(更衣室)あなたのものになりたい

 

 

チャンミンの上にのしかかるなり、両頬を挟んだ彼の両手に引き落とされた。

 

唇が重なる前に、互いに伸ばした舌同士が接触した。

 

二つの舌を重ね合わせたまま交互に吸い合う。

 

チャンミンの両手は俺の背中を撫ぜ、俺の手は彼の尻と太ももを行ったり来たりさせた。

 

何枚も重なり乱れた真っ白なバスタオルの上で、俺たちは知っている限りの全てのバリエーションのキスを交わした。

 

「...早く...待てない」

 

チャンミンの両足は俺の腰にからみつき、俺の挿入を待っている。

 

丸めたバスタオルをチャンミンの腰の下にあてがった。

 

チャンミンはこの体位が好きだ。

 

尻を割り左右に剥いて、真上を向いたチャンミンの入り口を露わにした。

 

口内で溜めた唾液をとろり、と流し込んだ。

 

「...んっ」

 

チャンミンの尻が震えた。

 

俺は中腰になると、手を伸ばして、更衣室のドアを開けた。

 

カルキ臭くひんやりとした空気が、室内に流れ込んでくる。

 

チャンミンの腰をより高く引き上げ、ゆっくりと埋めていった。

 

潤い不足であるにも関わらず、俺のものは難なく飲み込まれた。

 

そして、待ち構えていたと言わんばかりに、チャンミンの腸壁は奥へ奥へとうねっていた。

 

「毎日いじってるだろ?」

 

「......」

 

「いやらしい男だなぁ。

何を想像していじってる?」

 

「......」

 

「答えろ」

 

「...いやです」

 

顔を背けたチャンミンを許さず、顎をつかんで正面へと向かせた。

 

「答えないと...」

 

俺は腰の律動運動を止めた。

 

「止めないで」

 

「答えろ」

 

「言います!

お、お兄さんです。

お兄さんを...」

 

「俺を?

へえ...俺とどうしてる?」

 

「お兄さんと...えっちしてます」

 

「こんな風に?」

 

ずん、と叩きつけるように突いた。

 

「...んっ!」

 

「こんな風にか?」

 

「は、はい」

 

「嘘つくな。

俺は嘘つきは嫌いだ。

正直に答えろ」

 

「お兄さんと...もっと...」

 

「もっと?」

 

「もっと...すごいこと...してます」

 

「俺とすごいことしてるのを想像して、いじくってるわけか?」

 

「はい...そうです」

 

「どスケベだな、チャンミンは?」

 

俺は身を伏せて、チャンミンの耳元で囁いた。

 

「だって...。

お兄さんが好きだから...」

 

奥深くまで埋めたあと、ゆっくりと引き抜いていった。

 

「ああぁぁ...」

 

それは男のものではない...絹を裂くような掠れた高い声だった。

 

「しーっ。

声は我慢しろ」

 

俺はチャンミンにタオルを噛ませた。

 

次もじわりと腰を埋めた。

 

すると、もっと奥まで欲しいと言うようにチャンミンの腰が揺れた...これは条件反射のようなものだと思う。

 

「...チャンミン。

誰か来るかもね」

 

「...えっ...!?」

 

チャンミンは喉をのけぞらせ、更衣室の入り口を仰ぎ見た。

 

「そんなっ...」

 

「ドアが開いてるんだよ?

ここに入ってきた奴は、まず最初にチャンミンのデカい口を見てしまうね。

どうする?」

 

チャンミンの入り口が締まり、その窮屈さに俺は呻いた。

 

チャンミンの声が聞きたくて、深く埋めたまま彼の腰をぐらぐら揺すった。

 

「あ、あ、あああ、あっ、あっ...っ」

 

チャンミンの両膝の裏を梃に、強弱をつけて鋭く突いた。

 

「んんっ、あんっ...いいっ...いい、いい」

 

俺の動きに合わせて喘ぐチャンミンの声は、これまでになく大きい。

 

予想通り、「見られるかもしれない」スリルがチャンミンの興奮を煽り、感度よくさせたのだろう。

 

「...そこ、そこがいいっ...いいっ...もっと」

 

先を濡らしたチャンミンのものをつま弾いてやると、「ひゃん」と声を上げた。

 

 

ベンチに腰掛けた俺の膝にまたがったチャンミンは、自ら腰を振った。

 

目の前で揺れるチャンミンの薄い胸で、紅く主張する二つを交互に噛みついた。

 

「やっ...やっ...もっと...もっと」

 

後半はチャンミンの細い腰をつかみ、俺からも加勢してやった。

 

下から突き上げるたび、チャンミンは女のような甲高い悲鳴を上げる。

 

ドアを閉めていたって、こんな派手な喘ぎ声は駄々洩れだろう。

 

別世界へ飛ばされてしまったチャンミンには、気にするようなことじゃない。

 

俺たちのベッドでの時よりも、チャンミンは感じているようだ。

 

事実、チャンミンのものはくたりと力を失って、俺の下腹の上で揺すられているだけ。

 

