(5)虹色★病棟

 

 

 

 

「え...。

お前のメシ...」

 

「ん?」

 

隣に座ったユノは、僕の食事がのったトレーを見て驚いたようだった。

 

隣、と言っても、椅子2つ分離れたところにユノは座っている。

 

スタッフたちはユノの為に、ビニール製のカバーにくるんだ椅子を用意していた。

 

念入りに除菌ティッシュで拭き清めたそこに、ユノは腰を下ろした。

 

「ユノだって変だよ」

 

ユノのトレーには、ミネラルウオーターのボトル、コンビーフの缶詰、プラケース入りのレトルト米飯、インスタントスープ。

 

マスクを顎下に下ろしたユノは、スプーンとフォークの袋を破りながら、「どこが?」と、眉をひそめて言う。

 

なるほどね、誰かが作った食事とスタッフが触れた食器が嫌なんだ。

 

「そんなんで栄養が偏るよ?」

 

「サプリメントとプロテインドリンクを飲んでいるから、これでいいんだよ。

俺のことはどうでもいい。

お前のメシこそ、異常だよ」

 

「そう?」

 

僕は米飯を飲み込んでから、自分のトレーを見る。

 

「全部、白じゃないか?」

 

そう。

 

僕の料理は全部、白いのだ。

 

牛乳、具なしのクリームシチュウ、ヨーグルトドレッシングをかけたホワイトアスパラ、塩を振っただけの米飯...。

 

「色が付いたものは嫌いなんだ」

 

むっとした僕は鼻にしわを寄せて、そう答えた。

 

シチュウを念入りにかき回し、人参の欠片を見つけると、ペーパーナプキンの上にスプーンですくいあげたそれを落とす。

 

自分が変だってことは分かってる。

 

分かってるけど...治らないんだ。

 

「悪かったな。

僕だって嫌いなものはある」

 

「ワンピースといい、ど派手な色のパジャマといい、お前にも拘りがあるみたいだけど。

それ以外のものは、嫌いってことじゃないか?」

 

「嫌いなものなんて...意識したことないよ」

 

僕は好きなものだけを、身の回りに置いておきたいだけなのだ。

 

「ユノだって、除菌にこだわってるでしょ?」

 

口にした後、「しまった」と思ったけど、予想に反してユノは「まあな」と気を悪くするでもなく答えた。

 

「白いばかり...。

そんなんだから、なまっちろい顔してひょろっとしてるんだ。

俺のプロテイン分けてやろうか?」

 

コンビーフを米飯の上に開け、スプーンでぐちゃぐちゃにかき混ぜたものから、僕は目を反らせた。

 

時間差で気付く。

 

ユノが僕にプロテインを分けてくれるって!

 

へぇ、いい奴じゃん。

 

「牛乳で割れば、限りなく白に近づくぞ?」

 

「ユノさん。

ありがと。

優しいね」

 

僕とユノは顔を見合わせて、微笑みあった。

 

マスクを外したユノはやっぱり、綺麗な男の人だと思った。

 

似た者同士の僕たちは、仲良くなれそうだ。

 

 

 

 

「起きろ!」

 

ドアをドンドン叩かれ、その大きな音に僕は飛び起きた。

 

寝坊?

 

朝食の時間は...あれ、まだ5時じゃないか。

 

僕は目をこすり、顔を出したばかりの朝日が薄いグレー色のカーテンを透かす様をぼうっと眺めていた。

 

よかった、今日は晴れなんだ、昨日は雨が降っていたからね。

 

傘をさしてのお散歩は、パジャマもキャンバス製スニーカーもびしょ濡れになってしまう。

 

「...ふあぁぁぁ」

 

眠い...大あくびの後、こてんとベッドに横倒しになってしまった時、

 

「チャンミン!

起、き、ろ!!」

 

ドアのノックは、ガンガン音にエスカレートしている。

 

「!!!」

 

ここでやっと、ノックの主がユノだと分かった。

 

僕はベッドを飛び降りた。

 

「スタッフに怒られるよ」

 

(僕らの部屋がある第1通路の面々は早朝体操の会メンバーが大半で、この時間は中庭に下りていってしまっていて、ユノの騒音に腹を立てる者たちが不在で助かった)

 

ドアの向こうに、昨日と同様、透明ゴーグルと黒マスクをしたユノが立っていた。

 

パジャマも昨日と同じ、白地に水色のストライプ柄のもの。

 

ドアをノックするなんて、思い切ったことができたのも、二重にした手袋のおかげ。

 

「...ねぇ、まだ5時だよ?

