(20)19歳-初夜-

 

 

素直に従うチャンミンが可愛かった。

 

露わになったチャンミンのそこに、俺は人差し指を押し当てた。

 

チャンミンの腰が小さく痙攣した。

 

事前に手順を頭に入れてきたはずなのに、本物を前にして怖気づきそうになったけれど、それをチャンミンに悟られたら、盛り上がりかけた空気を消してしまう。

 

「あ...れ?」

 

俺の人差し指はつるりと何の抵抗なく飲み込まれた。

 

「......」

 

チャンミンは呻きもせず、枕に顔を埋めていた。

 

両耳が真っ赤に染まっている。

 

入口の締め付けはキツく、抜こうとする指に吸い付いてくる。

 

(こういうものなのか?)

 

背中を小刻みに震わすチャンミンに、この疑問点を問いただしたらきっと、彼は羞恥心のあまり毛布にもぐり込んでしまうかもしれない。

 

もしくは、バスルームに閉じこもってしまうか...。

 

けれども、遠慮するよりも勝ったのは俺の好奇心。

 

「もしかして...。

もしかしての話だけど...。

ここ、触ったことあるの?」

 

「......」

 

チャンミンの背中の震えがぴたっと止まった。

 

もし自分だったら...と、その感触を自分に置き換えて想像してみたことがあった。

 

幼少期高熱を出した俺は、チャンミンに座薬を入れてもらったことが何度かあった。

 

あの時の異物感といったら...。

 

挿入してもすぐに放出してしまう俺の入り口に、チャンミンは苦労していたっけ

 

その記憶を持ち出さなくとも、クローゼットから覗き見した叔父たちの行為から、初めてはスムーズにいかないことを俺は知っていた。

 

「触ってた?

指...入れたことある?」

 

「......」

 

チャンミンは未だ、枕に突っ伏したままだ。

 

体温で溶けたクリームがチャンミンの谷間を垂れ落ちている。

 

「そうだったんだ」と、ますますチャンミンのことが愛おしくなってきた。

 

「ねえ。

恥ずかしいことじゃないよ。

俺は...嬉しいよ」

 

俺はチャンミンを抱き起した。

 

チャンミンは抵抗せず、俺の肩に頭をもたせかけた。

 

チャンミンには人間と同様の欲があり、また来たるべく日に備えて準備をしようとしたのだろう。

 

どうしてその指が後ろにまで伸ばされたのだろう?

 

情報源はどこ?

 

チャンミンは極めて限られた世界で生きている。

 

彼の知識源は主に屋敷の図書室やラジオ、新聞のみ。

 

俗物的な書物の侵入を許さない父によって、それらも厳しく制限されている。

 

せいぜい、使用人たちが持ち込んだ雑誌が考えられるけれど、それは女性との絡みを扱ったもの。

 

「ユノ」

 

チャンミンは口を開いた。

 

「人間とは異性同士で惹かれあい、カップリングするものです。

男性と女性がどう繋がり合い、子孫を作るのか...僕だって知っています。

快楽が目的の繋がり合いは相手がいればいいのですが、そうもいかないときにアンドロイドの出番になります。

でも、今はその話をしたいのではありません」

 

自分は性奴ではない、とチャンミンは言いたいのだ。

 

俺は「うん、分かってる」と答えた。

 

「僕は女性を見ても、何とも思いません。

男性を見ても、何とも思いません。

僕には異性も同性もありません」

 

「?」

 

「僕には、『ユノ』か『ユノ以外』か。

それだけしかありません」

 

俺か俺以外か...か。

 

チャンミンはもたれかかっていた俺の肩から半身を起こした。

 

両脚を片側に崩した、いつものチャンミンの座り方をしている。

 

俺はチャンミンの両脚の間のもの...小さくしぼんでいる...から、目を反らした。

 

「ユノ...あなたを見たり想ったりした時だけ、僕は普通じゃなくなります。

ユノとキスを沢山するようになった頃から特に。

僕には“そういう欲”は存在しないと思っていました。

でも、そうじゃなかった。

僕は工場で生まれたアンドロイドですから、自分の性能はある程度把握しているつもりだったのですけどね。

僕に知らせていない秘密が、僕の身体にまだまだありそうです」

 

「...チャンミン」

 

「僕は...ユノを受け入れたい。

男性とか女性とか関係なく、ユノを受け入れるための存在になりたい。

ユノをこの中で...」

 

チャンミンは下腹を撫ぜた。

 

「この中でユノを感じたいのです」

 

ゴツゴツした肩から伸びる、筋張った長い腕、狭い骨盤と、確かに男性の身体なのに、やはりチャンミンは優しい身体をしていた。

 

艶めかしく俺の目に映っている。

 

「ユノは男性。

僕はユノを受け入れたい。

だから僕は、お...ちんちんは、触ったことがないのです」

 

射精したことがない、と話していたのは本当のことだった。

 