強烈に感じている証拠だ。

 

俺はチャンミンに口づけて、ラストスパートをかけた。

 

飲み込まれるんじゃないかくらい、俺の舌はきつく吸われた。

 

俺の背に爪立てた両手がふっと離れた。

 

後ろ向きで俺の膝から崩れ落ちそうになるのを腕で支え、深くきつく抱きしめた。

 

 

 

汚したタオルは持ち帰ることにした。

 

 


 

~チャンミン~

 

 

「舐めろ」

 

僕の中から引き抜かれたお兄さんのおちんちんは、濡れて光っている。

 

僕の中に入っていたもの...いくら自分の穴だとしても、抵抗があるはずだ。

 

追加料金を支払った客相手の時は、新しいゴムを二重に付けた上でしぶしぶ施してやっていた。

 

お兄さんのおちんちんだから、僕は喜んで口にできる。

 

お兄さんは根元に添えた手でおちんちんを揺らし、僕の唇を叩いた。

 

僕なりにお兄さんを焦らそうと、口を引き結んでいたけれど、もう我慢できない。

 

ベンチに座るお兄さんの足元にうずくまる姿勢になった僕は、彼の股間に顔を埋めた。

 

一気に食らえ込まずに、お兄さんの形を楽しむために舌先ですみずみまで優しく舐めた。

 

男なら誰でも気持ちいいと感じる箇所は敢えて避けてみて、焦らした末に引き返して丁寧に舐めた。

 

よだれを絡めた上で、わざと大きな音を立てて吸った。

 

お兄さんの手は僕の髪を梳いてくれる。

 

頭皮から背中へとぞわりとさざ波が走る。

 

「...気持ちいいですか?」

 

「...ああ、気持ちいいよ」

 

低くて優しい声が嬉しい。

 

握った手も頭も上下させ、舌も忙しく動かした。

 

お兄さんはプロだった人だ。

 

テクニックだけでイカせようとしたら、お兄さんは「俺は客じゃない」って腹を立てるだろう。

 

真心を込めて丁寧に、僕の舌と唇、喉を使って、全ての窪みを味わいつくすのだ。

 

僕の中でお兄さんのおちんちんが、ぐぐっと大きく固くなった。

 

お兄さんはがっしとつかんだ僕の頭を上下に動かし始めた。

 

喉の奥におちんちんの先が当たり、歯を立ててしまわないようえずくのを我慢した。

 

頭を激しくシェイクされ、お兄さんを見上げるのも難しい。

 

お兄さんは怖くて熱い眼で僕を見下ろしている。

 

そうそう、僕はこの我慢する感じが好きなんだ。

 

お兄さんに意のままに扱われている感じが好きなんだ。

 

次に僕の頭は引き上げられ、ひざまづかされた。

 

何が始まるんだろうと、ドキドキした。

 

お兄さんは立ち上がると、僕の頭をつかんだまま、自身の腰を揺らし始めた。

 

僕の口内を出し入れするお兄さんの興奮の塊を、吸ったり緩めたり、彼を気持ちよくさせたくて僕は頑張った。

 

愛おしい。

 

お兄さんの全部が欲しい。

 

「んんーっ」

 

ごりっとおちんちんが喉にぶち当たった。

 

お兄さんの腰の動きが早くなったんだ。

 

その激しさに息継ぎする間もない。

 

僕の頬にお兄さんの引き締まった下腹がぶち当たり、鼻で呼吸もできない。

 

逃れようにも、頭を拘束されている。

 

僕の身体はお兄さんのものです。

 

もっともっと好きにしてください。

 

僕のことを捕まえたままでいてください。

 

イッたばかりのお兄さんの精液は量が少なくて、物足りない僕はお兄さんのおちんちんをちゅうちゅうと吸った。

 

「やめろって」

 

お兄さんは股間から僕の頭を引き離し、そのまま胸に抱きしめた。

 

「よかったよ...」

 

「よかったです」

 

「チャンミンのもイカせてやろうか?」

 

僕のおちんちんに伸びたお兄さんの手を、代わりに握った。

 

「ベッドでしたいです。

ここもいいけれど...誰かが来るかもと思うとドキドキして、集中できません」

 

「嘘つけ。

いつもより感じていたくせに」

 

「意地悪ですねぇ」

 

「部屋に戻ろうか」

 

着替えだしたお兄さんに置いていかれないよう、僕も慌ててロッカーから洋服を出した。

 

濡れた水着をビニールポーチに入れるお兄さんに、僕はあることを思い出した。

 

「僕の水着...」

 

ジャグジーで脱いだままだった。

 

僕は裸ん坊で更衣室まで来たのだ。

 

「見つけた奴は首を傾げるだろうね。

どうしてここに水着が落ちているんだ?って。

それも、女もののビキニなんだ」

 

「やっぱり!