起きちゃったじゃないか。

朝風呂に入りたいの?」

 

わざとらしくあくびをしてみせたら、ユノは僕にティッシュペーパーの箱を投げつけた。

 

「これを付けろ」

 

それはティッシュペーパーじゃなくて、箱入りマスクだった。

 

「それから...」

 

ユノはもうひとつの箱を僕に投げて寄こし、「まったく...普通に手渡せばいいのに」と呆れながら、キャッチした。

 

ユノの場合、それが難しいってことは理解しているつもりだけどね。

 

「これも付けていろ」

 

「わかったよ」

 

僕は紙箱を開封しマスクを1枚、手袋を1双取り出し、ユノに見張られている中、きっちりと装着した。

 

「朝っぱらから何?」

 

僕を叩き起こした上、謝りもせず、マスクや手袋を強要するんだもの、寝起きの僕はご機嫌斜めだ。

 

マスクの下で僕はぷぅと膨れていて、僕の目が苛立っているとユノは察したようだった。

 

「...悪かった。

失礼なふるまい、許してくれ」

 

敬礼みたいに頭を下げられて、僕は慌ててしまった。

 

「やだ、ユノさん...頭を上げてよ。

寝起きで頭が回ってなかっただけだよ」

 

ユノの横柄さは、我が儘を通しているだけのものじゃなく、ちゃんと相手の反応を見たうえでジャイアンになってるみたいだ。

 

「そっか、ペンキ塗りだね」

 

 

「ああ」

 

ユノは心底イヤそうに眉をひそめて、

 

「あの色は好かん」

 

と、真っ赤な自室のドアを忌々し気に見ていた。

 

 

 

 

 

「...チャンミン。

なんだなんだ、このド派手な色は?」

 

ユノは僕の仕事ぶりを背後から見守っていた(刷毛に触るのが嫌なユノの代わりに、僕が全行程担う羽目になった。

 

無心になれる作業もいいものだ。

 

刷毛を滑らせると、その後に鮮やかな色の道ができる。

 

「赤の補色は緑でしょ?」

 

30分もしないうちに、真っ赤だったドアは艶やかなシトロングリーンに塗りつぶされた。

 

 

 

「緑はリラックスできる色なんだって」

 

「へぇ...」

 

「ユノの心の傷も癒えるといいね?」

 

ふり返ってウィンクして見せた。

 

しばし黙りこくったのち、ユノは「ああ」とほほ笑んだ。

 

 

 

(つづく)

 

 

[maxbutton id=”23″ ]

(4)虹色★病棟

 

 

夕飯までの2時間を、何をして過ごそうかな、と考えた。

 

昼寝をしようか、中庭を散歩しようか、読書をしようか。

 

夕刻前に昼寝をしたら夜眠れなくなるし、散歩は午前中にたっぷり2時間したし、食堂の本棚の本はあらかた読みつくしてしまったし(新刊が届くのは来週)

 

ベッドに仰向けになって寝転がる。

 

ユノのことを想った。

 

ユノはどうしてここに入る気になったんだろう?

 

僕は、といえば...。

 

胸の奥底の小箱がカタカタっと振動したのが分かった。

 

僕は目をつむり大きく深呼吸をして、その揺れがおさまるのを待った。

 

しばらく大人しくしていた小箱が久しぶりに反応し出して、僕はむわぁっと嫌な気持ちになった。

 

深呼吸を繰り返す。

 

胸に手を置いてゆっくり、ゆっくり息を吸って吐いて。

 

焦ってパニックになったら過呼吸になってしまうから。

 

小箱の振動が止んだ後も、じぃっと見守る...僕を怖がらせようと突然動きだすことがあるから。

 

「ふぅ...」

 

どれくらいの時間が経過したのか、まぶたを開けた時には、窓の外が薄暗くなっていた。

 

全身にかいた冷や汗は乾いたが、後ろ髪は濡れていた。

 

シャワーを浴びてさっぱりさせたくて、時計を確認すると17時45分。

 

(わっ!)

 

夕飯の時間まであと15分じゃないか!

 

(ユノ!)

 

勢いよくベッドから起き上がった。

 

(その前に...)

 

ドアノブにかけた手を離し、僕は引き返してクローゼットの扉を開けた。

 

「どれにしようかなぁ...」

 

引き出しに詰まったいろとりどりのパジャマ。

 

濃紺と薄青のグラデーションの窓外を見、今夜はバミューダ色のパジャマに決めた。

 

 

 

 

こんこん。

 

パジャマの袖で隠した手で、ドアをノックする。

 

突然、外開きのドアが開き、あやうく顔面衝突するところだった。

 

「遅い!」

 

ドアの向こうには、恐らく仏頂面をした(ゴーグルとマスクのせい)ユノが仁王立ちしていた。

 

ユノはさっきと同じ、白地に水色ストライプのパジャマを着ている。

 

除菌グッズを入れているのか、ユノのパジャマのポケットは、膨らんでいた。

 

ユノったら、僕を待っていてくれたんだ。

 

思わずくすりとしてしまった僕に、「何が可笑しい?」ってムッとしたようだった。

 

「何も可笑しくないよ。

僕のひとり笑い。

さあ、ご飯を食べに行きましょう」

 

ユノの手を取りそうになって、僕はその手を引っ込めた。

 

とっさの行動にも神経を使わないと。

 

ばい菌嫌いのユノを面白がって、嫌がることをしてからかったりするのは、もっと駄目だ。

 

ユノは正気で本気だ。

 

これまで周囲から遠巻きに観察され、こそこそ陰口をたたかれ、ばい菌にふりまわされる不自由な生活を送ってきたはずだから。

 

僕だって、ここに来る前から、セーラーカラーのワンピースを着て街を歩いていたんだ(すれ違う人たちの、不気味な生命体を見ているかのような顔といったら!)