「いきたくてもいけない状態だったわけか...。

よく我慢できたね」

 

「いつか、ユノと一緒になれた時に...と、夢見てました」

 

「僕にはユノしかいないから、ユノと愛し合う

僕の身体はユノの為に存在している。

ユノを受け入れたい。

けれども、僕は男性の身体をしています。

ユノを受け入れたい。

僕はどうすればいいのか...受け入れられる場所といえばもう、ここしかあり得なくて...。

努力したのです」

 

チャンミンは枕を引き寄せると、膝ごとそれを抱きしめた。

 

枕の陰から、チャンミンの上目遣いが覗いていた。

 

興奮と照れで目は潤み、目尻が赤く染まっていた。

 

「チャンミン...」

 

チャンミンは、俺とセックスをするためにはどうすればいいのか、真剣に悩んでいたのだ。

 

外部から得た知識に従ったのではなく。

 

「チャンミンは...お前は可愛いね」

 

思わず「可愛い」と、チャンミンの頭を撫ぜた。

 

「可愛い」と言われるのが大好きなチャンミンは、くすぐったそうに笑った。

 

「ですので...」

 

チャンミンはそう言うと、俺のものを握った。

 

チャンミンらしからぬ、大胆な行動だ。

 

「んっ...!」

 

俺のものは、この会話中も衰えず張り裂けそうなままだった。

 

昨夜まではイヤイヤと、服を脱がされるのも恥ずかしがっていたのに、この変貌ぶりに俺はついていけない。

 

「僕は用意ができています」

 

チャンミンは仰向けに横たわると、両膝を胸に引き寄せそこを露わにした。

 

さらに、俺の根元をつかみ、自身の口に押し当てるんだ。

 

そのてきぱきとした行動にムードの欠片もない。

 

「ちょっ、待て!」

 

「早く...早く」

 

「ゴム付けないと...」

 

俺はチャンミンの尻たぶを掴み、左右に押し広げた谷間にあるそこに、ゴムを装着した先端を押し付けた。

 

望んでいたことが今まさに実現しようとしている時なのに、チャンミンに急かされたことで、何が何だか、頭が真っ白になってしまった。

 

 

先を入れただけで、意識がぶっ飛びそうだった。

 

締め付けが凄かった。

 

抜きさしを繰り返しながら、根元まで挿入で来た時には、全身汗が噴き出ていた。

 

チャンミンも顔を背けて、唇を噛んでいた。

 

「ユノ...?」

 

一向に腰を動かそうとしない俺に焦れたのだ。

 

チャンミンは背後にいる俺を振り向き、「早く?」と目で訴えていた。

 

「動かしたら...持たない...かも」

 

 

(つづく)

 

 

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(19)19歳-初夜-

 

 

抱き合う俺たちは何一つ身につけておらず、互いの興奮したものを下腹に挟んでいた。

 

キスはさんざんしつくした。

 

唇は腫れ、唾液にまみれた顎と頬を擦りつけ過ぎてヒリヒリした。

 

舌の根っこが疲れている。

 

チャンミンの手が伸びてきて、俺の張り裂けそうになったものをおずおずと握った。

 

「...んっ」

 

そこは全感覚が集中しているところ。

 

チャンミンのタッチは小鳥を撫ぜるがごとくで物足りなく、彼の手に加勢した。

 

「もうちょっと...強くていい」

 

「ごめんな...さ」

 

チャンミンはいつものクセで謝ったりするから、黙らせたくて再び口を塞ぐことになる。

 

キスで中断してばかりだ。

 

これでは、前に進めない。

 

俺のものを扱くチャンミンの手を除け、俺はチャンミンのものを握った。

 

「ひっ...!」

 

チャンミンは針を刺されたかのように、背中を痙攣させた。

 

「やっ...ダメ、そこは!」

 

透明な液体が、チャンミンの先から俺の指へと糸を引いていた。

 

「すご...」

 

...先走りだ。

 

人間と同じじゃないか!

 

「やだ、もうやだ。

止めてっ!

 

激しく手を上下した。

 

「本当に『止めて』って思ってる?」

 

「あっ...あぁ...っ」

 

容赦なく扱いた。

 

これまで数えきれないほど、チャンミンを想って手淫してきたように、チャンミンのものを扱いた。

 

俺のものを握っていたはずのチャンミンの片手は、俺の一の腕に縋りついていた。

 

根っこを掴まれ、チャンミンは顔をしかめて悶えている。

 

その姿をもっと見たくて、扱く手のピッチが上がる。

 

「は...ん...んっ...っ...」

 

好きな奴を優しく...17のガキがムードを求めるとは、最初から無理な話だったんだ。

 

チャンミンの先端からこぼれ出た透明な液で、滑りがよくなっていた。

 

「ユノっ...だめ...ダメ...。

あっ...はぁ、はぁ...はっ...」

 

ぬるぬると。

 