僕の水着...なんだか変だと思ったんですよ」

 

「冗談だよ。

あれはれっきとした男ものだ。

チャンミンはああいうタイプが一番似合う」

 

「お兄さんも穿いてくださいよ」

 

「お断りだ。

その代わり...プールを貸し切りにしようか、今度?」

 

「お兄さんも脱いでくださいよ?」

 

「ああ、いいよ」

 

「やった...!」

 

今度こそイルカの交尾みたいなえっちをしよう、と思った。

 

 

(「更衣室」終わり)

 

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(18)あなたのものになりたい

 

 

~ユノ~

 

 

絶頂の間際で口にした言葉。

 

「好きだ」と。

 

愛おしくてたまらない。

 

興奮のあまり口走ってしまったような、刹那的なものではない。

 

素面ではとても口にできなかったのが、下半身が繋がりあい、感情も肉体も興奮で昂ったあの時ならば可能だった。

 

...知らなかった、俺は照れ屋な男らしい。

 

どれだけの時が経とうと、チャンミンとは友人同士でいようと、彼を俺の家に連れてきた時にそう心に決めた。

 

チャンミンの元々の身分を思えば余計に、俺たちの間に性的な繋がりを持ったらいけないのだと。

 

俺は世間知らずのチャンミンを見守ることも多く、自然と保護者役になってはいた。

 

チャンミンの正確な年齢は分からないが、明らかに俺の方が年上で、兄と弟に近いかもしれない。

 

とは言え、俺たちは「友人同士」で「同居人」だ。

 

そう何度も言い聞かせてきた。

 

ところが、チャンミンと性的な関係を持つようになった時、その自制は壊れた。

 

チャンミンにのめり込みかけていた時で、その堰も脆くなっていたから、たやすく壊れた。

 

 

抱き合っている時の俺たちは、より対等に近づく。

 

チャンミンの話しぶりから判断するに、誰かと恋愛関係を結んだ経験はないだろう。

 

俺が『犬』になったのは、20代初めだったから、『犬』以前...10代半ばに淡い恋心を抱いた経験があるにはある。

 

だから、恋愛感情がどのような感覚が湧きおこるのか、なんとなくは知っているのだ。

 

チャンミンの言う「好き」には、どのような感情を含まれているのか。

 

チャンミンに尋ねないと。

 

気持ちを知りたくなった。

 

 

何度交わっても足りない。

 

攻められるのを好むチャンミンに合わせているのではない。

 

俺自身、攻める行為を好む。

 

俺のサディズム傾向とチャンミンのマゾヒズム傾向が合体した時、行為がどれほど激しいものになるか。

 

もちろん、血を流すようなハードなものではない、どこまでも甘美なものだ。

 

苦痛を越えた快感に沈むチャンミンは、美しい顔を惚けたものへと成り下がっている。

 

その色気ある表情を、たまらなく美しいと思った。

 

愛情を注ぎ、肉欲を満たすために思いつく、ありとあらゆる体位で繋がった。

 

俺の下で尻を突き出すチャンミン。

 

赤く腫れあがった尻をしたチャンミン。

 

人の関節とは、こうも可動域があるのかと、軟体動物と化したチャンミン。

 

「お兄さん、もっと...もっと」

 

甘い悲鳴をあげるチャンミン。

 

今の俺の眼はもう、かつての無数の客たちと重ね合わすことはなくなった。

 

チャンミンの首でダイヤモンドのチャームが揺れる。

 

チャンミンはあれの装着を嫌い、彼の中に直接注ぎ込むことになる。

 

2度も3度も達した時、チャンミンのそこから白濁したものが彼の内ももを汚す。

 

 


 

 

~チャンミン~

 

 

僕は今、とても怒っている。

 

お兄さんと僕の家に、女の人がやってきた。

 

僕は女の人が大嫌いだから、睨みつけてやった。

 

ぎりりと音がするんじゃないってくらい、力いっぱい睨んでやった。

 

僕をたしなめるように、お兄さんも怖い顔をしたけれど、僕は構わず女の人を睨んでやった。

 

ついさっきのことだ。

 

僕はいつもの恰好で...Tシャツとパンツだけ...勉強をしていた。

 

勉強に疲れたら、うっすら痣が付いた手首をうっとりと眺めた。

 

昨夜の僕たちは凄かった。

 

目をつむって思い出しては微笑んでいたら、僕のおちんちんが大きくなってきた。

 

お兄さんを誘おうかな、と思った時、お兄さんがやってきて「人が来るから服を着ろ」と言った。

 

「人?」

 

僕らの家に、誰かが訪ねてくるのは初めてだったから、とても驚いた。

 

「さあ、服を着ろ」

 

「え~、嫌です」

 

渋っている僕に、お兄さんはてきぱきと服を着せてしまった。

 

「チャンミンはテレビでも見ておいで」

 

お兄さんと女の人は、お兄さんの書斎に閉じこもってしまった。

 

僕はドアに片耳を押しつけて、どんな微かな音も聞き漏らさないよう集中した。

 

ぼそぼそと何やら話をしている。

 

お兄さんの書斎は寝室と繋がっている。

 

寝室にはバスルームもある。

 

血の気がひいた。

 

お兄さんとあの女の人は、えっちをしているんだ!

