんの白いパンツのあの箇所が、興奮の塊で押し上げられていた。

細身のパンツだから、よく分かる。

 

「分かった?俺の方も、こういう状態なわけ」

 

きゅうっと股間が緊張してきた。

腕を伸ばして、そっと指先で触れると、義兄さんの腰がぴくっと揺れた。

固い...。

嬉しくて、手の平で包み込んでみた。

大きい...。

何度もこの手を上下させた。

その度、義兄さんの喉奥から、低いうめきが漏れた。

嬉しい。

義兄さんのパンツのボタンを外そうとしたら、

 

「あっ!」

 

早業で僕のパンツのボタンが外され、ファスナーも引き下ろされた。

 

「待って...義兄さんっ...!」

 

「待たない」

 

下着の上からがしっと義兄さんの手で包み込まれた。

 

「あぅっ...!」

 

車の中での厚い生地の上からのものとは、全然違う。

薄い下着の生地ごしに、義兄さんの手の平の熱が伝わってくる。

義兄さんの下着はボクサータイプのものじゃない小さなもの。

自分の股間を見下ろすと、布面積が狭いせいで股繰りから僕のものの先が顔を出していた。

もの凄く恥ずかしい光景で、それなのに猛烈に興奮した。

僕は変態なのかもしれない。

そうっと見上げると、義兄さんの眼がらんらんと光っていた。

ポーズをとる僕とキャンバスとを交互に行き来する義兄さんの眼差しも、作品作りに没頭した熱いものだけれど、今のは違う。

喜怒哀楽のどれでもない表情で、怖いくらい真顔なんだ。

僕の視界は義兄さんだけ。

多分、義兄さんも同じだと思う。

セックスに関してはヒヨコ同然の僕でも、義兄さんは今、僕を求めているって伝わってきたから。

義兄さんの色白の頬が、ほんのりピンク色に染まっていた。

仰向けだったのを横向きにされ、僕は義兄さんと向かい合わせになった。

 

「ひんっ...!」

 

義兄さんの手に直接握られて、それだけで達しそうになった。

どうしよう...気持ちが良すぎる...。

 

「やっ...ダメ...あっ...」

 

下着の上から遠慮なく、強めにしごかれる。

Mがしてくれた優しく繊細なタッチのものとは、比べ物にならない。

裏筋と尿道口のあたりを親指で刺激しながらのしごきは、たまらない。

義兄さんは、男とこういうことをするのは、初めてなんだろうか。

慣れた手つきだから、もしかして...。

加えて、身体を動かすごとにさらさら滑る肌同士が、気持ちがよかった。

手の動きは加速し、それに合わせて僕は喘ぐだけ。

義兄さんのものに伸ばしていた手なんか、とっくに宙に浮いてしまい、無意味に揺れている。

「駄目っ...駄目です...それ以上は...あっ」

 

このままだと、下着をつけたまま射精をしてしまう。

 

下着を汚してしまう。

僕が「駄目」と言う程、義兄さんの攻めは容赦なくなる。

先端からとめどなく溢れるものが、くちゅくちゅといやらしい音を立てている。

 

「気持ちいか?」

 

義兄さんのここまで低い声...初めて聞いた。

男らしい義兄さんに、されるがままに扱われている自分に興奮した。

後頭部に回された手で引き寄せられ、僕の唇全部、義兄さんのもので覆われた。

快楽に浸りきっていた僕は、舌を伸ばす余裕がない。

開けっ放しの口に、ぐいぐいと義兄さん舌が出し入れする。

まるで義兄さんに貫かれているみたいな錯覚に陥って、それにも興奮した。

目の前がちかちかしてきて、視野が狭くなった。

がくがくっと腹底が跳ねた。

 

「ああぁ...っ...!」

 

義兄さんの口の中で、絶頂の声を上げる。

苦しくって、首を振って義兄さんの唇から逃げた。

 

「...っあ...っ...あっ...」

 

最後まで放出しきるまで、僕の背は痙攣を繰り返した。

 

「はあはあはあはあ...」

 