 

食堂はステーションの隣にあるから、僕の案内なんていらない。

 

それなのに、ユノは僕を待っていてくれて嬉しかったのだ。

 

食堂への廊下を、僕はユノに先立って歩き、ユノは後方2メートルの間隔を取って僕の後をついてくる。

 

「お前はこれをしろ」

 

ユノはパジャマのポケットから取り出したものを投げて寄こし、僕はそれを取り落としそうになってヒヤリとしたけど、無事キャッチした。

 

1枚ずつパックされたマスクと手袋だった。

 

「僕も!?」

 

「当然だ。

俺の隣でうろちょろしたかったら、お前もそれをしろ」

 

「うろちょろって...酷いなぁ」

 

素直にマスクと手袋を装着した僕とユノは、肩を並べて歩いた。

 

変だなぁと思ったのは、潔癖ならばユノだけがシールドを張ればいいことだ。

 

自身のプライベート空間に招きいれる時は、来訪者に着替えや手洗いを要求して当然。

 

僕までマスクや手袋をする必要がないんじゃないかなぁ。

 

でも、そこまでしないといけないくらい、ユノはばい菌を恐れているってことか...。

 

僕はばい菌扱いされても、気を悪くしない。

 

僕だって変だから。

 

ユノの横顔をちらり、と覗った。

 

初登場の時はコートを着ていて、今はパジャマを着ているから身体のラインはよく分からない。

 

コートの裾から伸びた膝下はまっすぐ長かったし、小さな頭のせいでゴーグルがとても大きく見えた。

 

「...なんだ?

俺の顔に何かついてるのか?」

 

その声が震えていて、ゴーグルの下の切れ長の眼が真剣だった。

 

(しまった!)

 

きっと、何か異物が付いているのではないかと恐怖しているユノに、僕は慌てた。

 

「大丈夫。

な~んにも付いてないよ。

安心して」

 

「驚かせるなよ」

 

安堵でふっと力を抜いたユノの肩を、なだめるように叩きそうになる手を引っ込めた。

 

「...ユノさんってかっこいいなぁって。

見惚れてしまって...。

じろじろ見ちゃってごめんね」

 

「ふん...」

 

恥ずかしくて仕方がなくて、廊下を歩くふわもこファーのスリッパに視線を落とした。

 

なぜこんな風に、大胆な発言をできるかというと。

 

ぴりぴりと張ったユノのシールドの中...つまり心に近づくには、ストレートな表現をしてあげなくちゃ破れないと、彼の部屋を訪れた時思ったから。

 

なんとなく...。

 

それに、マスクで口元が隠れているせいじゃないかなぁ。

 

震える唇やきゅっと上がったり下がった口角を見られなくて済むからだ。

 

ユノだってそうじゃないかな。

 

 

(つづく)

 

[maxbutton id=”23″ ]

 

(3)虹色★病棟

 

 

 

真っ赤なドアが気に入らないユノ。

 

「気に入らないなら、ペンキで塗っちゃえば?」

 

「え?

そんなことしていいのか?」

 

「うん。

ここは自由だよ。

家具はネジで留めてあるし、カーテンとシーツは所定のものじゃないといけないけど...それ以外は好きにしていいんだ。

ユノさんだって、変な機械をもちこんでるじゃないの?」

 

消毒液入り蒸気を出す加湿器、脱臭・除菌効果が見込めるオゾン発生器のことだ(他にも何かありそうだ)

 

「そうだな」

 

「ステーションでペンキを借りてこよう」

 

「ペンキがあるのか!?」

 

「うん。

大抵のものは揃っているよ。

刃物やロープやライターなんかの危険なものは駄目だけど」

 

「ふぅん。

暴力沙汰が起きたら困るよなぁ、確かに」

 

「ここにいる人たちは大抵大人しくて礼儀正しいから、その心配はないけどね」

 

「洗濯の後にしよう。

お前もペンキ塗り、手伝え」

 

「人にものを頼む言い方じゃないなぁ。

あ、ここが洗濯室」

 

案内しても、ユノは廊下に立ったままだ。

 

ドアノブに触れたくないんだな、と察した僕は、バスケットにあった除菌シートで拭き清める。

 