 

今すぐドアを開けて、寝室へ乗り込んでゆきたかった。

 

でも、そんなことをしたらお兄さんはもの凄く怒ると思う。

 

僕は廊下の壁にもたれて座り、書斎のドアが開くのを待った。

 

1時間ほど経った頃、ドアが開いた。

 

直ぐにそこに僕が待ち構えているから、女の人は目を丸くし、お兄さんはため息をついた。

 

お兄さんも女の人も髪の毛が乱れている風には見えなかった。

 

それでも疑わしい。

 

僕はベッドのシーツの匂いをくんくんと嗅いだ。

 

アレの匂いには敏感なんだ、すぐにわかる。

 

「何やってるんだ!?」

 

お兄さんの怒鳴り声を無視して、シーツの真ん中の辺りをくんくん嗅ぎ続けた。

 

「犬みたいな真似はよせ!」

 

お兄さんにうなじをつかまれて、ベッドから引き離されてしまった。

 

「...だって」

 

僕は膝を抱えた腕に顔を埋めた。

 

「お兄さんとあの女がえっちしていたんじゃないかって...!」

 

お兄さんはため息をついた。

 

「『あの女』なんて言い方はいけないよ。

彼女と俺が...するわけないじゃないか」

 

「お兄さんのコイビトですか?」

 

「...チャンミン」

 

「そうですよね。

お兄さんみたいなカッコいい大人なら、コイビトがいて当たり前ですよね」

 

「...違う。

あの人とは仕事上の関係だ、それだけだ。

俺が出向く代わりに、彼女がここに来てくれただけの話だ」

 

「本当の話ですよね?」

 

「ああ。

本当の話だ」

 

シーツにはお兄さんと僕の匂いしかしなかった。

 

「よかったです...」

 

「チャンミン」

 

お兄さんはひざまづいて僕の肩を抱いた。

 

「俺は『犬』時代は女性を抱くこともあったが、それ以外では抱いたことはない」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。

俺はもう『犬』じゃない。

俺が抱くのは『恋人』だけだ」

 

「コイビト...」

 

お兄さんの言葉の意味を理解するまで、頭が悪い僕には少しだけ時間が必要だった。

 

「お兄さんは僕のことをコイビトだって、思ってくれてるんですね?」

 

「そうだよ」

 

 

(つづく)

 

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(17)あなたのものになりたい

 

 

~チャンミン~

 

 

水の中でのえっちは...初めてだった。

 

憧れていた。

 

水中で見るお兄さんのそこは、ライトに照らされてホクロもしわも1つ1つが鮮やかに目に迫ってきた。

 

消毒薬入りのぬるま湯がしみないよう、僕は目をつむった。

 

温水プールだとはいえ、冷えたそこを僕の体温で温めた。

 

お兄さんのくびれと折りたたまれた皮の凸凹、太く浮き出た血管を、舌の腹で楽しんだ。

 

水が流れ込んでこないように隙間なく、唇でお兄さんのものを僕の口の中に閉じ込めていた。

 

肺の酸素が切れかけ、耳鳴りがしてきた。

 

溺れる一歩手前まで、息が続くまでお兄さんのものを咥えていた。

 

意識が遠のき始めた時、下半身を奉仕する僕は水上へ引っ張りあげられた。

 

「馬鹿、おぼれ死ぬぞ」

 

叱りつけるお兄さんを無視して、僕は息を継ぎして再び水中に戻った。

 

お兄さんの太ももに片腕をまきつけ、もう片手は彼の根元を握っていた。

 

先っちょから、水じゃないぬるみを帯びたものが出てくる。

 

ところが、深く咥えこもうと口を大きく開けた時、油断して水を飲みこんでしまった。

 

ごぼっと大きな泡が吐き出され、直後吸い込んだ瞬間、僕は再びお兄さんに助け上げられた。

 

水中のフェラチオは難しかった。

 

「大丈夫か?」

 

お兄さんはゲホゲホ咳く僕の背を叩いて、「無茶するから」と呆れていた。

 

酸素を求めてしゃくりあげる呼吸が回復するまで、僕はお兄さんにもたれていた。

 

鼻と喉の奥がひりひりした。

 

「マシになったか?

ったく無茶をするから...」

 

「お兄さん...えっちしましょう」

 

お兄さんの左手首を捕らえ、僕のお尻の谷間へと強引に誘導した。

 

「チャンミン...ここは部屋じゃないんだぞ?」

 

水着を脱いでしまいたいのに、ぴっちりと食い込むほどタイトなもので、片手では脱ぐことができない。

 

焦れた僕は、股ぐりからおちんちんを出した。

 

締め付けから解放され、僕のおちんちんは水中で揺らいでいる。

 

お兄さんの右手で、半勃ちした僕のおちんちんを握らせた。

 

一向に動かそうとしないお兄さんの手に、僕自ら腰を振った。

 

「ここじゃ駄目だ。

プールを汚してしまう」

 

「...でも」

 

イルカの交尾みたいに、したかったのに。

 

お兄さんは「仕方ないな」と吐息をつくと、水をかきわけプールサイドへと、胸にしがみついたままの僕を抱えて連れていった。

 

誘われたのは、大きな大きなバスタブ。

 

お兄さんは縁にあった何か操作すると、泡がぶくぶくと湧いてきて、沸騰した鍋みたいだった。

 

「ジャグジーだ」

 

「ここも...水、ですよ?