虚脱感が凄まじい。

僕は目を閉じ、酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。

義兄さんの手の中でまた、達してしまった。

義兄さんの肩に頭を預けて、息が整うまでじっとしていた。

なぜか切なさに襲われて、僕は義兄さんに頬を寄せた。

ところが、ついと顔を反らされて、僕の唇は行き場を失う。

情けない表情に気付いて、義兄さんは僕の髪をくしゃりと撫ぜてこう言った。

 

「今日はここまでだ」と。

 

 

(つづく)

義弟(18-2)

 

 

~チャンミン16歳~

 

「...あの...お風呂...」

 

義兄さんに声をかけたが事務所には姿がなく、アトリエも覗いてみたけど、やっぱりいない。

 

出掛けているのかな、と事務所に引き返しかけたところ、声が聞えてきた。

 

それは窓の外からで、片面のブラインドが引き上げられたサッシ窓がわずかに開いていた。

 

窓の外がバルコニーになっていると、初めて知った。

 

電話中...?

 

「...ああ...遅くなるから」

 

姉さんと?

 

シャワーで温まった身体が一瞬で冷えた。

 

背後にいる僕に気付いて、義兄さんは「じゃあ」と言って通話を終らせた。

 

「帰ります」

 

もやもや重苦しい気持ちでいっぱいで、きびすを返してそこを立ち去ろうとした。

 

「送っていくよ」

 

「結構です!」

 

「チャンミン!」

 

力任せに肘をつかまれ、引き留められた。

 

「...っ放して...下さいっ!」

 

義兄さんの手を振りほどく。

 

「義兄さんはっ...結婚してるんですよ!」

 

「ああ、そうだよ」

 

「その通りだ」

 

「姉さんと結婚してるんですよ?」

 

「俺はお前の姉と結婚している。

でも、お前とキスをした」

 

「義兄さんはっ...!

僕にキスをして...。

後悔してるでしょう?

面白半分でしょ?」

 

大丈夫だと言い聞かせていたけど、本当は不安で仕方がなかったことだ。

 

「俺とお前のことは...。

結婚してるとかしてないとか、関係ないんだ」

 

「意味が分かりません...」

 

「分かってて誘ったんだろ?

それとも、からかっていたのか?」

 

「誘うだなんてっ...!

からかってなんていません!」

 

確かに僕は、知っている限りの色っぽいとされる表情や仕草を総動員させた。

 

振り向いて欲しい一心によるもので、義兄さんをからかうつもりは一切なかった。

 

だから、義兄さんの言葉は心外で、悲しかった。

 

義兄さんを睨みつける。

 

「その眼だよ!

そんな眼で俺を見るなよ...」

 

眉根を寄せた苦し気な義兄さん。

 

「僕はっ...キスしたかったから。

義兄さんとしたかったんだ...ずっと」

 

悔しくて悲しくて、じわっと涙が浮かんだ。

 

僕の肘をつかむ義兄さんの手が緩んだ。

 

「おかしいですよね?

僕は男なのに。

ずっと、義兄さんに触ってもらいたかった。

だから、『キスして下さい』って言ったんです。

からかってません。

本当のことを言ってたんです」

 

「...チャンミン」

 

ぐいっと引き寄せられて、義兄さんの固い胸に抱きとめられた。

 

 


 

 

~ユノ33歳~

 

「義兄さんは結婚してるんです!

僕は、『おとうと』です...!」

 

俺を思いとどまらせようとしての言葉なのか、それとも敢えて煽っているのか。

 

もし後者ならば、とんだ小悪魔だと思った。

 

だけど、必死な様子のチャンミンに、あらためて「この子は本気だ」と確信した。

 

「からかっているのか?」の質問で、チャンミンの本心を確かめた。

 

だから俺も、本気になると決意した。

 

「帰りは遅くなる」とBへ電話したのも、そのつもりでいた証しだ。

 

チャンミンの唇を塞いで黙らせる。

 

俺の腕と肩でチャンミンの頭を包み込み、唇を割って性急に舌を侵入させた。

 

「っん...っん...」

 

先ほどまでの彼の台詞が本心とは裏腹なものだった証拠に、チャンミンは俺の首にかじりつき喉を鳴らしている。

 

裸婦画ばかり描くアーティストで、デザイン関連の仕事をしていることもあって、異性関係が盛んそうに誤解されることも多い。

 