くちゅくちゅいう音がいやらしかった。

 

「すごい濡れてる」

 

のけぞっていたチャンミンは、俺の指摘に自身の股間を確かめるなり、そっぽを向いてしまった。

 

「知らない...です。

こんな風になるなんてっ...知りません!」

 

握ったものが熱くて固い。

 

「そこはっ...駄目です。

変になりそう...で...す」

 

チャンミンは俺の手を除けようと、俺の手首をつかむ。

 

掴んでいるくせに、その力は大したことなくて、もっと触って欲しいのが本心なのだとバレてしまう。

 

俺のしつこいキスに呼吸が苦しくなり、顔を振って俺から逃れるくせに、数秒も経たないうちに自ら俺の顔を引き寄せ、先ほどよりも激しく俺の口を塞ぐ。

 

控えめなのか、どん欲なのか分からない。

 

チャンミンの先端からとめどなく湧き出るもので、もっと滑りがよくなった。

 

扱くてをもっともっと加速した。

 

俺自身の快楽は二の次だ。

 

本人曰く、『イッた』ことがないという。

 

「やぁ、やだっ!

変、変。

苦しい!」

 

チャンミンは、悲鳴を上げていた。

 

「っああっ、やぁ...はっ...やめっ、やめてぇ!」

 

チャンミンは激しく首を振った。

 

「やめない!」

 

俺は容赦しない。

 

一の腕をつかむチャンミンの指が痛い。

 

「ダメっ、怖い!

怖い!

怖い!

破裂しそう!」

 

「チャンミン、それがイクってやつだよ」

 

チャンミンの下腹が波打った。

 

 

「はあはあはあ...」

 

チャンミンの丸めた背中が速いピッチで上下している。

 

「すみ...ません。

びっくりしてしまって...」

 

チャンミンは息が整うと身体を起こし、自身が放ったものを観察し出した。

 

「凄い...。

凄いですね」

 

そう言って、俺の一の腕に飛び散った白濁したものを、人差し指ですくい取った。

 

「これが、それなんですね。

初めて見ました」

 

チャンミンはすくい取ったものの匂いを嗅ぎ、2本の指を擦り合わせ、その間で糸をひいたものを赤い舌で舐めとった。

 

「チャンミン!」

 

まるでドレッシングの味見をしているようだ。

 

見ている俺の方が恥ずかしくなった。

 

「変な味がします。

僕、まるで人間のようですね」

 

チャンミンは恍惚の表情で、「嬉しいです」を繰り返した。

 

それから、耳を疑うことを口にした。

 

「ユノ」

 

「ん?」

 

「次は?

続きはするのでしょう?」

 

「続きって?」

 

チャンミンは四つん這いになり、俺のもとまでにじりよってきた。

 

「僕はイクことができました。

次に...次に進みますよね、これから?」

 

「...え...」

 

「ユノと僕は今夜...ひとつに...。

レストランの時間にはもう間に合いませんから、今からです。

ユノはこれからするつもりでいたのでしょう?

だからっ...」

 

チャンミンは俺の肩をつかむと、俺を押し倒した。

 

「チャンミン...?」

 

急に積極的になったチャンミンに、俺はタジタジだ。

 

経験のない俺だって知っている、そこは受け入れるために出来ていない。

 

賢いチャンミンでも、同性同士の行為についての知識は不足しているようだった。

 

今夜中に繋がることができるとは、思ってもいなかった

 

チャンミンのそこを舌と指でほぐす、それだけで済ますつもりでいた。

 

「すぐには入らないんだって。

無理にやったら切れてしまう。

だって、チャンミンの身体は人間と同じだろ?」

 

チャンミンは性奴として造られたアンドロイドではない。

 

『人間』として造られたアンドロイドなんだ。

 

「少しずつ広げていって、時間はかかるけれど...指でするんだ」

 

「そうなのですか?...」

 

俺はゴムの箱とチューブをベッドサイドから取ると、封を開けた。

 

「俺によく見えるように。

猫みたいになって」

 

「猫...ですか?」

 

俺は人差し指にゴムを指サックのようにはめ、そこにクリームをたっぷりと付けた。

 

「うん。

脚も折りたたんで、丸くなった猫になって」

 

チャンミンは俺の指示通り、猫のようにうずくまった。

 

 

(つづく)

 

 

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(18)19歳-初夜-

 

俺の腹の上に跨ったチャンミンは、石になってしまった。

 

勢い任せで俺を押し倒したものの、この次に何をしたいのかまでは考えていなかったのだろう。

 

迷子になってしまったチャンミンは、少し驚いた表情のまま静止している。

 

「......」

「......」

 

チャンミンの出方を試すかのように、無言で待ち続けるのは可哀想だ。

 

かと言って、「チャンミンはこれから何をしてくれるのかなぁ?」と、からかうのも可哀想だ。

 