汚れたら困るって...」

 

「後で、抜いてしまえばいい」

 

お兄さんの唇が振ってきて、「でも...」と言う僕の唇をぴたりと塞いだ。

 

冷たい頬同士が合わさり、反面口の中は温かかった。

 

キスの段階で僕はとろとろになってしまう。

 

お兄さんの唇は僕の顎をたどり、首へ鎖骨へと下りていく。

 

辿り着いたのは僕の乳首。

 

周囲をぺろぺろと舐められて、その中心が固く尖ってきた頃、きゅんと痺れが走った。

 

「ああっ...!」

 

吸いあげられた1点からおちんちんへと電流が流れ、そこがびくんと跳ねたのが分かった。

 

切なくなって、お兄さんの頭を胸に押し付けた。

 

お兄さんは乳首から頭を起こすと、僕を睨み上げた。

 

「お前は腕を上げていろ」

 

お兄さんに命ぜられた通り、両腕を真上に持ち上げた。

 

執拗に乳首だけを攻められる。

 

片方が指で押しつぶされている間、もう片方は千切れそうに吸われたり、前歯で噛まれて引っ張られた。

 

強い刺激が与えられるたび、僕のおちんちんは上下に揺れた。

 

「もっと...もっと、痛くして...」とおねだりした。

 

ところが僕の乳首はお兄さんから解放されてしまった。

 

「脱いで」

 

これにも従って、窮屈なだけの布切れを脱ぎ捨てた。

 

「舐めて」

 

お兄さんは水着を下へずらし、弾んで跳び出したものに手を添え、僕を煽るように揺らした。

 

ゆるゆるとしごく節の太い指に、僕の興奮のメーターは振り切ってしまいそうだった。

 

僕はお兄さんの正面にすりより、彼の股間に顔を埋めた。

 

どれだけ口と指を使ってもお兄さんは一向に射精せず、僕は哀しくなってきた。

 

「挿れて...お兄さん、早く挿れて?」

 

口がダメなら、もうひとつの口で気持ちよくなってもらいたい。

 

僕はジャグジーの縁に両手をついて、お尻を突き出した。

 

「自分で、やってみせろ」

 

「...そんな...やだ」

 

かぎ型にした指で僕の入り口を引っかけ、もう片方の手の指で左右に押し広げた。

 

そしてお兄さんは、開いた穴にふうっと息を吹き込んだ。

 

「...っあん」

 

「...チャンミン。

今日もいじっただろ?

ゆるゆるだぞ?」

 

「だって...」

 

図星だった僕は、「はい...」と素直に認めた。

 

「もっと尻を出して」

 

お兄さんは僕の肩をぐいと押したので、僕はそれに従った。

 

ジャグジーの縁に両膝を、縁から1段下のステップに両手をついた。

 

お兄さんの命令通り、いつも自分で慰めているようにお尻に手を伸ばした。

 

「お兄...さんっ、これじゃ...手が...届かない」

 

「それは残念だ」

 

お兄さんの声が下から聞えたので腕の間から覗き見ると、彼は縁に両腕を預け、悠々とジャグジーに浸かっていた。

 

「やだ...こんなの、恥ずかしい」

 

お兄さんは僕がひとりえっちするのを見物する気だったんだ。

 

「誰か...来るかもしれないね?」

 

「えっ...!?」

 

「恥ずかしいところ...誰かに見られてしまうな」

 

お兄さんは僕のセーヘキをよく分かっている。

 

ちょっと痛いのや苦しいの、それから恥ずかしい恰好をさせられるのが好きだって。

 

僕がもともともっていた傾向が、犬時代にセーヘキへと調教されたのではないかな。

 

「ごめん。

からかい過ぎたな」

 

「水の中はやだ」

 

自由に腰を動かせないし、泡が邪魔でお兄さんのおちんちんを見ることができない。

 

後ろから突かれるか、お兄さんの膝に乗る体位がやっとだろう。

 

正面同士で身体を重ねる体位が好みだった僕は、「ここじゃ...やだ」と駄々をこねた。

 

お兄さんはニヤニヤ笑っているだけだ。

 

僕は身体を起こすと、室外へのドアへ小走りで向かった。

 

悠然と僕の後を追ってくるお兄さんを何度も振り返った。

 

水着をプールの中に置いてきてしまったことを思い出したけど、別にいいや、と思った。

 

手当たり次第に開けたドアの向こうは更衣室だった。

 

僕は棚に積まれた分厚いバスタオルを、床に払い落とした。

 

バスタオルの上に横たわり、両腕を開いてお兄さんを迎え入れた。

 

僕らは抱き合った。

 

いつ住民がドアを開けるかドキドキした。

 

お兄さんは僕の両足首をつかむと、高々と持ち上げた。

 

僕はこの体位で繋がるのが大好きなんだ。

 

いつもの流れ通り、僕は自身の膝裏に腕をひっかけて引き寄せた。

 

露わになったそこは、お兄さんのものをごくりと飲み込む。

 

「チャンミン...好きだよ」

 

熱い吐息と共に囁かれた。

 

我慢しきれずに口走られた言葉だったからこそ、特別な「好き」なんだと嬉しくなった。

 

僕は達しながら、真っ白な視界の中で連呼していた。

 

「好き好き好き好き...」

 

お兄さんの身体に僕は溶け込んで、彼のものになる感覚が好きだ。

 

これって「好き」ってことでしょ?