俺は今までもそうだったが、軽々しく浮気ができる質ではないのだ。

 

新婚の俺が、よりによって妻の弟と...それも未だ16歳のチャンミンと、そういう関係になりたいと、心の底から望んでいる。

 

頭のネジがゆるんでいるには違いないけれど、止められなかった。

 

チャンミンをモノにしたい。

 

この欲求は、単なる肉欲によるものだけなのか。

 

分からない。

 

大した会話を交わしたことはなく、お互い知らない事だらけだ。

 

それなのに、チャンミンと目と目が合うと、言葉を発しなくても互いに求め合っている心が通じ合っているのだ。

 

これまでの恋愛では体験したことのない...もちろんBと出逢った時でも...欲求だった。

 

チャンミンをモノにしたい。

 

生意気な美少年を貫いて、屈服させたい。

 

その後のことは...後で考えればいい。

 

妻がいる立場と、チャンミンとどうこうなるのは、別問題だ。

 

ずるい男だと、大いに責めてもらって結構だ。

 

チャンミンが欲しい。

 

 

(つづく)

 

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義弟(18-1)

 

~ユノ33歳~

 

なぜ、チャンミンに惹かれたのだろう。

 

一番大きな理由は分かりやすくて、恐ろしく綺麗な子だったから。

 

作品のモデルにしたくなった。

 

これから親戚になる仲だというのに、遠慮なく睨みきかせるチャンミンを屈服させたくなったことも、理由のひとつだ。

 

それから、第一印象通りチャンミンは、いい子だった。

 

どれだけぶっきらぼうな態度を貫こうと、根っからの礼儀正しさは隠せない。

 

くるくると目の表情を変える。

 

どれもがチャンミン自身を表していて、多感な性格そのものだと思った。

 

チャンミンを手に入れたい。

 

かき抱いて俺のモノにしたかった。

 

チャンミンは妻の弟で、未成年で、男だ。

 

恋を進める上で障壁となるこれらは、俺を思いとどまらせてきたが、今はどうでもよくなった。

 

かえって燃える。

 

駐車場から車を出し、どこか人目につかないところを目指しかけたが、未だホテルに連れ込む段階じゃないと思いなおした。

結局、アトリエに引き返すこととなり、その道中、チャンミンの手は俺の腿の上に置かれたままだった。

アトリエのドアを開けるまで、チャンミンは俺の後ろを無言でついてきた。

 

濡れた股間が気持ちが悪いのだろう。

 

猫背で腰を引いた姿勢で、小股でついてくるのが、いじらしかった。

 

「風呂に入っておいで」

 

玄関口でうつむいて、立ち尽くしたままのチャンミンに声をかけた。

 

事務所兼アトリエとして借りているここには、キッチンもあればシャワールームもある。

 

チャンミンの細い脚、スニーカー履きの足先が内股になっていた。

 

「...でも...その...」

 

逡巡するチャンミンの背を押して、脱衣所に押し込んだ。

 

「下着なら買ってくるよ。

俺の着替えは嫌だろう?」

 

「いえ...義兄さんのもので構いません」

 

「そう...」

 

タオルの位置と温度設定方法などを説明し、「ごゆっくり」と脱衣所を出る。

 

ドアを閉める直前に振り向くと、チャンミンの細くしなやかな裸の背中。

 

シャツを脱ぐ際に浮き出た肩甲骨に欲情を覚え、同時に切なさに襲われた。

 

 


 

 

~チャンミン16歳~

 

温かいシャワーが肌を叩き、羞恥と緊張で強張った肌をほぐしてくれた。

 

乾いてこびりついたものを、十分に泡立てたボディソープで洗い流した。

 

恥ずかしかった。

 

下着の中で漏らしてしまった。

 

だって...滅茶苦茶気持ち良かったから。

 

自分があんな大胆なことを言える人間だったなんて、信じられない。

 

義兄さんには質問したいことも、伝えたいことも沢山あるはずなのに、いざ口を出た言葉が「キスして下さい」だった。

 

血迷ったとしか思えない。

 