ホント、面倒くさい男だなぁと思ったけど、僕は誰かのお世話をしたくて仕方がなかったから、全然苦にならない。

 

「どうぞ、王子様」

 

片手を胸にあて、うやうやしくお辞儀をしてみせたら、「俺をからかってるのか?」と、眉間にしわを寄せたユノ。

 

可愛い。

 

ユノはばい菌嫌いだけど、実は人懐っこい質なんだろうなぁ、と僕は思った。

 

僕の言うことにいちいちつっかかってくるけど、僕を遠ざけないもの。

 

洗濯機の中をのぞいたユノは、僕の予想通り思いっきり顔をしかめていた。

 

「雑菌とカビの温床だな」

 

「乾燥機にかけたら滅菌されるんじゃないの?」

 

「その乾燥機が汚れてたら意味ないだろう?」

 

「乾燥機の中も熱風で菌は死ぬよ。

ユノさんって、細かい男だねぇ」

 

異常なほどばい菌を恐れるのは、実はユノ自身の精神を守るためのシールドなのかな、と思った。

 

洗濯ものをたたむ為のテーブルを、除菌シートで清めた上でバスケットを置いた。

 

ユノは比較的綺麗な(これは、先月設置されたばかりの新品なのだ)洗濯機を選ぶと、洗濯槽にシュッシュとアルコールスプレーをたっぷり吹きかけた。

 

「女の恰好してたお前だって、変人だ」

 

人並みの間を縫って、僕の瞳に鋭い矢先の視線を飛ばしていたユノ。

 

しっかり僕の姿を認めていたんだ。

 

うふふ、嬉しい。

 

でも、ワンピースを着ていた事情を説明し出すと長くなるんだよね。

 

「女装が趣味なのか?

よし、これくらいでいいか」

 

ユノは洗剤を投入し、洗い物を入れないまま洗濯機を回し始めた(スプレーだけじゃ足りないんだ。資源の無駄遣いだな)

 

「そう言われても仕方がないけど...。

...着たいから、着ているだけだよ」

 

僕は頬を膨らませ、スリッパ履きの足で床を蹴った。

 

リノリウムの床は、洗剤の粉やほこりで汚れている(今週の当番は掃除をさぼっているな)

 

(ユノはスリッパを二重に履いていて、部屋に戻ったら絶対に消毒するんだろうな。

 

それどころか、汚れたスリッパを室内に持ち込みたくないと言って、外側に履いたものは廊下に置きっぱなしにするかもしれない)

 

新入りとのファーストコンタクトでは、綺麗で可愛い恰好でいたかっただけだ。

 

ニュースを聞きつけた昨夜は、どのワンピースにしようか鏡の前で、とっかえひっかえ試着を繰り返した。

 

星屑が散った青いワンピースに決定した時には、深夜過ぎだった。

 

「男の恰好だってするさ。

その機会がないだけだよ。

ここではほとんどパジャマでいるし...。

たま~に、スカートが履きたくなる...それだけだよ」

 

ユノは潔癖過ぎて日常生活に支障が出たから、ここに来たわけじゃない。

 

僕だって、女装趣味があるからってここに来たわけじゃない。

 

壁にもテーブルにもよりかかれない、ましてや椅子にも座れず、両腕を組んで立ちんぼだったユノ。

 

組んでいた腕をほどき、ふっと肩の力を抜いた。

 

ゴーグルの下の両目からも、鋭い光がふっと和らいだ。

 

「悪かった。

馬鹿にしたわけじゃない。

...お前もいろいろあったんだな」

 

「...まあね」

 

少しだけ怒っていたけど、ユノの優しげな口調のおかげで機嫌を直した。

 

「...ユノさんもでしょ?」

 

「ああ」

 

「キツイ時だね。

ここに来たばかりだから、一番キツイ時だね。

泣いちゃうね」

 

「ピークは過ぎたよ...」

 

眼は悲し気なのに、マスクの下では口角を上げているだろう...そんなあやふやな笑みを浮かべているんだろうなぁと思った。

 

 

 

 

僕の予想通り、ユノは二重スリッパの外側の方を自室の前で脱いだ。

 

「じゃあな」

 

そう言って、僕を廊下に残したままドアを閉めようとするんだ。

 

「待ってよ。

ペンキ塗りは?」

 

僕の手にはペンキの缶と刷毛。

 

「疲れたから、寝る。

ペンキは明日だ。

お前も手伝え」

 

「僕は『お前』じゃない。

チャンミン、チャンミンだよ」

 

「はいはい。

チャンミン。

これで満足か?」

 

「夕飯前に迎えに来るね」

 

「俺は子供じゃない。

食堂くらい一人で行ける」

 

「まあまあ、そう言わないで。

ルールも教えてあげたいし...それに...」

 

ユノは、部屋と廊下の中間に立った状態で、僕の言葉を待っている。

 