 

リアル世界に舞い戻ってくると、僕を見下ろすお兄さんの顔に徐々にピントが合った。

 

僕はもう一度、「好き」と告白した。

 

 

(つづく)

 

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(16)なたのものになりたい

 

 

~ユノ~

 

 

喉をのけぞらせ唇の端から唾液を垂らし、あらぬところを見る眼は焦点が合っていない。

 

片足に下着をひっかけたままの足首、爪先は小刻みに痙攣している。

 

絶頂を迎え、果てたチャンミンの全身はピンク色に染まっている。

 

ぽっかりと開いた空洞は、チャンミンの身体の中の中まで覗けそうだった。

 

意識がとんだチャンミンの傍らで俺は身体を起こし、夏の光あふれる外を眺めていた。

 

強烈過ぎる日光に、植物たちはぐったりと葉を垂らしていた。

 

蓮を浮かべた小さな池は、かけ流しの水で冷えたままで、そこに足を浸したらさぞ気持ちいだろうなと思った。

 

チャンミンの秘密の花園では、決して彼を抱かない。

 

そこは神聖な場所だ。

 

100メートルから見渡す景色。

 

さぞかし開放的で、誰かに目撃される恐れはなくても、チャンミンの「見られたい欲」をくすぐって快感を増すだろう。

 

そうであっても、秘密の花園で交わることはしない。

 

 

 

 

近くにあるがゆえ、気付けないことは往々にしてある。

 

俺とチャンミンが暮らすマンションの地下に、住民専用のプールがあったのだ。

 

これまで使用したことがなかったため、頭になかった。

 

そうか!

 

チャンミンを連れていこう、と思い立った。

 

今年は酷暑の夏だった。

 

真夏の日中は論外、夜が更けてからもアスファルトとコンクリートの放射熱で蒸し暑かった。

 

植物の世話に精を出していたチャンミンも、さすがに暑さが堪えたようで日中は室内で涼んでいた。

 

空調が完璧な部屋に閉じこもっている俺たちは運動不足だった。

 

 

喉の渇きを覚えた俺は、仕事の手を止めた。

 

時刻は真夜中過ぎだ。

 

リビングを覗くと、チャンミンはダイニングテーブルにノートを広げ、目下学習中だった。

 

集中するあまり、俺に気付いていない。

 

俺はチャンミンを邪魔しないよう忍び足でキッチンに向かい、アイスコーヒーをグラスに注いだ。

 

それを飲みながら、チャンミンの後頭部を眺めた。

 

乾いたスポンジに水を吸い込むように、チャンミンはめきめきと知識を蓄えていった。

 

俺の手助けは一切不要だった。

 

この調子だと、外国語も習得する勢いだった。

 

ヘッドホンから流れる音声に相当する文字をノートに書き写す。

 

チャンミンが自ら編み出した学習法だった。

 

「ふわぁぁ」

 

チャンミンは大きな伸びをし、背中を反らせた。

 

背後に立っている俺に気付き、「肩が凝ってしまって」と照れ笑いした。

 

「まだ寝ないのか?

根詰め過ぎじゃないか?」

 

俺はチャンミンの背中を叩き、親指で玄関を指した。

 

「よし!

プールに行こうか?」

 

「プール?」

 

俺の誘いに、チャンミンはきょとん、としていた。

 

「地下にプールがあるんだ。

この時間なら誰も利用しない」

 

「プールがあるんですか!

素敵ですね。

...裸じゃ、ダメですよね?」

 

「水着は用意してある。

ほら、立って!

行くぞ!」

 

暑いからといって裸同然のチャンミンを急かして服を着せ、俺たちは地下へのエレベーターに乗った。

 

 


 

 

~チャンミン~

 

 

贅沢な部屋に住んでいられるのは、お兄さんがもの凄いお金持ちであるからで、僕は王様みたいな毎日を送っている。

 

まさか、この建物にプールまであるなんて!