義兄さんの車に乗ったのは初めてで、動揺と嬉しさで胸がいっぱいになったせいで、いろんなことをすっ飛ばしてしまったんだ。

 

義兄さんといる時の僕は、常に緊張していて、ドキドキと鼓動が早い。

 

でもそれは、嫌な意味の緊張ではなくて、全身の細胞が一斉に活性化されるみたいな感じだ。

 

義兄さんのどこが好きなんだろう。

 

これまで会話らしい会話は交わしていないし、義兄さんの過去も性格も知らないといってもいい。

 

義兄さん自身のことを知りたければ、質問すればいいことだ。

 

でも、義兄さんを前にすると、言葉は喉でせき止められて一言も出てこない。

 

義兄さんに興味を持っていることがバレてしまうことが癪だったのは、以前の話。

 

いつだったか、義兄さんの肘があたって溶き油を床にこぼしてしまったことがあった。

 

その時、僕に見せた照れ笑い。

 

整い過ぎて冷たい印象すら与える義兄さんの顔が、くしゃりと歪んだ。

 

目なんかこう、細くなって、くしゃくしゃになった義兄さんに、思わず僕もくすり、としてしまった。

 

それまで見せるまいとしてきた僕の表情に、義兄さんははっとした後、満面の笑顔になった。

 

華やかな笑い顔で、義兄さんを覆う白いオーラがもっと眩しく輝いたように見えたんだ。

 

そこで僕が気付いたこと。

 

心を開かないと、義兄さんには近づけない。

 

すかした態度をとり続けている以上、義兄さんも心を開いてくれない。

 

初対面の時は、僕に媚びた笑顔を見せた義兄さん。

 

ところが、僕と接するうちに気難しいガキだと悟った義兄さんは、僕の心に踏み込んだ言動はしなかった。

 

僕がしたいようにさせていた。

 

そうしたら、放置されているみたいに感じられて、歯がゆくて。

 

沸々とフラストレーションが溜まった結果の、「キスして下さい」発言。

 

本心の見せ方が分からなかったせいなんだ。

 

義兄さんと僕は今日、キスをした。

 

唇に触れて、さっきの感触を思い出す。

 

義兄さんの唇は柔らかかった。

 

Mちゃんとするディープキスなんて、合わせた口の中で舌を動かしているだけのもの。

 

行為の流れのひとつとしての形ばかりのキスは、気持ち良くもなんともない。

 

でも、義兄さんとのキスで知ってしまった。

 

粘膜同士の接触が、あんなに気持ちいいなんて。

 

口の中にも性感帯がある...新しい発見だった。

 

素敵だった。

 

「ユノ...ユノ...さん」

 

義兄さんの名前をつぶやいた。

 

大丈夫。

 

シャワーの水音が隠してくれる。

 

僕の気持ちは十分、伝わったでしょ?

 

「キスがしたい」ってことは、そういうことでしょ?

 

義兄さん、わかってくれた?

 

キスを...とても激しいキスをしてくれたってことは、義兄さんも僕のことを好きになってくれたんでしょ?

 

「...好き...です」

 

アイボリー色のプラスチック壁に両手をついて、斜め上からほとばしり落ちるお湯を後頭部に受ける。

 

望んだ通りのことが起こったのに、僕は戸惑っていた。

 

シャワーを止めて、湯気で曇った鏡を拭き取る。

 

張り付いた長い前髪を後ろにかきあげて、鏡の中の自分と目を合わす。

 

自室に籠って、鏡に映る大人っぽい顔の造りに悦に入っていた頃もあったのに、今の僕はとても大人っぽいとは言えない。

 

きょとんと困り顔のガキ。

 

僕にキスしたことを後悔していたらどうしよう。

 

だって、僕は姉さんの弟だし、男だし。

 

義兄さんのキスに感じてしまって、僕のものはカチカチに反応した。

 

僕のことを何とも思っていなかったら、服の上からとは言え、男のものを触ってしごいたり出来ないはずだ。

 

だから多分...大丈夫。

 

僕は大きく深呼吸をし、ドアの隙間からたぐり寄せたタオルで濡れた身体を拭く。

 

「...あ...」

 

義兄さんの下着...。

 