急に恥ずかしくなって、僕は腕を後ろに組み、この場にはない小石を蹴る。

 

このいかにもな仕草は、照れた時の僕の癖。

 

「ユノさんとおしゃべりしたいなぁ...って」

 

「お前って...チャンミンって変わってるなぁ。

俺なんて退屈だぞ?」

 

「ううん」

 

僕はゆっくり首を振った。

 

「...僕。

ユノさんと友だちになりたいんだ」

 

ユノはじぃっと僕を見る。

 

そして、ぷいっと顔を背けた。

 

「あっそ。

じゃあな」

 

「待って」

 

僕の手はユノの手首を捕らえていた。

 

案の定、ユノの顔色はさっと青ざめ、僕の手を払いのけようと腕を振った。

 

凄い力だ。

 

振り払われまいと僕は握る手に力を込めた。

 

「手袋をしてるから。

後で消毒すればいい」

 

「お前は俺の嫌がることを平気でするんだな」

 

ユノの言葉は無視して、僕は「握手しよ?」と言った。

 

ユノの潔癖症を直そうなんて思わない。

 

ユノなりに事情がいろいろとあるんだろう。

 

小さい頃のトラウマとか(本で読んだことがあるんだ)

 

ユノはずっとこのままかもしれないし、いつか克服するかもしれない。

 

僕は構わない。

 

僕だってワンピースを着るのをやめたくないし、他にもいっぱいある。

 

忘れられない哀しい思い出もある。

 

ユノはしばらく無言だった。

 

僕は右手を突き出した。

 

僕と握手できるかできないかで迷っていたんだろう。

 

僕は辛抱強くユノを待つ。

 

ユノの視線は医療用の青い手袋をした僕の手と、白の布手袋の上にビニール手袋を重ねた彼自身の手の間を行ったり来たりしている。

 

部屋に戻ってすぐ消毒をすればいい、との結論に至ったのだろう。

 

おずおずと差し出されたユノの手を、僕はぎゅっと握った。

 

瞬間、僕の手に包まれたユノの手がビクッと強張った。

 

固く緊張したユノの手を上下に振った。

 

「僕をよろしくお願いします」

 

ユノは素早く手を引き抜き、くるりと僕に背を向けた。

 

「じゃあな」

 

「うん。

後でね」

 

真っ赤なドアがバタンと閉じた。

 

僕の心はふわふわっと上昇した。

 

色白のユノの首が赤くなっているのを、見ちゃったもんね。

 

積極的な僕。

 

ユノは潔癖症の美男子。

 

胸がドキドキした。

 

 

(つづく)

 

[maxbutton id=”23″ ]

(2)虹色★病棟

 

 

 

僕はきょろきょろと室内を見回した。

 

真っ赤に塗られたドア以外は、僕の部屋と同様にカーテンとリネン類は全て白、スチール製の家具は灰色。

 

閉め切った窓のせいで、むせかえるほどのアルコールの匂いで、酔っぱらったかのようにくらくらした。

 

ちなみに、ここでは飲酒禁止だ。

 

「窓を開けたい」とは言い出しにくい。

 

潔癖症の彼が、外気を取り込む行為を嫌がりそうだったから。

 

消毒薬を浴び、僕のパジャマは湿り気を帯びていた。

 

「...お前、俺に用事があるのか?」

 

彼は両腕を組んで窓際に仁王立ちしている。

 

年齢は20代後半から30そこそこ、髪色は黒、しゅっとした体形の長身の男。

 

漂白したかのように青ざめた肌のせいで、目の下の隈が目立つ。

 

何かに思い悩み苦しんでいるような、暗い眼をしていると感じたのは、彼の瞳の色が黒の中の黒をしているからだけじゃないと思う。

 

「...僕、君の隣の部屋なんだ。

ひとこと挨拶しようと思って...。

急にごめんね」

 

刺激のない平穏な暮らしを送っているせいで、新入りが来ると言ったイベントがあると、好奇心がくすぐられ、居ても立っても居られなくなる。

 

29歳と言えば立派な大人。

 

ここで暮らすうちに、僕は子供っぽい性格になったと思う。

 

もっとも、僕の本来の性格なんてよく分からなくなっていた。

 

それもこれも、ここが平和だから。

 

いつもと違うことが起こると、とうに忘れてしまっていた好奇心が引っ張り出され、その出来事は僕の中で「大事件」になる。

 

野次馬のように遠巻きに眺めていられなくなり、接近して関わろうとする。

 

地球に不時着した宇宙船。

 

そこから助け出された銀色の衣をまとった宇宙人。

 

いの一番に担架を持って駆けつけ、率先して治療にあたり、彼(彼女)が話す宇宙語の意味を理解しようと耳をそばたてる。

 

今の僕はそんな感じだ。

 

アルコールの香りに耐えきれなくなり、やっぱり窓を開けようとベッドから立ち上がったところ、

「俺の1メートル以内に近づくな」

びしっと拒絶の声に、僕は腰をあげかけた姿勢のまま一時停止。

 

彼は長い腕を真っ直ぐ伸ばし、人差し指を僕の鼻先に突きつけている。

 

「ごめん。

ねぇ、君ってもしかして...潔癖症?」

 

もしかしなくても、明々白々なんだけどね。

 

「潔癖症のどこが悪い?」

 

彼はふん、と鼻をならし、どこか威張っているみたいな口調に、僕はくすくす笑ってしまった。

 

「笑うところか?