大好きで大切な人が俺の上に跨っていて、熱っぽく潤んだ眼で見つめられ(今はびっくりまなこだが)、さらには...。

 

脱ぎかけたパンツが両腿の開脚を妨げているせいで、俺の腰を跨ぎきれないチャンミンは、ほぼ俺の上に乗っかっている状態になっている。

 

すると、どうしてもこうなる。

 

俺の痛いくらいに反応したものが、チャンミンのちょうどそこに当たっている。

 

チャンミンは気づいていないだろうけど。

 

「ああ、やっぱりチャンミンは、そっち側になるんだ」と、判断基準にするには疑わしい感覚で納得したというか、確信を持てたというか...。

 

純粋培養で美しいこのアンドロイドについて知らなかったことを...つまり、人間と同じような肉体と欲を持っていたことを、俺の目と指で知ることができた。

 

押し倒され煽られて、愛しさと滅茶苦茶にしたい衝動で沸騰間近。

 

俺はチャンミンを腰の上に乗せたまま半身を起こし、シャツを脱ぎ捨てた。

 

湿った肌がシャツの滑りを悪くして、少しもたついてしまった。

 

両腕をクロスさせ、頭がシャツの襟首を通り、シャツの裾から顔が出た時、すぐ間近にチャンミンのウットリと緩んだ顔があった。

 

恥ずかしさのあまり、脱いだシャツを胸にかき寄せたくなった。

 

へそから顔まで、俺の半身を舐めるように見ていたのだ。

 

俺の裸など7歳の頃から見てきて何の珍しいこともないのに...あれ?

 

そうでもないことに気が付いた。

 

ひとりでシャワーを浴びられるようになってからは、チャンミンの介添えは必要なくなった。

 

さらに、寄宿学校に入学し、色気づく年ごろになって以降は、気恥ずかしくてチャンミンの前で着替えをすることができなくなっていた。

 

...うすうすチャンミンの視線の中に、色気が含まれていたことに気づいていたということか...。

 

その色気混じりの目で今この時、見つめられていると思うと、肌表面が火照ってきてじっとしていられなくなった。

 

視線を落とすと、チャンミンのパンツのウエストから顔を出しているものが目に飛び込んできた。

 

無垢で大人しい顔をしているのに、「たまらない...」と思った。

 

レストランの予約時間まで、ちょっとだけの触り合いで済ませるつもりでいたが、このまま流れにのってしまおうと思った。

 

寸止めは辛いなぁ、と。

 

「どうせなら、全部脱いじゃおうか?」

 

「えぇっ!?」

 

「いいじゃんいいじゃん」

 

脱がしにかかる腕から逃れようと、俺の上から身をひるがえしたチャンミンは、簡単につかまってしまった。

 

脚の付け根まで下ろされたパンツを、勢いよく膝下まで引き落とした。

 

「やっ!」

 

チャンミンは両手で顔を覆ってしまった。

 

洋服をすべて剥かれたチャンミンは、カタツムリのように身を丸めている。

 

日が沈む時間まで2時間ほどある外は明るくて、チャンミンの真っ白な背中と形のよい...男のものにしては優しい尻が露わになっていた。

 

俺は窓際のカーテンに飛びつき、カーテンを閉め切った。

 

カーテンの生地を通過したわずかな外光で、室内は真っ暗というほどではない。

 

今夜の宿泊者たちはチェックインしていない者が多いだろうし、そうじゃなくても食事や遊びで出かけており、無人の客室ばかりだろう。

 

まだ日が明るい時刻から、俺たちのように部屋で過ごしている者はほとんどいないと思う。

 

ラジオも付けておらず、会話と言っても互いの耳元で語り合う俺たちのささやき声だけだ。

 

車の往来の音が、地上4階の分厚い外壁に隔たれたこの部屋まで聞こえてくるほど静かだ。

 

互いの息遣いまで聞こえてくる。

 

一旦は躊躇した。

 

迷ってしまったワケは、チャンミンと初めてするデート、お泊り、セックス...「初めて」とは一生に一度の特別製の記憶だ。

 

チャンミンに口づけながら俺は、心と身体が心から欲しているものと、理性との狭間で行ったり来たりしていた。

 

一生の思い出として刻まれるその時を、時間に追われるような形で、予定外のタイミングで成されていいのだろうか?

 

もっとロマンティックに完璧に仕上げたかったのだけれど、10代の欲求と愛情の強さに負けてしまいたい。

 

 

『今がよければいいじゃないか。

楽しめる時に楽しんでおこうよ』

 

と、旧友たちは、時を大切に過ごすこと、ひとつひとつの出来事に慎重な俺の背中を叩きそうだ。

 

友人ドンホなら、

『理想も大切だけど、勢いも大事だよ。

その時を大切にする、ってそういうことじゃないかな?