 

エレベーターを降り、お兄さんがカードをかざすと木目調の両開きドアが開いた。

 

(お兄さんのマンションへは住民以外は入れないんだけど、住民の中でも選ばれた人しか地下のプールは利用できないのだそうだ)

 

筋トレ用のマシンが並ぶガラス張りの部屋を横目に歩き進み、突き当りのドアを開けてすぐ、消毒液の匂いに包まれた。

 

一瞬、店のエロ部屋を思い出してしまった。

 

客が帰った後、念入りに掃除をした犬たちは、ビニール張りのベッドに消毒液を吹きかける。

 

犬たちもシャワーを浴び、ピンク色のマウスウォッシュで嫌な匂いがする口をうがいする。

 

「どうした?」

 

立ち止まってしまった僕に、お兄さんは案じる言葉をかけた。

 

「なんでもないです...プールは初めてでしたから」

 

「それじゃあ、金づちかどうかは分からないわけか。

身体を浸すだけでも、クールダウンできるぞ」

 

洋服を脱ぎ出したお兄さんに倣って、僕も水着姿になった。

 

お兄さんの水着はハーフパンツ・タイプで、ちょっとがっかりした。

 

裸姿は嫌というほど目にしていたのに、部屋以外の場所でお兄さんの裸を...きゅっと締まったお尻を見たかったから。

 

僕だけビキニ・タイプで...狡い。

 

ふくれっ面で、お兄さんの逆三角形の背中を追った。

 

最後のドアを開け、急に開けた場所に足を踏み入れた僕は、「わあぁぁ」と驚きの声を漏らしていた。

 

なみなみと水をたたえた、50メートルはありそうな大きなプール。

 

高い天井からは明るいと薄暗いの中間くらいの照明が、プールの中にはライトが仕込まれて、透けた青が幻想的だった。

 

ごくごくと飲み干したくなるほど、美味しそうな綺麗な青色をしていた。

 

プールの周囲に、寝そべるタイプのベンチが置いてある。

 

誰もいない...貸し切り状態だった。

 

お兄さんは高くなっている台に乗ると、両腕を高く上げた。

 

そして、「チャンミンはハシゴからおいで」と言っておいて、お兄さんは頭からプールへと飛び込んでいってしまった。

 

その姿は地上のネズミに向かって急降下するトンビのように、美しかった。

 

置いてけぼりをくらった僕の身体を、水しぶきが濡らした。

 

お兄さんの着水地点から、それまでしんと凪いでいた水面に水紋が出来た。

 

その水紋が、向こう側に到達するまで僕は待った。

 

プール底に目をこらしても、そこにお兄さんの姿がない。

 

不安が胸を圧迫してきた。

 

「チャンミン!」

 

声がする方を見ると、お兄さんが手を振っていた。

 

プールに飛び込んだお兄さんは、そのまま水底をす~いと息がつきるまで、ペンギンみたいに泳いでいったようだった。

 

「ひどいよ!」

 

お兄さんはケロッと明るく、楽しそうで、ますます「ズルい!」と思ってしまった。

 

お兄さんが溺れたんじゃないかって、心配したのに!

 

僕も負けじとプールに足から飛び込んだ。

 

「チャンミン!」

 

慌てて僕の元へ泳いできたお兄さん。

 

お兄さんがたどり着いてすぐ、僕は水中に沈んだ。

 

「...チャンミンっ!」

 

僕を呼ぶお兄さんの声が、くぐもって聞こえる。

 

お兄さんの水着を一気に引きずり下ろした。

 

そして、やわらかくしぼんだものを頬張った。

 

 

(つづく)

 

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(16)あなたのものになりたい

 

~ユノ~

 

喉をのけぞらせ唇の端から唾液を垂らし、あらぬところを見る眼は焦点が合っていない。

片足に下着をひっかけたままの足首、爪先は小刻みに痙攣している。

絶頂を迎え、果てたチャンミンの全身はピンク色に染まっている。

ぽっかりと開いた空洞は、チャンミンの身体の中の中まで覗けそうだった。

意識がとんだチャンミンの傍らで俺は身体を起こし、夏の光あふれる外を眺めていた。

強烈過ぎる日光に、植物たちはぐったりと葉を垂らしていた。

蓮を浮かべた小さな池は、かけ流しの水で冷えたままで、そこに足を浸したらさぞ気持ちいだろうなと思った。

チャンミンの秘密の花園では、決して彼を抱かない。

そこは神聖な場所だ。

100メートルから見渡す景色。

さぞかし開放的で、誰かに目撃される恐れはなくても、チャンミンの「見られたい欲」をくすぐって快感を増すだろう。

そうであっても、秘密の花園で交わることはしない。

 

 

近くにあるがゆえ、気付けないことは往々にしてある。

俺とチャンミンが暮らすマンションの地下に、住民専用のプールがあったのだ。

これまで使用したことがなかったため、頭になかった。

そうか!