義兄さんの事務所兼アトリエは、シャワールームもあるし洗濯機もあって、余裕でここで生活ができる。

 

何枚も立てかけてあった裸婦画を思った。

 

何人の女の人がこのシャワールームを使ったんだろう。

 

もちろん、姉さんも。

 

義兄さんと2人...姉さんとじゃなくて、僕と...シャワーを浴びる光景を思い浮かべてみた。

 

そんな日がきて欲しい。

 

手の中の義兄さんの黒い下着を、広げてみた。

 

洗濯してあるとはいえ、他人の下着なんて気持ちが悪いけど、義兄さんのものは別。

 

小さい...。

 

鼻を埋めそうになって、僕は我に返った。

 

風呂を出た僕は、どう振舞えばいいのだろう?

 

この後、義兄さんとアレをするのかな。

 

まさか!

 

両足に通した下着を腰まで引き上げた。

 

滑らかな肌触りとウエストゴムで主張するブランドロゴに、質のよいものを身につける義兄さんはやっぱり大人だ。

 

下着と一緒に置かれていたデニムパンツも身につける。

 

細い...。

 

大きな人だと思っていたけど、細く引き締まっているんだ。

 

当然だけどデニムパンツの裾が、床をすっている。

 

義兄さんのものに包まれて、股間がむずむずした。

 

 

(つづく)

 

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義弟(17)R18

 

 

~ユノ33歳~

 

引き結んだままだったチャンミンの唇が緩み、その隙間から舌を差し込んだ。

口内奥で引っ込められていたチャンミンの舌に、円を描くように絡める。

 

「っん...ん...」

 

上顎をくすぐったら舌の緊張も解けた。

 

「あ...っ」

 

かき回されるがままだったのが、両手を伸ばして俺の首にかじりついてきた。

直後にチャンミンの舌が、俺の中に侵入する。

餌をねだるひな鳥のように、もっともっとと舌を差し出してくる。

勢い任せにうごめかすチャンミンの舌を吸うと、彼の身体がびくりと震えた。

 

「チャンミンって、キスがうまいんですよ」と言ったMちゃんの言葉は、嘘だったのかもしれない。

 

チャンミンのそれはぎこちなくて、うまいとはとても言えないキスだった。

今朝俺を見送った、Bの顔がちらついた。

どうでもよくなった。

妻の弟と貪るようなキスを交わしている。

そのことに罪悪感を抱くどころか、その不道徳さに興奮した。

先へ進んではいけないと押しとどめていた理性なんか、最初からなかったのかもしれない。

限界まで我慢した末に解放した欲は、得られる悦びも快感も増すものだから。

結婚披露宴の日、俺を睨んでいたチャンミン。

あの日から、チャンミンとこうしたかったんだ、多分。

 

「ん...っん...ふっ...」

 

息継ぎが出来ないのか、チャンミンが苦しげに喘いでいる。

離した唇から唾液の糸が引き、それも俺たちを煽る材料となった。

 

「...義兄さん...」

 

チャンミンの片手は俺のニットの胸元を握りしめ、もう片方は俺の首に絡んでいる。

顔を赤く火照せ、もっともっととねだるように口を半開きにしていた。

チャンミンは16歳だ。

だが、俺の目の前にいるこの子はもう、16歳の子供じゃない。

俺の手でどうにかされたいと、とろけた表情が物語っている。

見開くと思いのほか大きな目で、丸いカーブを描くまつ毛がふさふさとしていた。

幼い顔して、身体の欲求は大人。

このまま先へ進むのか身を引いてしまうのか、チャンミンは固唾をのんで見守っている。

この子は本気だ。

チャンミンの顎をつまんで斜めに顔を傾かせ、彼の口を覆うように唇をかぶせた。

 

「っ...」

 

柔らかい唇は子供っぽいが、高まる興奮でチャンミンの首筋からただよう匂いは男のものだった。

男とキスをするのは初めてだし、未成年とも同様だ。

その上、Bの弟でもあって、背徳感にくらくらする。

 

子供と大人の端境にいるチャンミンを、大人の世界に引きずり上げたい。

 

「にぃ...さっ...ん...」

 