失礼な男だな」

 

形のよい眉をひそめた表情に、可愛いなぁと思ってしまった。

 

僕はベッドに座り直し、身をひねって反対側を見てみると、部屋の隅に消毒液の10リットルポリタンクが数個と、オゾン発生器の緑のランプが灯っていた。

 

「俺をからかうつもりなら、この部屋からとっとと出て行け」

 

「ヤダ」

 

「...ヤダ、って。

お前はお子様か?」

 

「無邪気、と言って欲しいな。

ねえ。

潔癖症になった理由って何?

ここに入所した理由って何?

潔癖症が理由じゃないでしょ?

余程、キツイことがあったんでしょ?

それって何?」

 

「黙れ!

お前は俺のプライベート空間だけじゃ足りずに、心にもずかずかと土足で立ち入る無神経な奴だな。

あ~あ、部屋に入れるんじゃなかった。

出て行けよ」

 

「ヤダ。

僕は退屈していたんだ」

 

「俺はお前の暇つぶしの道具じゃない。

長旅で疲れているんだ」

 

「へぇ...どこから来たの?」

 

「どこだっていいだろう」

 

僕は諦めない、しつこく食い下がる。

 

「ねぇ。

おしゃべりしようよ。

ベッドから動かないから、ね?

君も座りなよ」

 

僕が座った脇をぽんぽんと叩いてしまった。

 

これはわざとじゃない、ついついしてしまったことで、彼の悲鳴でハッとしたのだ。

 

「...ごめん」

 

「ったくもう!

カバーを洗濯しないと!」

 

彼を顎をしゃくって、僕をベッドの上からどかすと、布団カバーとシーツをはがした。

 

その手はやはり、手袋をはめたままだ。

 

潔癖症の人は、何度も手を洗うせいで皮がむけて真っ赤な指先をしている、と聞いたことがある。

 

「手袋外して見せて?」とお願いしたかったけど、ぐっと我慢した。

 

イライラしている風の彼のご機嫌を、これ以上損ねてしまったら、ここを追い出されてしまうから。

 

おいおい見せてくれるだろう。

 

「おい、お前!

洗濯室まで案内しろ」

 

「僕の名前は『お前』じゃないよ。

ちゃんと名前を呼んでよ」

 

「お前の名前なんて知らん。

俺の部屋に乱入してきたお前の方から名乗るべきろう?」

 

「常識的に、新入りの方が先に自己紹介するものじゃないの?」

 

クローゼットの中も覗いてみたくなったけど、我慢した。

 

彼の恐怖を誘う真似はよそうと思ったんだ。

 

クローゼットの取っ手を触ってしまうからね。

 

シーツに触れた時の彼の表情ときたら、ホラー映画で殺人鬼に襲われそうになった主人公のようだったから。

 

「申し遅れました。

僕の名前は...」

 

0.5秒、思考が止まってしまった。

 

ここでは、自身の名前を名乗るシチュエーションがほとんどないからだ。

 

「チャンミンと言います。

よろしくお願いします」

 

僕は立ち上がり、礼儀正しくお辞儀した。

 

「俺は、ユノだ。

覚えたか?」

 

「ユノさん、だね。

覚えやすい名前だね」

 

「悪いか?」

 

「全然」

 

つっけんどんなユノは、ばい菌嫌いだけど人嫌いではなさそうだ。

 

「出て行け」と言ったくせに、文句を言いながらも僕の相手をしてくれる。

 

ユノと仲良くなろうと思った。

 

僕の好奇心をくすぐるキャラクターのようだし、神話に出てくる神様みたいに完璧な容姿をしている。

 

僕は気づいていた。

 

ユノがさっきから、部屋のドアをちらちらと覗っているのを。

 

だから、こう言った。

 

「大丈夫だよ。

皆、ノックをするから。

急に入ってくる人はいないよ。

ルールなんだ。

ただし、鍵はないからね。

盗まれたら困るような貴重品はないよね?」

 

「ああ。

免許証もクレジットカードも全部、取り上げられた。

家のカギも車のカギも。

徹底してるんだな。

スマホもPCもないのは辛いな」

 

「1週間もすれば慣れるよ」

 

シーツを抱えたユノは、デスクに置いた紙箱から取り出したものを、僕に投げて寄こした。

 