前もって計画するものじゃない

君は未だ17歳なんだから。

もっとのびのびとやりなよ』と、苦笑しそうだ。

 

 

書き物デスクの上の古風な置時計が、レストランの予約まで1時間を知らせていた。

 

ちらりちらりとそこに視線をやるチャンミンに、俺は彼の目と口を同時に塞いだ。

 

「...んっ...んっ」

 

俺が口を塞いでいるから、チャンミンの喘ぎ声は喉の奥で鳴る。

 

「そっちじゃなくて、俺の方に集中してよ」

 

17歳風情で、気障な言葉を口にしているなぁ...と、後で振り返った時、大赤面しそうなセリフだ。

 

「レストランの時間が...!」

 

「いいのいいの。

もうちょっとだけ。

間に合うよ」

 

「ホントに間に合いますか?

約束は守らなきゃ...お店の人に迷惑をかけてしまいます」

 

「うん、分かってる。

あともうちょっとだけ、こうしていたい」

 

あとからあとから湧いてくる欲は抑えられるはずもない。

 

レストランの時間など無視してしまえ。

 

 

(つづく)

 

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(17)19歳-初夜-

 

 

俺はもう...必死で。

 

頭も身体もぐらぐら煮たぎっている。

 

理想にしていた流れもムードもそっちのけで、がっついてしまっていた

 

チャンミンの乳首から指を離し、チャンミンの両頬を掴んだ。

 

右に左にと傾かせ、口内を舐め尽くすような野蛮なキスをする。

 

呼吸が出来ないらしく、チャンミンの顔は真っ赤な顔になっていて、俺は慌てて唇を離した。

 

「ごめんっ」

 

謝ると、チャンミンは「いいえ」と首を振り、今度は俺の頭がつかみ落とされた。

 

俺の口の中で、チャンミンの舌ががむしゃらに踊っている。

 

頬で俺の鼻を塞いでしまったり、前歯がぶつかったりした。

 

こんな激しさがチャンミンにあったとは...。

 

「...んぐっ...ぐっ」

 

俺たちは2人とも初めてで、技はないのに欲求ばかり上回ってしまっている。

 

キスだけじゃ発散しきれず、抱きしめあったままベッドの上を転がっていた。

 

俺に覆いかぶさっていたチャンミンを、力任せに下に組み敷いた。

 

「はあはあはあはあ」

 

チャンミンの唇は鬱血し、互いの唾液で顎下まで濡れていた。

 

整えられていた前髪も立ち上がり、チャンミンの直線的な眉が丸見えになっていた。

 

俺を一心に見上げている。

 

「次は?次は何ですか?」と指示を待っているみたいに。

 

こんな状況にあっても、チャンミンの目は優しくて、無垢で(これは彼の丸い目の形がそう見せているだと思う)、今からしようとしている事を思うと背徳感を感じてしまう。

 

キスに夢中になっていて、お留守になっていた愛撫に戻れる余裕ができた。

 

チャンミンの耳たぶを食んだ。

 

チャンミンは震える。

 

チャンミンの動脈に沿って舌を這わせて、不意打ちに吸い付く。

 

「あはっ...」

 

チャンミンはかすれ声をあげる。

 

「もしかして...」と、チャンミンの脇腹を手の甲で撫でおろした。

 

「あっ...あ...」

 

身をくねらせ、男のものとは思えない声をあげた。

 

次は撫で上げた。

 

「んんっ...あっ」

 

やっぱり。

 

「チャンミンって...感度が凄いね」と、耳元で囁いた。

 

するとチャンミンは、ぷいっと顔を背けてしまった。

 

「ユノって...」

 

「ユノって...?」

 

「そういうコト、言わないで...。

僕だって、分からないんです...なぜか出てしまうのです。

自分じゃないみたいで、怖いし恥ずかしいのです」

 

チャンミンは顔を背けたまま、怒った風に言った。

 

「ムカついた?」

 

俺の言葉は意外だったようだ。

 

「ムカついてませんよ!」

 

「なら良かった。

俺さ、チャンミンを今、あらためて見て思ったんだ。

チャンミンって、すごい綺麗なんだ。

見ているだけじゃ足らないよ。

全部、触ってみたい」

 

「......」

 

「ね?

俺たち、恋人同士だろ?

身も心も、っていうじゃないか。

だから、いっぱい触らせて?」

 

俺のおおざっぱな言い訳に納得してくれたのかどうか...「いいですよ」と渋々頷いてくれた。

 

「その代わり」

 

チャンミンの指が俺の後ろ髪に差し込まれた。

 

「僕もユノの身体をいっぱい、いっぱい触ってもいいですか?」

 

「え...?

今までもいっぱい見てきてるし、触ってきてるじゃないの?

チャンミンは俺の全部を見てきてるんだよ?

今さら触らなくたって...」

 

子守時代を指してそう言ったら、チャンミンの眉間にぎゅっとしわがよった。

 

チャンミンがムッとする表情はとても珍しい。

 

(子供っぽくて、本当に可愛い)

 

「あの頃と今とは全然違うでしょう?