チャンミンの後頭部の髪をつかんで仰向かせ、より深く口づけ直す。

視線を落とすと、もじもじとこすり合わせているチャンミンの両膝。

たまらず手を伸ばして、鼠径部にくっきりと浮かんだものを、生地の上からひっかいた。

 

「っああっ...」

 

びくりとチャンミンは腰をひいた。

 

「...ダメです...ダメっ...」

 

俺の手を押さえこんだチャンミンの両手を取り上げて、俺の首に回させた。

形に沿って摘まみ上げて上下にこすると、重ね合わせた唇の隙間で喘ぐ。

チャンミンの甘い声に、俺の方も圧迫されて苦しい。

ゆるゆると与えられる快感に浸るチャンミンは、キスを忘れて口をぽかんと開けている。

16歳がこんな恍惚とした表情を浮かべたりしたら、いけないよ。

俺のものより幾分小さ目のそれは、俺の指の下で次第に固さを増していく。

 

「...やっ...あ...」

 

手に取るように分かるとは、このことだ。

女のように、「フリ」はできない。

チャンミンの興奮の塊が今、俺の手の中にある。

ある一点がじわりと湿り気を帯びてきた。

勢いづいて、勃起したそれを包み込むように、強めにしごきあげた。

 

「...っや...にいさっ...ダメっ...」

 

チャンミンは首を振って、俺のキスから逃れる。

俺はそれを許さず、チャンミンの耳下に口づけると、それだけで彼はかすれ声を漏らすのだ。

股深くからさすり上げて、膨らんだ先だけを小刻みに攻めた。

 

「やっ...やっ...やめっ...!」

 

どこをどうするといいのかなんて、俺も男だ、よく分かる。

16のガキから誘われてスタートした口づけが、実は癪だった。

立場が上なのはどちらなのか分からせたい。

 

「...あっ...だ...めっ...義兄さ...だ...!」

 

チャンミンの腰がぶるりと痙攣した。

 

「...あぁ...」

 

急速に手の中のものが、弛緩していく。

やり過ぎたか?

直後、隣に他の車が滑り込んできた。

春先の日暮れは未だ早く、辺りが闇に沈みかけていて助かった。

窓ガラスが白く曇っていた。

服の上からの刺激だけでイッてしまうとは...。

慣れていないところが可愛らしいと思った。

恥ずかしくてたまらないだろうな。

股間を押さえて俯くチャンミンの頭を、くしゃりと撫ぜた。

ここは人目につく。

チャンミンとこの先へ進みたくて仕方がなかった。

俺はもう、我慢はしない。

チャンミンと共に堕ちていく。

思う存分唇を貪り合える場所を探していた。

 

 

(つづく)

義弟(16-2)

 

 

~ユノ35歳~

 

ことの後、俺とチャンミンは横たわった状態でさまざまなことを話す。

 

焦りと苛立ち、欲...愛情を吐き出した後ならば、余裕をもった会話を交わせる。

 

チャンミンはぽつりぽつりとだが、自身のことを教えてくれる。

 

潤滑クリームやブレスレットの件のように、俺の心をかき乱す時とはうってかわって、満ち足りた穏やかな表情を見せてくれる。

 

ついさきほどまで、俺の上下でみだらに腰を揺らしていたとは信じられない。

 

俺と出逢った頃の、性を知らなかった15歳が透けて見える。

 

 

俺との仲をほのめかすような言動をするに違いない。

 

Bが背中を向けた隙を狙って、唇を重ねてくるに違いない。

 

断固として、チャンミンを置いてくればよかった。

 

でも、それは無理な話。

 

チャンミンは自分の意志をなんとしてでも通す子だから。

 

俺の言うことなんて、ききやしない。

 

「機嫌を直して下さい」

 

両頬を引き寄せられると、チャンミンの乾いた唇が押し当てられた。

 

18歳になってずいぶん、男らしくなった。

 

ふっくらとした頬のラインがシャープになった。

 

頑固そうな顎と真一文字に引き結んだ唇。

 

中性的だった美少年が、美青年へと移り変わりつつある時を迎えていた。

 

18歳。

 

美しい顔をしている。

 

無口で世を舐めたような生意気な顔をして、その実、感情的で情熱的なのだ。

 