「それをはめろ」

 

それは、医療用ラテックス製の青い手袋だった。

 

ユノは未だドアを気にしている。

 

誰かが入室してくることを恐れているわけじゃない...その眼に嫌悪の色があったから。

 

「ねえ。

ドアがどうかしたの?」

 

「...色だ」

 

透明ゴーグルと黒マスクをしたユノは、「洗剤を持ってくれ」と命じた。

 

バスケットは5種類の洗剤ボトルでずしっと重かった。

 

「色?」

 

「赤は嫌いだ」

 

洗濯室に向かう廊下を、僕の後ろをユノは2メートルの間隔を置いて歩いている。

 

ユノは嫌いなものが多いなぁ、と思った。

 

嫌いなものが明確の方が、案外生きやすいのかなぁ、とも思った。

 

僕はと言えば、好きなものをカウントしていく生き方だ。

 

活字、愛用のブランケットの香り、レース模様、白米、お散歩、水泳...それから、綺麗な色とシルエットのワンピース。

 

 

(つづく)

 

[maxbutton id=”23″ ]

(1)虹色★病棟

 

虹色★病棟

 

僕らは走っていた。

 

くるぶしまで浸かった裸足は、凍えそうだった。

 

固く握りしめた彼の手。

 

温かく頼もしい...愛しいその手が僕を導いてくれる。

 

かれこれ30分以上、僕らは走っていた。

 

天井からぽたぽた落ちる水で、僕らのパジャマはぐっしょりと濡れている。

 

水を蹴散らすパシャパシャ音が反響している。

 

前方に白い光。

 

あともう少し。

 

もうすぐだ!

 

 

 


 

 

 

新入りがやって来るとの情報を聞きつけて、僕はロータリーを見下ろせる窓前に陣取っていた。

 

外は雨がしとしと降っていた。

 

嵌め殺しの窓ガラスは白く曇っていて、くっつけた鼻先が水滴で濡れた。

 

気温が低いらしい。

 

僕と同様に、食堂兼娯楽室をうろつく者たち。

 

スーツを着た者、ジャージやスウェットの上下の者、Tシャツとチノパンの者、タンクトップ姿や冬物ニットを着た者、そしてパジャマ姿...とにかく、皆思い思いの恰好をしている。

 

暇を持て余している僕らは、情報に飢えていた。

 

ここにはテレビもない、通信機器も使用禁止、新聞もない。

 

せいぜい、『食中毒に注意』だとか『防災週間』のポスターや、給食の月間メニュー表が貼ってある程度で、これらもすみずみまで読みこんでしまった。

 

僕と同じ部屋だといいなぁ。

 

先月ここを出て行った同室の奴が変人過ぎて、ホッとした束の間、今度はひとりが寂しくなってきていたところだったのだ。

 

僕はとっておきの洋服を着ていた。

 

視線を落とすとピカピカに磨いたワンストラップの革靴、黒のソックス。

 

僕の恰好を見ても、眉をひそめる奴はここには誰もいない。

 

それでも急に不安になってきて、洗面所の鏡に顔を映す。

 

水で濡らした指で前髪を梳かしつけた。

 

「よし!」

 

食堂までとって引き返した時、そこはざわついた雰囲気だったため、窓辺を離れた1分を悔やんだ。

 

どんな車で現れ、ひとりなのか連れがいるのか、荷物は多いのか手ぶらに近いのか。

 

安全で快適なここから窓の外を見下ろし、その者がここに案内されるまでの数分間、第一印象をもとに想像の世界で遊べるのに。

 

いきなり近くで見てしまったら、刺激が強すぎるからね。

 

エントランスにぞろぞろと移動していく者たちに、僕も加わった。

 

エレベーター前すぐに、透明アクリルがはめ込まれたエントランスドアがあるのだ。

 

2メートル近くある大男のせいで、前が見えない。

 

大男と肥満男の間に身体をねじこもうとしたけど、やせっぽっちの僕は簡単に押し返されてしまった。

 

僕は諦めて後退し、壁にもたれて待つことにした。

 

胸がドキドキする。

 

新人はどんな人物なんだろう?

 

若いのかな、しゅっとした人かな、それとも根暗な奴かな。

 

人並みがざっと左右に分かれた。

 

スタッフに伴われたのは若い男だった。

 

しゅっとした身体付きだった。

 

初夏に近い季節なのに、薄手のコートを着ていた。

 

足元に視線を移す...僕は靴にうるさいのだ。

 

どんなにイケた格好をしていても、ちぐはぐな靴やかかとがすり減ったものを履いてる奴はいやなのだ。

 

その男の靴は、爪先がしゅっとしたサイドゴアのショートブーツを履いていた。

 

視線をゆっくり上げていく。

 

世界は緑あふれる季節なのに、手袋をはめていた。

 

さらに、視線を上昇させた末...僕はショックを受けた。

 