僕だってお返しに言いますよ?

ユノがお漏らしした時の話とか、おねしょした時の話とか?」

 

「あー、わかったわかった!

あん時の話はNG!」

 

「でしょう?」

 

「じゃあ...。

チャンミンの身体はどんな風だか、確かめてみようよ」

 

「ユノ!

お願いですから。

そういう言い方がなんだか...すごく恥ずかしいのです」

 

チャンミンは俺の胸をポカポカ叩き(優しいから全然痛くない)、のしかかった俺の身体を押しのけようとした。

 

「じゃあ...」

 

俺は言葉を選ぶ。

 

「チャンミンに触りたいから、いっぱい触らせて?」

 

俺は中断していたそれへの愛撫にとりかかった。

 

それは小さな小さな突起だ。

 

冷気で縮こまっていたのが、もつれあい体温が上がるにつれ元に戻り、今じゃ先がツンと尖っている。

 

俺はチャンミンの胸先の変化から目を離したくない。

 

チャンミンは観念したのか、じっとしている。

 

乳輪を触れるか触れないかのタッチで、1周、2周、3周と、人差し指でなぞった。

 

「...んっ...ん...」

 

そして、4周目。

 

チャンミンみぞおちが波打っている。

 

「次は...」と、乳首の先を転がした。

 

指の腹の下でころころと、固くなっていく。

 

「んん...ん...ぐっ...ふっ」

 

チャンミンの胸板がビクビクと震えている。

 

時折、チャンミンの表情を窺った。

 

目をつむっている。

 

可愛い、と思った。

 

固くなっていったそれは、今じゃ摘まんでくれと言わんばかりに尖っていた。

 

(いてぇ...)

 

股間を確かめてみなくても、細身のズボンの下で俺のアソコはズキズキと疼いて、痛いくらいだった。

 

浮かしていた腰を落とし、チャンミンのそこと重ね合わせた。

 

(やっぱり...)

 

押し付け合ったそこは、熱く固く、弾んでいて、お互いに「早く自由にしてくれ」と訴えている。

 

(もう少しだけ...)

 

熟れた木の実みたいなそれを、そっと摘まんだ。

 

「んんぁっ...!」

 

チャンミンの上半身が跳ねた。

 

これだけで、この反応だ。

 

やっぱり、チャンミンは特にここが好きなんだ。

 

チャンミンの乳首はとても小粒で、乱暴に扱ったら取れてしまうのでは?と怖くなる。

 

少しキツ目につねったら、「痛いっ」と悲鳴を上げられた。

 

「ごめん」と謝っておきながら、キュッキュッとつねり上げてしまった俺。

 

痛いと言っていたけれど、そうでもなかった証拠に、俺の手は一向に跳ねのけられなかった。

 

「あっ...やぁっ!」

 

喘ぎ声を超えた声の大きさに、悲鳴をあげたチャンミン自身が驚いたくらいだ。

 

チャンミンはもじもじと、両膝を擦り合わせている。

 

調子にのった俺は、チャンミンの過敏なそこをしつこく指で攻め、首筋に吸い付いてもみせた。

 

(しまった...)

 

チャンミンの可愛らしい乳首が赤く腫れてきた。

 

チャンミンは自身の手首を噛んでいる。

 

「声を出していいんだよ?

ここは俺んちじゃない。

鍵はしまっているし、

いっぱい声を出していいんだよ」

 

「ユノ!」

 

この言い方も、チャンミンの羞恥心を煽ってしまったらしい。

 

イヤイヤするみたいに、両手で顔を覆っている。

 

「ねえチャンミン。

恥ずかしいと思ってる時点で、緊張してる証拠だよ?

俺は別に、チャンミンをからかうつもりで言っていないよ?」

 

俺の片手はこっそりと、チャンミンのズボンのウエストボタンに到達していた。

 

「ユノの言葉...信じますね?」

 

そう言うチャンミンの両脚付け根の中心は、アレの形通りに盛り上がっていた。

 

俺は、そこに触れないように慎重に、ボタンを外しにかかった。

 

「あの、あのっ...僕もっ...ユノのっ」

 

「ふっ。

何て言いたいのか分かんないよ」

 

「ユノに触りたい」と言いたかったのだろうけど、俺の股間に伸ばされたチャンミンの手を意地悪にも押しのけてしまった。

 

代わりに、チャンミンのウエストを素早く緩め、指をかけ、下着ごと引き落とした。

 

「ユノ!?」

 

そこから弾んで飛び出したものを、俺はすかさず握った。

 

「ああっ!」

 

それは熱くて、固くて...蒸れていた。

 

チャンミンの下半身へと身体をずらすと、俺の手が握ったそれの細部まで、はっきりと見られるようになった。

 

ここで「これも綺麗だね」と口にしたら、さすがに可哀想だと思った。

 