チャンミンを連れていこう、と思い立った。

今年は酷暑の夏だった。

真夏の日中は論外、夜が更けてからもアスファルトとコンクリートの放射熱で蒸し暑かった。

植物の世話に精を出していたチャンミンも、さすがに暑さが堪えたようで日中は室内で涼んでいた。

空調が完璧な部屋に閉じこもっている俺たちは運動不足だった。

 

 

喉の渇きを覚えた俺は、仕事の手を止めた。

時刻は真夜中過ぎだ。

リビングを覗くと、チャンミンはダイニングテーブルにノートを広げ、目下学習中だった。

集中するあまり、俺に気付いていない。

俺はチャンミンを邪魔しないよう忍び足でキッチンに向かい、アイスコーヒーをグラスに注いだ。

それを飲みながら、チャンミンの後頭部を眺めた。

乾いたスポンジに水を吸い込むように、チャンミンはめきめきと知識を蓄えていった。

俺の手助けは一切不要だった。

この調子だと、外国語も習得する勢いだった。

ヘッドホンから流れる音声に相当する文字をノートに書き写す。

チャンミンが自ら編み出した学習法だった。

 

「ふわぁぁ」

 

チャンミンは大きな伸びをし、背中を反らせた。

背後に立っている俺に気付き、「肩が凝ってしまって」と照れ笑いした。

 

「まだ寝ないのか?

根詰め過ぎじゃないか?」

 

俺はチャンミンの背中を叩き、親指で玄関を指した。

 

「よし!

プールに行こうか?」

 

「プール?」

 

俺の誘いに、チャンミンはきょとん、としていた。

 

「地下にプールがあるんだ。

この時間なら誰も利用しない」

 

「プールがあるんですか!

素敵ですね。

...裸じゃ、ダメですよね?」

 

「水着は用意してある。

ほら、立って!

行くぞ!」

 

暑いからといって裸同然のチャンミンを急かして服を着せ、俺たちは地下へのエレベーターに乗った。

 


 

~チャンミン~

 

贅沢な部屋に住んでいられるのは、お兄さんがもの凄いお金持ちであるからで、僕は王様みたいな毎日を送っている。

まさか、この建物にプールまであるなんて!

エレベーターを降り、お兄さんがカードをかざすと木目調の両開きドアが開いた。

(お兄さんのマンションへは住民以外は入れないんだけど、住民の中でも選ばれた人しか地下のプールは利用できないのだそうだ)

筋トレ用のマシンが並ぶガラス張りの部屋を横目に歩き進み、突き当りのドアを開けてすぐ、消毒液の匂いに包まれた。

一瞬、店のエロ部屋を思い出してしまった。

客が帰った後、念入りに掃除をした犬たちは、ビニール張りのベッドに消毒液を吹きかける。

犬たちもシャワーを浴び、ピンク色のマウスウォッシュで嫌な匂いがする口をうがいする。

 

「どうした?」

 

立ち止まってしまった僕に、お兄さんは案じる言葉をかけた。

 

「なんでもないです...プールは初めてでしたから」

 

「それじゃあ、金づちかどうかは分からないわけか。

身体を浸すだけでも、クールダウンできるぞ」

 

洋服を脱ぎ出したお兄さんに倣って、僕も水着姿になった。

お兄さんの水着はハーフパンツ・タイプで、ちょっとがっかりした。

裸姿は嫌というほど目にしていたのに、部屋以外の場所でお兄さんの裸を...きゅっと締まったお尻を見たかったから。

僕だけビキニ・タイプで...狡い。

ふくれっ面で、お兄さんの逆三角形の背中を追った。

最後のドアを開け、急に開けた場所に足を踏み入れた僕は、「わあぁぁ」と驚きの声を漏らしていた。

なみなみと水をたたえた、50メートルはありそうな大きなプール。

高い天井からは明るいと薄暗いの中間くらいの照明が、プールの中にはライトが仕込まれて、透けた青が幻想的だった。

ごくごくと飲み干したくなるほど、美味しそうな綺麗な青色をしていた。

プールの周囲に、寝そべるタイプのベンチが置いてある。

誰もいない...貸し切り状態だった。

お兄さんは高くなっている台に乗ると、両腕を高く上げた。

そして、「チャンミンはハシゴからおいで」と言っておいて、お兄さんは頭からプールへと飛び込んでいってしまった。

その姿は地上のネズミに向かって急降下するトンビのように、美しかった。

置いてけぼりをくらった僕の身体を、水しぶきが濡らした。

お兄さんの着水地点から、それまでしんと凪いでいた水面に水紋が出来た。

その水紋が、向こう側に到達するまで僕は待った。

プール底に目をこらしても、そこにお兄さんの姿がない。

不安が胸を圧迫してきた。

 

「チャンミン!」

 

声がする方を見ると、お兄さんが手を振っていた。

プールに飛び込んだお兄さんは、そのまま水底をす~いと息がつきるまで、ペンギンみたいに泳いでいったようだった。

 

「ひどいよ!」

 

お兄さんはケロッと明るく、楽しそうで、ますます「ズルい!」と思ってしまった。

お兄さんが溺れたんじゃないかって、心配したのに!

僕も負けじとプールに足から飛び込んだ。

 

「チャンミン!」

 

慌てて僕の元へ泳いできたお兄さん。

お兄さんがたどり着いてすぐ、僕は水中に沈んだ。

 

「...チャンミンっ!」

 

僕を呼ぶお兄さんの声が、くぐもって聞こえる。

お兄さんの水着を一気に引きずり下ろした。

そして、やわらかくしぼんだものを頬張った。

 

(つづく)