「!!」

 

その男は異様だった。

 

黒いマスクをしていたのは、別段おかしなことじゃない。

 

僕的に衝撃だったのは、透明ゴーグルを装着していたのだ。

 

僕は再び、自分のワンストラップシューズに視線を落とした。

 

これ以上、その男を見ていられなかったからだ。

 

身体を動かす度、スカートの裾がひらひら揺れた。

 

綺麗なブルーに、白い星屑が散ったコットン素材。

 

何だよ...せっかく、とっておきのワンピースを着ていたのに...。

 

あんな変人、同じ部屋だったら最悪だ。

 

身をコートに包み、手袋、ゴーグル、マスク。

 

まるで周囲の物も空気も、ばい菌だらけなんだと思っているのだろうか?

 

でも、ゴーグル奥の目の眼力が凄かった。

 

視線の矢が僕の瞳にまともに刺さった...そんな感じだった。

 

 

 

 

僕は脱いだワンピースを、ハンガーにかけクローゼットに吊るした。

 

「...なんだよ...変な奴」

 

パジャマに着替え、ベッドの上で両膝を抱えた。

 

閉めたドアの向こう、廊下に意識を集中させた。

 

僕の部屋のドアがノックされたら、どうしよう!

 

「今日から、彼が同室ですよ」って。

 

落ち着かなくて、ベッドから下りた僕はスリッパを履き、10センチだけ開けたドアの隙間から廊下の様子を窺った。

 

廊下には誰もおらず、左手はステーションカウンターが、右手は行き止まりでバルコニーに続くドアがある。

 

今、空室になっているのは、僕の部屋とその隣と、2号通路の方の一番端だけのハズ。

 

「わ!」

 

ステーションの角から、2人のスタッフと共に、ゴーグル男がこちらにやって来る!

 

僕はというと、ドアの隙間を5センチまで閉めて、廊下の様子を探る。

 

こちらに近づいてくる3人。

 

スタッフの薄ピンク色の制服、男のグレー色のコート。

 

どんな顔をしているかは、ゴーグルとマスクで分からないけれど、高い鼻梁の感じから...容姿が整っている確率は高そうだ。

 

僕の部屋を通り過ぎる瞬間...。

 

「わ!」

 

ゴーグル男と覗き見男(僕のことだよ)の目が合った。

 

「わ!」

 

レーザービームのような視線だった。

 

慌てた僕は俯いて、自身のふわもこファーの真っ白いスリッパに見入っているフリをした。

 

僕の部屋を通り過ぎた...ということは。

 

「!」

 

隣の部屋だ!

 

僕のハートはふわふわっと浮上した。

 

ゴーグル男が気になって仕方ない。

 

顔を見てみたい!

 

室内の説明を終えたスタッフたちが、ステーションに戻ってしまうまで待った。

 

周囲に誰もいないことを確認し、僕は部屋を出た。

 

ひと息ついたのち、隣室の赤色にペンキを塗られたドアをノックした。

 

「どうぞ」

 

優しそうな声だ。

 

緊張で汗ばんた手を、パジャマのズボンで拭いた。

 

「し、失礼します...」

 

声が震えてしまった。

 

おずおずドアを開けると、むわっと消毒液の香りに包まれた。

 

室内に足を踏み入れるなり、

 

「ストップ!」

 

と、鋭い声が飛んできて、それに従い僕は直立不動となる。

 

足元に視線を落とすと、真新しい黄色の梱包テープが、灰色のリノリウムの床に真一文字に貼ってある。

 

僕の爪先から手前と、室内へとを区切る境界線のようだ。

 

デスクに置かれた加湿器みたいなところから、しゅんしゅんと白い蒸気が噴き出ている。

 

「そこで待ってろ」

 

「...はい」

 

あの男はゴーグルと黒マスクを外して、ぱりっと糊のきいた薄水色のパジャマに着替えていた。

 

そして、ベッドカバーにスプレーを吹きかけているところだった。

 

白亜の王子様だった。

 

神話に登場する美貌の神様だ。

 

こんな...綺麗な人が...いるなんて!

 

呆けて立ち尽くした僕に、王子様は近づくとスプレーの噴出口を僕に向けた。

 

「!!!」

 

「悪い。

しっかり除菌しないと」

 

全身しっとりと濡れるほど、消毒薬をふりかけられ、「この上に座って」と促された。

 

僕はそろりと、ベッドに敷いたタオルの上に腰かけた。

 

なるほど...。

 

この王子様は...極度の潔癖症なのかもしれない!

 

 

 

 

以上が、僕とユノの恋物語のスタート場面だ。

 

その一か月かそこらの後に、僕らはキスを交わすまでの仲に進展した。

 

ユノは、第一印象は衝撃的だったけど、それだけに魅力と謎の多い男だったんだ。

 

 

(つづく)

 

[maxbutton id=”23″ ]