...本心なんだけどさ。

 

チャンミンはじっとしていた。

 

昨夜ここを目にした時は、デスクライトだけの明かりで 影の濃淡ばかりが強調されていて、デティールまでは分からなかった。

 

デリケートなここを、細部まで舐めるように見られるのは、当人にとって火が噴き出るほど恥ずかしいことだ。

 

でも俺は...少し...叔父のせいで、歪んだ性癖を付けられたのだと思うけど...恥ずかしがるチャンミンを見ると、興奮してしまうのだ。

 

俺の大好きな人が、俺の手ひとつで、息を乱し、うっとりとした表情になってしまうのを見たい。

 

恥ずかしいと思うところこそ、全部見てみたい、指を這わせたい。

 

口づけたい。

 

顔を上げると、涙目のチャンミンが俺を見下ろしていた。

 

「ホントにごめん。

からかっているんじゃないんだ。

俺...。

俺さ、チャンミンが好きでさ...好きだから、

だから...チャンミンの声が聴けると嬉しいんだ」

 

「...ホントですか?」

 

「うん。

『ユノ!

お腹が冷えたらいけませんから、腹巻をしましょうね」って言ってたチャンミンがだよ?

こんなに甘い声を出すなんて...。

感動しちゃうよ」

 

と言ってきかせてる間にも、チャンミンの真っ赤だった顔がますますリンゴになった。

 

「...ユノっ。

だから、そういうことは...」

 

チャンミンは唸るように言うと...。

 

「おっ!」

 

俺は後ろにひっくり返り、腰の上にチャンミンがまたがった。

 

俺の胸を力一杯ついたのだ。

 

さっき、俺が脱がしかけたせいで、大切なところが露わになっていた。

 

自分が恥ずかしい恰好になっていることに、チャンミンは気づいていない。

 

俺も必死、チャンミンも必死なのだ。

 

 

(つづく)

 

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(16)19歳-初夜-

 

 

17歳の時、俺はチャンミンと深い仲になった。

 

男同士だ。

 

男色家といって、世間からは後ろ指をさされる関係だ。

 

でも、その渦中にいる者には正常も異常も、正しいも間違っているも何も無い。

 

俺は若く、チャンミンに酔っていて、今この時さえよければいい、その後はどうなってもいい、どうにでもなる...刹那的でギリギリだった。

 

幼少期に、叔父の歪んだ性癖に付き合わされ、何度か男同士の行為を目にすることがあった。

 

反吐が出るほど、嫌な時間だった。

 

その時の知識がチャンミンを抱こうとしている今、役に立つとは...皮肉なものだと思った。

 

ごく自然な流れで、チャンミンは受け入れる側となった。

 

俺はチャンミンに押し入る側でチャンミンは俺を受け入れる側だと、最初から決まっていたと思う...理由は分からないけれど。

 

 

俺はチャンミンと目を合わせたまま、彼の喉元に手をやった。

 

衿先までパリッとアイロンがかけられたチャンミンのシャツだ。

 

きっちりとかけられた1つ目のボタンでつまずいてしまった。

 

(カッコ悪い...)

 

チャンミンから目を反らしたくなくて、指先の感触だけでボタンを外そうとしたけれど、うまくいかない。

 

ふっと、チャンミンの目が優しくなって、口元も緩んでいた。

 

好きだから抱き合いたい、どうすればいいか分からない、違う自分を見せてしまうことが怖い...そんないろいろが、今にも縁からこぼれそうだったのが、俺の小さな失態で吹きこぼれずに済んだ。

 

ピンと張った空気が緩んだ、というのかな。

 

チャンミンは俺の手首をそっとつかむと、自身の襟元から除けた。

 

そして、チャンミン自身でボタンを外し始めた。

 

「......」

 

「緊張しているのは僕だけじゃなかったのですね。

ユノも緊張しているのですね」

 

「そ、そうだよ。

チャンミンだって、慣れてたら嫌だろう?」

 

「はい...嫌です」

 

「だろ?」

 

さも慣れた風にゴムを用意し、「ひとつになりたい」だのくさい台詞を吐いておきながら、それらはすべて虚勢に過ぎない。

 

チャンミンが欲しくて、ヤリたいからヤルのだけれど、その欲求よりも、スムーズにコトを成したい、彼にいい思いをさせてやりたい...この願いの方が強いのかもしれない。

 

やっぱり、気障なのかなぁ。

 

チャンミンは俺と向かい合わせに横たわった状態で、シャツから腕を抜いていった。

 

シャツを脱いでしまうと、それのやり場に迷ったようだった...が、くるりと丸めた上でベッド下へ放った。

 

チャンミンはちろりと舌を見せ、俺も彼らしくない行動にクスリとしてしまった。

 

俺から目を反らしたくないし、身体を離したくない。

 

目の前に半裸になったチャンミンが横たわっている。

 

「...き...」

 

感動と欲で、最初のひと言が...一つ目のボタンのように...喉に引っかかってしまった。

 

「綺麗...