「大人しくしておきますから。

冗談です。

外しますから、機嫌を直してください」

 

チャンミンはブレスレットを外し、グローブボックスに入れようとしたが、俺の固い表情に気付いて、自身のバッグに滑り落した。

 

くるくると目まぐるしく変わるチャンミンの機嫌。

 

チャンミンを持て余してきていた。

 

チャンミンとの関係に疲れてきていた。

 

いや。

 

焦れて苛立ったチャンミンの方こそ、ぎりぎりなのだろう。

 

 


 

 

~ユノ33歳~

 

「今からじゃあ、夕飯には早いかな?」

 

突っ立ったままのチャンミンに、声をかける。

 

「乗り気じゃないなら、行かなくてもいいんだよ?」

 

「...いえ。

行きます」

 

チャンミンはコートを羽織ると、スニーカーを履き、ドアノブに手をかけたところで、俺を振り向いた。

 

「行かないのですか?」

 

相変わらずの無表情だったけど、ほんのわずか、口元の緊張がほどけているように感じられたのは、気のせいだった...のかな。

 

 

助手席に収まったチャンミンは、珍しそうに車の内装を見回している。

 

国産車4台分のこの車は、ごく一般家庭で育つチャンミンには眩しく映っているだろう。

 

ある公募展で入賞したことを契機に、俺の作品の価格がはね上がった。

 

それにも関わらず、本業の作品制作の他に、商業デザインの副業が必要だった。

 

Bと結婚生活を送るとは、そういうことなのだ。

 

「何が食べたい?」

 

「義兄さんにお任せします」

 

さて、どこにしようかと考えを巡らせながら、街に向けて俺は車を走らせた。

 

好みがわからないから、メニュー豊富で気取らない店がいいだろう。

 

「コンビニのもので十分です」

 

「え?」

 

「あそこ!

あのコンビニに停めてください」

 

本当は腹が減っていないのだな、と思った俺は、チャンミンが指さす通りに、店の駐車場に停車させた。

 

ところが、チャンミンは車から降りもせず、じっとフロントガラスの向こうを見据えたままだった。

 

何を考えているのか分からない、扱いにくい子だ。

 

シートベルトを外しかけた時、チャンミンに呼び止められた。

 

「どうした?

降りないのか?」

 

その後のチャンミンの言葉に、俺の思考が一瞬ストップした。

 

「...義兄さん。

キスして下さい...」

 

チャンミンの方を振り向けなかった。

 

一刻も早く車内から出ないと!

 

チャンミンの言葉を無視して、ドアハンドルに指をかけたその時、

 

「聞こえませんでしたか?

僕と...キスしてください」

 

浮かしかけた腰を下ろし、ハンドルに額を付けて深いため息をついた。

 

なんて反応をすればいいんだ?

 

「大人をからかうのはよせ」

 

「からかうって...何のことです?」

 

思わせぶりなチャンミンの言動を、ひとつひとつ挙げていったりなんかしたら、そのいずれにも反応していたことを、この少年に知られてしまう。

 

「本気にしたんですか?」とくすくすと、俺を馬鹿にして笑いそうだった。

 

ところが、俺を見るチャンミンは、俺の言うことが理解できないと言った風だったから、驚いた。

 

「僕は、本当のことしか言いません」

 

「......」

 

「僕はいつでも本気です」

 

そう言いきり、真顔になったチャンミンから、目が離せなかった。

 

「義兄さん。

気付いていますよね?」

 

「温めてください」と見上げられた時、気付いていたけれど俺の中で「待った」のブレーキがかかっていた。

 

のったらいけない、後戻りできなくなる、と。

 

「僕の気持ち...分かりますか?」

 

「......」

 

「...分かってますよね?」

 

俺より17歳下のこの子が、俺を振り向かせようと全身で誘っていたことなんて、分かりきっていた。

 

俺たちの間で流れていた妙な緊張感...いつ堪え切れられなくなるのか。

 

チャンミンのうなじに手を添えると、何の抵抗もなく引き寄せられた。

 

のるかそるか。

 

うっすら開いたチャンミンの唇に、俺のものを覆いかぶせた。

 

(つづく)

 

 

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