チャンミン...綺麗」

 

「綺麗?

...僕が?」

 

「うん」

 

カーテンを閉めずにいてよかった、と思った。

 

昼間の光はいかにも即物的ですみずみまで明らかにしてしまうから、ロマンティックさに欠けるものだ。

 

でも、今俺の目にさらされているチャンミンの裸の胸に、俺はロマンティックさを求めていない。

 

纏っていたものを取り去ると、現れたのは優しい肉体だった。

 

肉体労働を強いられているにも関わらず、筋肉は発達しておらず、静脈が透けてみえるほど真っ白な肌、光を浴びた産毛の1本1本が半透明に透けていた。

 

左わき腹にぽつんとあるホクロが、いかにも人間らしく映った。

 

筋肉も脂肪も、無駄なものは何もなかった。

 

「そんなに見ないでください...はずかし...」

 

俺は、顔を覆ってしまったチャンミンに構わず、彼に見惚れ続けた。

 

彼は人間が作り出したものではない、と涙が込みあげるほど感動した。

 

神々しくて一瞬、欲情が消え失せてしまうかと思われたくらいだ。

 

神様がこしらえた宝物。

 

...何かの小説で読んだことがある一節そのものだった。

 

宝物...小説じゃない、もっと別のところで目にした言葉だ。

 

...思い出した。

 

12歳の誕生日に、チャンミンが俺にくれた手紙に書かれていた一節だ。

 

『あなたは僕の宝物です』

 

あの言葉をそっくりそのままお返しできるよ...『君は俺の宝物』と。

 

俺の視線がぼやけ、目の前の光景から離れかけた。

 

胸が感動と愛情でいっぱいになり過ぎて、これからしようとしている行為を忘れてしまいそうだった。

 

「チャンミン...綺麗だね」

 

冷房の風で、チャンミンの桃色の乳首が縮こまっているのが、可愛らしかった。

 

摘まんでみたい衝動にかられたけれど、急な行動はチャンミンを驚かせてしまう。

 

それはもう少し後だ。

 

「何度も言わないで...」

 

チャンミンは俺の手を取ると、自身の胸に引き寄せた。

 

俺の手の平は、チャンミンの胸の真ん中に押し当てられている。

 

「チャンミン...凄い。

心臓がドキドキだよ」

 

「こうやって...ユノの手で、僕のドキドキを抑えてください」

 

「うん。

いいよ」

 

チャンミンは俺の手を押し付け続けるせいで、じんじんと伝わってくる彼の熱で火傷しそうだった。

 

「俺も脱いでいい?」

 

「はい?」

 

「服。

脱いでいい?」

 

「ああ!!

そうですね。

僕だけ裸になっていて...すみません!!」

 

俺は一度、チャンミンの側から離れると、手早くシャツを脱ぎ捨てた。

 

いつの間にか大量にかいた汗で生地が貼りつき、肩のところでもたついていたのを、チャンミンがアシストしてくれた。

 

(やっぱり、今日の俺はキマらない)

 

チャンミンはそれを笑ったりしない。

 

チャンミンもいっぱいいっぱいなのだ。

 

俺はチャンミンの手を俺の胸へと誘導した。

 

「ほら。

俺の心臓も...すごいでしょ?」

 

チャンミンの細い指は最初は遠慮がちだったのが、俺の胸を撫ぜ始めた。

 

「あなたが小さな時、お風呂に入れる時がありましたね。

水着になって湖で泳いだ時も。

さんざん目にしてきたのに...こんなに大きくなって」

と、チャンミンはつぶやくものだから、俺は吹き出した。

 

「年寄りみたいなこと言わないで」

 

「すみません。

なんだか嬉しくて...逞しくなったユノに感動していたのです」

 

「俺もチャンミンを見て感動していたんだ」

 

俺たちは顔を近づけ合い、鼻のてっぺん同士をくっつけた。

 

互いの吐息は、のぼせそうに熱い。

 

とても自然に互い違いに顔を傾け合った。

 

目をつむってしまったら勿体ない、視線を伏せただけだ。

 

唇は既に開かれていて、唇が重なる前には2人の舌が絡んでいた。

 

チャンミンの両腕が俺の背中にまわった。

 

「...んっ...ふっ...」

 

俺はチャンミンの腰を引き寄せた。

 

もう片方は、チャンミンの脇腹から胸へと這い上がっていく。

 

まず触れてみたいところがあった。

 

俺の指がどこに向かっているのか、チャンミンは知らずに俺のとのキスに夢中になっている。

 

指先が到達したとき、

 

「ああっ...あん」

 

チャンミンの身体が弓なりにしなった。

 

軽く摘まんだだけでこの反応だ。

 

レストランの予約時間が迫っていた。

 

 

(つづく)

 

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